
プレ男うらみを持って死んだ人は、たたるっていうよね…。そういう話?

メル美そう。でも、たたりを「頭のよさ」で封じた侍の話なんだって。
今回は、小泉八雲『怪談(Kwaidan)』(1904年)の「かけひき(DIPLOMACY)」です。英語の原文をProject Gutenbergで読みました。本文中の「」の言葉は、英語の原文から Claude が訳したものです。
※この話には処刑の場面があります。この記事では、くわしい描写はひかえています。
あらすじ1:「必ず、たたってやる」
- ある屋敷の庭で、ひとりの男が処刑されることになりました。男はうしろ手にしばられ、飛び石のならぶ砂の庭にひざまずかされ、まわりを小石をつめた米俵でかためられて、動けなくされます
- 主人の侍がやって来ると、男はさけびました
- 「わたしが罰せられたあやまちは、わざとやったことではありません。ただ、ひどくおろかだったせいです。生まれつきおろかなのは、前世のむくいで、どうしようもなかった。でも、おろかだというだけで人を殺すのはまちがっている。その悪は、むくわれる。わたしを殺せば、必ずうらみをはらしてやる」
あらすじ2:侍の「かけひき」
- 強いうらみをいだいたまま殺された人の霊は、殺した者にたたることができる——侍はそれを知っていました
- 侍は、とてもおだやかに、やさしいくらいの声で答えます
- 「死んだあとなら、いくらでもこわがらせてくれてかまわない。だが、おまえが本気でそう言っているとは信じにくい。首を切られたあとで、そのうらみのしるしを見せてくれるか」
- 「見せてやる」と男。
- 「よし。おまえの目の前に飛び石がある。首を切られたら、その飛び石にかみついてみよ。うらみの霊にそれができたら、わたしたちの中にも、こわがる者が出るだろう」
- 男は、はげしい怒りのなかで「かみついてやる!」とさけびました
- 刀がふりおろされたあと、男の首は砂の上をころがり、飛び石のふちにかみつき、しばらくしがみついてから、動かなくなりました

プレ男本当にかみついた…!これは、たたりが来るよ!
あらすじ3:おびえる家来たち
- だれも口をききませんでしたが、家来たちはおそろしそうに主人を見つめます。侍は、まったく気にしていない様子でした
- それから何か月も、家来や召使いたちは、霊があらわれるのではないかとおびえて暮らしました。おそれのあまり、ありもしないものを聞いたり見たりします。竹やぶの風の音や、庭の影のゆらめきまでこわがるようになりました
- とうとう家来たちは相談して、うらみの霊のために施餓鬼(せがき)の供養をしてほしいと、主人にたのみます
種明かし:「心配はいらない」
- 侍は「まったく必要ない」と言いました
- 「死にぎわの人がうらみをはらしたいと願うのが、おそろしいのはわかる。だが、こんどの場合、おそれることは何もない」
- 「理由はかんたんだ。あやうかったのは、あの男のいちばん最後の思いだけだった。わたしがしるしを見せろとけしかけたことで、あいつの心を、うらみからそらしたのだ。あいつは、飛び石にかみつくことだけを心に決めて死んだ。そしてそれはやりとげた。だが、それだけだ。ほかのことは、すべて忘れてしまったはずだ」
- そのとおり、死んだ男は、それきり何の災いももたらしませんでした。何ひとつ、起こらなかったのです

メル美こわかったのは、霊じゃなくて、みんなの「おそれる心」だったのかもね。風の音まで幽霊に聞こえちゃうんだもの。

小泉八雲の「かけひき」では、家来たちはたたりをおそれるあまり、ありもしないものを見聞きするようになりますが、結局、何も起こりませんでした。
まとめ
- 「かけひき(DIPLOMACY)」は、小泉八雲『怪談』(1904年)の短い話
- 処刑される男は「殺せば必ずたたる」とさけんだ
- 侍は「首を切られたら、飛び石にかみついて見せよ」と言い、男の最後の思いをうらみからそらした
- 家来たちは何か月もおびえ、風の音や影までこわがったが、何も起こらなかった
- 『骨董』の話は茶碗の中、『怪談』のほかの話は乳母桜、食人鬼、小泉八雲『怪談』もどうぞ
参考文献
- Lafcadio Hearn. Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things(1904年). “Diplomacy”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1210 (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
