男性どうしで性行為をする人(MSM)の、こころと性の健康の調査:子どものころのつらい体験が多い人ほど、薬物の使用や依存が重くなりやすい。責めるのではなく、包括的な支えを
男性どうしで性行為をする人(MSM)のこころの健康と性行動について、国立感染症研究所の「病原微生物検出情報(IASR)」2024年10月号の「MSMを対象としたメンタルヘルスと性行動に関するweb調査」をもとにまとめました。2022〜2023年のweb調査(第2回LASH)の4,364人を分析すると、子どものころの逆境体験(虐待や、性的指向・ジェンダーに関するいじめなど)の点数が高い人は14.5%で、HIV陽性の人では20.7%でした。点数が高い人は、薬物の使用、市販薬や処方薬の乱用、中程度以上の薬物依存と関連していました。研究者は、子どものころの体験やこころの健康にも目を向けた包括的な支援と、ハームリダクションの考え方が必要だとしています。

プレ男性の健康って、体のことだけじゃなくて、こころのことも関係しているの?

メル美子どものころの体験が、大人になってからの健康に影響するって聞いたことがあるよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、男性どうしで性行為をする人(MSM)のこころの健康と性の健康の話です。国立感染症研究所の「病原微生物検出情報(IASR)」2024年10月号の「MSMを対象としたメンタルヘルスと性行動に関するweb調査」(ぷれいす東京ほか)をもとにまとめました。
どんな調査?
- MSMのこころの健康や性行動についてのwebアンケート「第2回LASH(Love Life and Sexual Health)」(2022年11月〜2023年1月、6,071人が回答)のデータを使っています
- すべての質問に答えた4,364人で、子どものころの逆境体験(ACEs)と薬物の使用との関係を調べました
- 子どものころの逆境体験とは、子どものころの虐待や、家庭の機能がうまくはたらかない中での生活などのつらい体験のことです。この調査では、「18歳までに、性的指向やジェンダーに関するいじめを受けた」という質問もふくめた11の質問で点数をつけました
子どものころのつらい体験と、大人になってからの健康
- 点数が高い(4点以上)人は、全体の14.5%でした。HIV陽性の人では20.7%で、陰性・わからない人(14.0%)より多くなっていました
- 点数が高い人は、セックスワークの経験がある割合が6.2%(4点未満では2.9%)と高くなっていました
- 点数が高い人は、過去6か月の薬物の使用、市販薬や処方薬の乱用、中程度以上の薬物依存と関連していました
- HIV陽性の人は、薬物依存の重さが高い傾向があり、研究者は、特別な支援が必要だとしています

この調査では、子どものころの逆境体験の点数が高い人ほど、薬物の使用や依存が重くなりやすい関連がみられました。研究者は、こころの健康にも目を向けた包括的な支援が必要だとしています。
責めるのではなく、支える
研究者は、
- 依存が「軽度」の人の多くは、セックスなど特定の場面でだけ薬物を使う人である可能性が高く、これまでの取り締まりや治療のプログラムが合わないことが多い
- そうした人には、ハームリダクション(使用をすぐにゼロにすることだけを求めるのではなく、健康への害をできるだけ小さくする考え方)の立場から、性感染症の予防やPrEP(HIVの曝露前予防)の情報、性行動についてのカウンセリングなどが効果的と考えられる
- 子どものころの体験やこころの健康にも配慮した、包括的な支援が必要
としています。

プレ男つらい体験をしてきた人を責めるんじゃなくて、こころと体の両方を支えることが大事なんだね。
男性同士の性の健康は男性同士のセックスと性の健康、PrEPはPrEP(HIVの曝露前予防)とは?を見てください。
日本のPrEPの研究は、日本のPrEPの研究(東京近郊のMSM)を見てください。
まとめ
- MSMのweb調査(4,364人)で、子どものころの逆境体験の点数が高い人は14.5%、HIV陽性の人では20.7%
- 点数が高い人ほど、薬物の使用・市販薬や処方薬の乱用・依存と関連
- 研究者は、ハームリダクションの立場からの性感染症予防・PrEPの情報やカウンセリングを提案
- こころの健康にも目を向けた包括的な支援が必要
参考文献
- 生島嗣, 三輪岳史, 山口正純. MSMを対象としたメンタルヘルスと性行動に関するweb調査(IASR Vol.45 p168-169: 2024年10月号). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol45/536/536r05.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
