日本ゼオンの強みとは:合成ゴムなどのエラストマー素材が売上の半分超、光学フィルム・電池材料・電子材料の高機能材料が営業利益の約6割。2026年3月期は営業利益364億円(+24.1%)、当期純利益362億円(+38.3%)
日本ゼオンを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上高4,120億円(−2.1%)、営業利益364億円(+24.1%、営業利益率8.8%、コスト削減と原料価格の下落)、経常利益400億円(+21.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益362億円(+38.3%、投資有価証券売却益173億円)、ROE9.9%、自己資本比率68.9%。セグメントの営業利益は、高機能材料224億円(+27.7%、大型テレビ向け光学フィルム、ESS・AIデータセンター向けの電池材料、AI関連の電子材料)、エラストマー素材117億円(+6.7%、合成ゴムは海外需要の低迷で減益、合成ラテックス・化成品は増益)、その他43億円。年76円の配当(前期70円)、2027年3月期は売上高4,050億円・営業利益380億円・年79円の予想。クラレ・三菱ガス化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男日本ゼオンって、ゴムの会社?

メル美決算短信を見ると、売上の半分以上は合成ゴムなどだけど、利益の6割くらいはテレビ向けの光学フィルムや電池材料などの高機能材料なんだって
企業分析の連載、198社目は日本ゼオンです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のクラレの強みとは・三菱ガス化学の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本ゼオン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
合成ゴム・合成ラテックス・化成品の「エラストマー素材」と、シクロオレフィンポリマーなどの高機能樹脂・光学フィルム・電池材料・電子材料・化学品・トナーの「高機能材料」を手がける化学の会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,120億円 | −2.1% |
| 営業利益 | 364億円 | +24.1% |
| 営業利益率 | 8.8% | 前期 7.0% |
| 経常利益 | 400億円 | +21.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 362億円 | +38.3% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 9.9% | 前期 7.3% |
| 自己資本比率 | 68.9% | 前期 66.9% |
| 配当 | 年76円(配当性向40.7%) | 前期 70円 |
- 営業利益は、「ZΣ運動」による徹底したコスト削減や生産革新活動、原料価格の下落などで増えました
- 当期純利益には、投資有価証券売却益173億円などの特別利益が含まれます
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 高機能材料 | 大型テレビ向け光学フィルム、ESS・AIデータセンター向けの電池材料、AI関連の電子材料が好調 | 1,242億円(+2.1%) | 224億円(+27.7%) |
| エラストマー素材 | 合成ゴムは海外需要の低迷と販売価格の下落、合成ラテックス・化成品は費用削減で増益 | 2,237億円(−5.4%) | 117億円(+6.7%) |
| その他 | RIM配合液など | 674億円(−0.4%) | 43億円(+11.0%) |
- 売上高の約54%がエラストマー素材ですが、営業利益の合計384億円のうち約58%が高機能材料です(計算値)。営業利益の増減率は、決算短信の増減額から計算しました
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 光学フィルムと電子材料
- 高機能樹脂関連では、大型テレビ向け光学フィルムの需要が堅調でした。電子材料は、半導体市場のAI関連投資で需要が旺盛でした
② 電池材料
- 電池材料は、中国のESS(電力貯蔵システム)・車載向けに加え、欧州・米国のAIデータセンター向けESS用電池の需要が大幅に増えました
③ コスト削減と厚い財務
- 「ZΣ運動」で徹底したコスト削減に取り組み、自己資本比率は68.9%です
4. 弱み・リスク
① 合成ゴムの市況
- 合成ゴムは、海外市場の需要低迷と販売価格の下落で、売上高・営業利益とも前年を下回りました
② 中東情勢とサプライチェーン
- 会社は、期末のホルムズ海峡の事実上の封鎖にともなうサプライチェーンの混乱などで、先行きが不透明だとしています
③ 一度きりの利益
- 当期純利益には投資有価証券売却益が含まれます。2027年3月期の当期純利益は360億円(−0.6%)の予想です
5. ライバルとの比較
化学の会社と並べます。会計基準と決算期(クラレは12月期)が違うので、おおまかな比較です。いずれも日本基準です。
| 日本ゼオン(2026年3月期) | クラレ(2025年12月期) | 三菱ガス化学(2026年3月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,120億円(−2.1%) | 8,084億円(−2.2%) | 7,382億円(−4.6%) |
| 営業利益 | 364億円(+24.1%) | 589億円(−30.8%) | 453億円(−10.9%) |
| 営業利益率 | 8.8% | 7.3% | 6.1% |
| ROE | 9.9% | 1.0% | −6.1% |
| 自己資本比率 | 68.9% | 57.0% | 58.1% |
- 日本ゼオンは、利益率・ROE・自己資本比率とも3社でいちばん高い水準です(→クラレの強みとは、三菱ガス化学の強みとは)。合成ゴムを使うタイヤの会社はブリヂストンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日本ゼオンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 高機能材料の営業利益 | 224億円 | 決算短信(部門別の概況) |
| エラストマー素材の営業利益 | 117億円 | 決算短信(部門別の概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高4,050億円、営業利益380億円、当期純利益360億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年76円、2027年3月期予想79円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男ゴムの会社だと思ってたけど、利益の中心は光学フィルムや電池材料なんだね。高機能材料の伸びを見ておこう
まとめ
- 日本ゼオンは、エラストマー素材(合成ゴムなど)と高機能材料の化学の会社
- 2026年3月期は営業利益364億円(+24.1%)
- 営業利益の約58%が高機能材料(光学フィルム・電池材料・電子材料)
- コスト削減と原料価格の下落で増益、自己資本比率は68.9%
- 2027年3月期は営業利益380億円・年79円の予想
参考文献
- 日本ゼオン. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/42050/140120260512526007.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- クラレ. 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月10日). https://www2.jpx.co.jp/disc/34050/140120260209552507.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 三菱ガス化学. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.mgc.co.jp/ir/files/260513-3.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。