やどかり投資とは:自宅を買って住み、値上がりしたら売って次の家へ移る住み替えのこと。売却益は「3,000万円の特別控除」が使えることがあるが、前年・前々年に使っていたら不可、住宅ローン控除とも重ねにくい。住宅ローンで投資用の家を買うのは契約違反
「やどかり投資」と呼ばれる、自宅を住み替えながら資産をつくる考え方を、国税庁のタックスアンサーNo.3302(マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除)と住宅金融支援機構の【フラット35】の注意喚起でまとめました。3,000万円控除は、売った年の前年・前々年にこの特例を使っていると使えず、特例を受けるためだけの入居や一時的な入居も対象外。住宅ローン控除は、入居した年とその前2年に3,000万円控除を使うと受けられません。住宅ローンは自分が住む家のためのもので、投資目的で借りると契約違反で一括返済を求められ、虚偽の申込みは詐欺罪にもなりえます。値下がり・売買の費用のリスクも。

プレ男都心のマンションに住んで、値上がりしたら売って次へ…って「やどかり投資」がバズってた! 税金もかからないんでしょ?

メル美「3,000万円控除」のことだよね。でも、何回でも使えるわけじゃなかったはず
今回は、やどかり投資と呼ばれる住み替えの考え方です。国税庁タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」(令和8年4月1日現在)と、住宅金融支援機構「【フラット35】の不適正利用に巻き込まれないために」で確認しました。
この記事はしくみと注意点の説明です。住み替えや特定の物件・ローンをすすめるものではありません。税金は個別の事情で変わるので、実際の申告は税務署・税理士に確認してください。
やどかり投資とは
- 自分が住む家(マイホーム)を買って住み、値上がりしたら売って、その資金で次の家に住み替えることを、ヤドカリが貝殻を替えることにたとえた呼び方です
- 投資用の物件を貸すのではなく、自分が実際に住むのが前提です
- マイホームを売ったときの税金の特例(3,000万円の特別控除)を使うことが、よく話題にされます
マイホームを売ったときの「3,000万円の特別控除」
国税庁 No.3302 によると、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。くわしくは税金の話のマイホームを売ったときの3,000万円の特別控除へ。
やどかり投資で特に大事な条件は次のとおりです。
① 前年・前々年に使っていたら使えない
- 売った年の前年と前々年に、この特例(またはマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例)を使っていないことが条件です
- 売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を使っていないことも必要です
- つまり、短い間隔で何度も売ると、2回目は使えないことがあります
② 特例のためだけの入居・一時的な入居はだめ
次の家屋には、この特例は使えません。
- この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
- 新築中の仮住まいなど、一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 別荘など、主に趣味・娯楽・保養のための家屋
③ 住まなくなってからの期限
- 住まなくなった家を売る場合は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります
④ 親子・夫婦などへの売却はだめ
- 親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係の人など、特別の関係がある人に売った場合は使えません
住宅ローン控除とも重ねにくい
国税庁 No.3302 の注意書きによると、
- 新しい家に入居した年、その前年、前々年に、この3,000万円控除などの特例を使うと、新しい家で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられません
- 入居した年の翌年から3年目までの間に、前の家を売って3,000万円控除を使う場合も、住宅ローン控除は受けられません
住み替えで「前の家の売却益に3,000万円控除」と「次の家の住宅ローン控除」を両方使うのは難しいということです。住宅ローン控除は税金の話の住宅ローン控除へ。

プレ男3,000万円控除と住宅ローン控除、どっちかを選ぶことになるのか…
住宅ローンは「自分が住む家」のため
- 住宅金融支援機構は、【フラット35】の利用目的を自ら居住する住宅の取得に限定しています
- 「自らは居住するつもりがなく、投資目的で住宅を取得すること」は認められず、ローン契約違反として残りのローンの一括返済を求めるとしています
- 事業者任せにしていても、「虚偽の内容で融資を受けることは犯罪(詐欺罪)であり、お客さま自身が責任を問われる」と注意しています
- 機構は、「金融機関には自己居住用と説明すればOK」「契約書を2つ作成しましょう」「手続は全て私がやります」などと言われたら要注意、というチェックリストも出しています
そのほかのリスク
- 値下がり:住宅の値段が上がり続けるとは限りません。売るときにローンの残りより安ければ、持ち出しになります
- 売買の費用:買うとき・売るときに、仲介手数料、登記費用、税金などがかかります。何度も住み替えるほど費用が重なります
- 売りたいときに売れない:住み替えの時期に、希望の値段で買い手が見つかるとは限りません
- 暮らしへの影響:引っ越しのたびに、通勤・通学、子どもの学校なども変わります
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まとめ
- やどかり投資=自宅を買って住み、売って住み替えること(公的な用語ではない)
- 売却益には3,000万円の特別控除が使えることがある。ただし前年・前々年に使っていたら不可、特例目的・一時的な入居は不可
- 新しい家の住宅ローン控除とは重ねにくい
- 住宅ローンで投資目的の家を買うのは契約違反。虚偽の申込みは詐欺罪にもなりうる
- 値下がり・費用・売れないリスクも考える
参考文献
- 国税庁. No.3302 マイホームを売ったときの特例(令和8年4月1日現在法令等). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm (閲覧日:2026年10月5日)
- 住宅金融支援機構. 【フラット35】の不適正利用に巻き込まれないために. https://www.flat35.com/hajimete/guide_caution.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。