企業分析2026年10月12日

日本ゼオンの強みとは:合成ゴムなどのエラストマー素材が売上の半分超、光学フィルム・電池材料・電子材料の高機能材料が営業利益の約6割。2026年3月期は営業利益364億円(+24.1%)、当期純利益362億円(+38.3%)

日本ゼオンを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上高4,120億円(−2.1%)、営業利益364億円(+24.1%、営業利益率8.8%、コスト削減と原料価格の下落)、経常利益400億円(+21.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益362億円(+38.3%、投資有価証券売却益173億円)、ROE9.9%、自己資本比率68.9%。セグメントの営業利益は、高機能材料224億円(+27.7%、大型テレビ向け光学フィルム、ESS・AIデータセンター向けの電池材料、AI関連の電子材料)、エラストマー素材117億円(+6.7%、合成ゴムは海外需要の低迷で減益、合成ラテックス・化成品は増益)、その他43億円。年76円の配当(前期70円)、2027年3月期は売上高4,050億円・営業利益380億円・年79円の予想。クラレ・三菱ガス化学との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

目次
  1. 1. ひとことで言うと
  2. 2. 何で稼いでいるか
  3. 3. 強み
  4. 4. 弱み・リスク
  5. 5. ライバルとの比較
  6. 6. 投資プレイヤー的チェックポイント
  7. まとめ

プレ男日本ゼオンって、ゴムの会社?

メル美決算短信を見ると、売上の半分以上は合成ゴムなどだけど、利益の6割くらいはテレビ向けの光学フィルムや電池材料などの高機能材料なんだって

企業分析の連載、198社目は日本ゼオンです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のクラレの強みとは・三菱ガス化学の強みとはで確認した数字を使っています。

この記事は会社のしくみと数字の解説で、日本ゼオン株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

1. ひとことで言うと

合成ゴム・合成ラテックス・化成品の「エラストマー素材」と、シクロオレフィンポリマーなどの高機能樹脂・光学フィルム・電池材料・電子材料・化学品・トナーの「高機能材料」を手がける化学の会社

項目(日本基準・連結) 2026年3月期 前期比
売上高 4,120億円 −2.1%
営業利益 364億円 +24.1%
営業利益率 8.8% 前期 7.0%
経常利益 400億円 +21.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 362億円 +38.3%
ROE(自己資本当期純利益率) 9.9% 前期 7.3%
自己資本比率 68.9% 前期 66.9%
配当 年76円(配当性向40.7%) 前期 70円

2. 何で稼いでいるか

セグメント 主な動き(決算短信の記載) 売上高 営業利益
高機能材料 大型テレビ向け光学フィルム、ESS・AIデータセンター向けの電池材料、AI関連の電子材料が好調 1,242億円(+2.1%) 224億円(+27.7%)
エラストマー素材 合成ゴムは海外需要の低迷と販売価格の下落、合成ラテックス・化成品は費用削減で増益 2,237億円(−5.4%) 117億円(+6.7%)
その他 RIM配合液など 674億円(−0.4%) 43億円(+11.0%)

3. 強み

会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。

① 光学フィルムと電子材料

② 電池材料

③ コスト削減と厚い財務

4. 弱み・リスク

① 合成ゴムの市況

② 中東情勢とサプライチェーン

③ 一度きりの利益

5. ライバルとの比較

化学の会社と並べます。会計基準と決算期(クラレは12月期)が違うので、おおまかな比較です。いずれも日本基準です。

日本ゼオン(2026年3月期) クラレ(2025年12月期) 三菱ガス化学(2026年3月期)
売上高 4,120億円(−2.1%) 8,084億円(−2.2%) 7,382億円(−4.6%)
営業利益 364億円(+24.1%) 589億円(−30.8%) 453億円(−10.9%)
営業利益率 8.8% 7.3% 6.1%
ROE 9.9% 1.0% −6.1%
自己資本比率 68.9% 57.0% 58.1%

6. 投資プレイヤー的チェックポイント

日本ゼオンの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。

見ておく数字 2026年3月期 どこに書いてある
高機能材料の営業利益 224億円 決算短信(部門別の概況)
エラストマー素材の営業利益 117億円 決算短信(部門別の概況)
会社の業績予想 2027年3月期 売上高4,050億円、営業利益380億円、当期純利益360億円 決算短信のサマリー
配当 年76円、2027年3月期予想79円 決算短信

プレ男ゴムの会社だと思ってたけど、利益の中心は光学フィルムや電池材料なんだね。高機能材料の伸びを見ておこう

まとめ


参考文献

  1. 日本ゼオン. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/42050/140120260512526007.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  2. クラレ. 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月10日). https://www2.jpx.co.jp/disc/34050/140120260209552507.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
  3. 三菱ガス化学. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www.mgc.co.jp/ir/files/260513-3.pdf (閲覧日:2026年10月12日)

この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。