ヨーロッパで鼠径リンパ肉芽腫(LGV)がふえている(ECDC、2024年):3,490件で2015年から250%増。ほとんどが男性同士で性行為をする人で、HIV陰性の人の割合がふえた。症状のない人も
クラミジアの特別な型(L1〜L3)による性感染症「鼠径リンパ肉芽腫(LGV)」について、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の2024年の年次報告(2026年5月)をもとにまとめました。2024年、EU/EEAの21か国から3,490件が報告され、2023年から12%、2015年から250%ふえました。ほとんどが男性同士で性行為をする人で、HIVの状態がわかっている人のうち35%がHIV陽性でした。以前はHIV陽性の人に多かったのが、2020年以降はHIV陰性の人が6割をこえ、症状のない人も見つかっています。直腸の潰瘍や分泌物、肛門の痛みなどが主な症状です。

プレ男LGVって、クラミジアの仲間なんだよね。ヨーロッパでふえてるって本当?

メル美どんな症状が出るのか、知っておきたいな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、ヨーロッパの鼠径リンパ肉芽腫(LGV)の話です。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の「Lymphogranuloma venereum - Annual Epidemiological Report for 2024」(2026年5月)をもとにまとめました。LGVの基本は、めずらしい性感染症を見てください。
LGVとは
ECDCによると、
- LGVは、クラミジア・トラコマティスの特別な型(L1、L2、L3)による、全身に広がる性感染症です
- ヨーロッパでは、主に男性同士で性行為をする人にみられ、アナルセックスなどでうつります。HIVとともに生きる人に多いとされてきました
症状
ECDCによると、男性同士で性行為をする人では、
- 直腸の潰瘍、粘液や血のまじった分泌物、肛門の痛み、便秘、下腹部の痛み、便が出きらない感じ(しぶり腹)
- 長く続くと、直腸のまわりの膿瘍や裂け目
- 熱、だるさ、体重減少などの全身の症状や、関節の痛み・はれ、結膜炎がみられることもあります
- 一方で、症状がないこともあります
- 異性間では、陰部の潰瘍、尿道の痛みやはれ、足のつけ根のリンパ節のはれなどで見つかることがあります
2024年は3,490件
ECDCによると、
- 2024年、EU/EEAの21か国から3,490件が報告され、2023年から12%ふえました
- 毎年報告している18か国の合計は、2015年の363件から2024年の1,269件へ、250%ふえています
- オランダとスペインの2か国で、報告の73%をしめました
- 98%が男性で、女性は63件(2023年の37件から73%増)でした
- 感染経路がわかっている人のほとんどが男性同士で性行為をする人で、HIVの状態がわかっている人のうち35%がHIV陽性でした

LGVは、症状がないこともある性感染症です。ヨーロッパでは、HIV陰性の人や症状のない人にも見つかるようになっています。肛門の痛みや分泌物があるときは、検査を受けてください。
HIV陰性の人がふえた理由
ECDCによると、
- 2019年より前は、HIV陽性の男性同士で性行為をする人に多くみられました
- 2020年以降は、HIV陰性の人が6割をこえるようになりました
- これは、検査のしかたが変わったためと考えられています。オランダやベルギーでは、HIVの状態や症状にかかわらず、男性同士で性行為をする人の直腸のクラミジアをすべて検査し、陽性ならLGVかどうかも調べるようになりました
- 2019年のヨーロッパの指針は、直腸のクラミジアが陽性の男性同士で性行為をする人は、症状がなくてもLGVの検査をし、HIV陽性の人やHIVのPrEPの対象の人を優先するようすすめています
- 多くの国でLGVの検査が十分にできず、実際の数はもっと多いと考えられています

プレ男検査をしっかりするようになって、症状のない人も見つかるようになったんだね。
直腸の症状については肛門の痛み・うみ、性病?「直腸炎」、男性同士の性の健康は男性同士のセックスと性の健康、ヨーロッパの性感染症全体はヨーロッパでも性感染症が過去最多(2024年、ECDC)を見てください。
(更新)国立健康危機管理研究機構の「性器クラミジア感染症(詳細版)」では、クラミジア・トラコマティスの生物型LGVは鼡径リンパ肉芽腫症を起こすが、「わが国では輸入例が散見されるものの、近年ほとんど発生をみない」と書かれています。このページの作成・更新の時期は書かれておらず、最近の状況と同じかどうか、LGVを区別して届け出るしくみがあるかどうかは確認していません。
まとめ
- LGVは、クラミジアの特別な型による全身の性感染症
- 2024年のヨーロッパで3,490件、2015年から250%増
- ほとんどが男性同士で性行為をする人。オランダとスペインで73%
- 2020年以降はHIV陰性の人が6割超。症状がないことも
- 直腸の潰瘍・分泌物・肛門の痛みがあれば検査を
参考文献
- European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Lymphogranuloma venereum. In: Annual epidemiological report for 2024(May 2026). https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/lymphogranuloma-venereum-annual-epidemiological-report-2024 (閲覧日:2026年10月12日)
- 国立健康危機管理研究機構. 性器クラミジア感染症(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/chlamydia-std/detail/index.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
