
プレ男週末にキャンプや博物館に連れて行くのって、子どもにとって本当に意味があるのかな?親の自己満足だったりして。

メル美お手伝いも、やらせると時間がかかるし…。データで何かわかっていることってあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、子どもの体験と、その後の心の育ちの話です。文部科学省の委託調査「青少年の体験活動の推進に関する調査研究 報告書」(2021年3月、株式会社浜銀総合研究所)と、文部科学省の「21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)に関する特別報告」をもとにまとめました。
どんな調査?
- 「21世紀出生児縦断調査」は、2001年に生まれた子どもとその保護者に、1年に1回、家庭や学校のことを聞いている調査です(文部科学省と厚生労働省の共管)
- 報告書では、次の3つを結びつけて分析しました
- 家庭の背景(子どもが0〜5歳のころの保護者の回答):世帯の形、父母の収入・学歴、親子のかかわり、住んでいる環境など
- 体験(6〜12歳のころの保護者の回答)
- 意識(12〜18歳のころの子ども本人の回答):勉強や授業を楽しいと思うか、自尊感情(自信・自己肯定感)、外向性、精神的回復力(新しいことへの興味、感情の調整、前向きな未来の見方)、心の健康
- 体験は保護者、意識は子ども本人が、別々のときに答えたものを結びつけているのも特徴です
調べた「体験」
| 体験 | 中身 |
|---|---|
| 自然体験 | キャンプ・登山・川遊び・釣り、海水浴・マリンスポーツ、ウインタースポーツ |
| 社会体験 | 農業体験、職業体験、ボランティア |
| 文化的体験 | 動植物園・水族館・博物館・美術館、音楽・演劇・古典芸能の鑑賞や体験、スポーツ観戦 |
| 遊び | 遊び相手の多様性(年上・年下・家族以外の大人と遊ぶか)、遊ぶ場所の多様性、遊び相手の人数 |
| 読書 | 本を読むこと |
| お手伝い | 掃除、新聞や手紙を取ってくる、買いものの荷物を持つ、洗たく物をたたむ、食卓に食器を並べる・片づける、動物や植物の世話、おつかい |
- 小学3年生のころのお手伝いでいちばん多かったのは「食卓に食器を並べる、片づける」(74.0%)、次が「買いものの荷物を持つ」(48.6%)でした。7つのうち1つもしていない子は5.8%でした
わかったこと
- 家庭の収入や学歴など、家庭による影響を考えに入れたうえでも、小学生のころの体験が、その後の高校生などの時期の意識とプラスの関連があることがわかりました
- 体験によって、結びつき方がちがいました
- 自然体験:自尊感情や外向性などとプラスの関連。中学生・高校生のころの「勉強・授業を楽しいと思う気持ち」とは、はっきりした関連はありませんでした
- 社会体験:自尊感情とははっきりした関連がなく、中学生・高校生のころの「勉強・授業を楽しいと思う気持ち」とは関連がありました
- 文化的体験:調べたすべての意識の項目とプラスの関連
- 遊び:とくに年上・年下・家族以外の大人など、いろいろな相手と遊ぶことと、その後の意識との関連がはっきりしていました
- 読書:勉強・授業を楽しいと思う気持ちと、小・中・高のどの段階でもプラスの関連
- お手伝い:調べたすべての意識の項目とプラスの関連がありました。報告書は、ヒアリング調査をふまえ、お手伝いで子どもが「だれかの役に立つ」「ほめられる」経験をしていることが影響しているのではないか、と考えています(データ分析で確かめたことではない、と断っています)

メル美お手伝いが、調べた項目ぜんぶとプラスの関連なんだ!食器を並べてもらうところから始めてみようかな。
「体験の格差」と、その先にあること
- 父母の収入や学歴が高い家庭ほど、子どもがいろいろな体験をしている傾向がありました(ただし「遊び」は逆で、収入や学歴が比較的低い家庭のほうが、いろいろな相手・場所で遊んでいる割合が高めでした)
- いっぽうで、収入が比較的低い家庭の子どもでも、体験の機会が多かった子は、その後の意識が高い傾向がありました。一部の分析では、体験の影響が、収入が比較的低い家庭の子でとくに大きい可能性も示されました
- 報告書は、家庭の環境によらず、すべての子どもが十分な体験ができるよう、体験の機会を作っていくことが大切としています

文部科学省の分析では、家庭の収入や学歴を考えに入れても、小学生のころの体験が多かった子は、その後の自尊感情などが高い傾向がありました。ただし、実験で確かめたものではありません。
読むときの注意
- 報告書は、この分析が「実験群と統制群を比べた研究」や「活動の前後を比べた研究」ではないことに注意するよう書いています。「体験させれば必ず自己肯定感が上がる」という意味ではありません
- 回帰分析の決定係数は高くない(体験だけで説明できる部分は大きくない)ことも、報告書は断っています
家族でできること
- 特別な旅行でなくても、近くの公園や児童館、博物館、足立区都市農業公園の田んぼや畑など、身近な体験の場はたくさんあります。家族の水辺やキャンプの安全は川遊び・海水浴、はじめてのキャンプの記事もどうぞ
- 寝る前の絵本の読み聞かせや、小さな子の体を動かす遊び(幼児期運動指針)もあわせてどうぞ
- パパの家事・育児の時間については、パパの休日の家事・育児時間の記事にまとめました

プレ男今度の週末は、子どもに買いものの荷物を持ってもらって、そのまま公園で年上の子たちと遊ばせてみるよ。
まとめ
- 21世紀出生児縦断調査の分析:小学生のころの体験が、家庭の影響を考えに入れても、高校生のころの自尊感情などとプラスの関連
- 自然体験は自尊感情・外向性、文化的体験はすべての項目、お手伝いもすべての項目とプラス
- いろいろな相手と遊ぶこともプラス
- 収入が比較的低い家庭の子でも、体験が多い子はその後の意識が高い傾向
- 実験ではないので、「体験させれば必ず」ではない
参考文献
- 文部科学省(委託:株式会社浜銀総合研究所). 令和2年度「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」青少年の体験活動の推進に関する調査研究 報告書(令和3年3月). https://www.mext.go.jp/content/20210908-mxt_chisui01-100003338_2.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 文部科学省. 21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)に関する特別報告. https://www.mext.go.jp/content/20230316-mxt_chousa01-000028304_02.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 文部科学省. 21世紀出生児縦断調査に関する調査研究. https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa08/21seiki/mext_02723.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。