
プレ男風を袋にとじこめる!? そんなことができるの?

メル美風の王アイオロスならできるんだって。でも、その袋のせいで、オデュッセウスはたいへんな目に…。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のアイオロスと風の袋です。ホメロス『オデュッセイア』第10巻のはじまり(サミュエル・バトラー英訳、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。オデュッセウスの旅の全体はオデュッセウスへ。このあとに出会う魔女はキルケへ。
プロフィール
| アイオロス | ヒッポテスの子。神々に愛される |
| すむ島 | アイオリエの島。海にうかんでいるようで、鉄の壁にかこまれている |
| 役目 | ゼウスから風の番人をまかされ、どの風も思うままにおこしたり、しずめたりできる |
| おくりもの | あれくるう風をとじこめた牛皮の袋。銀の糸で口をしばった |
| ふかせた風 | 船に都合のよい西風だけ |
1. うかぶ島の風の王
- 「そこから、わたしたちはアイオリエの島へ行った。そこには、ヒッポテスの子で、不死の神々に愛されるアイオロスがすんでいる。それは、海にうかんでいる(かのような)島で、鉄の壁にかこまれている」
- アイオロスの館は、一日じゅう焼き肉のかおりにみちていて、家族はいつも宴をたのしんでいました
2. 風をとじこめた袋
- アイオロスは、オデュッセウスをまる1か月もてなし、トロイアのことや、ギリシャの船団のこと、帰り道のことを、あれこれたずねました
- オデュッセウスが「そろそろ出発したい」とたのむと、アイオロスはすぐに手助けをしてくれました
- アイオロスは、上等な牛の皮をはいで、そこにあれくるう風の道をとじこめました。「ゼウスが、アイオロスを風たちのかしらにしていたので、アイオロスは、どの風でも、思うままにおこしたり、しずめたりできた」
- アイオロスは袋を船にのせ、銀の糸で口をかたくしばり、横風ひとつもれないようにしました。そして、船に都合のよい西風だけを、ふくままにさせました

メル美じゃまな風はぜんぶ袋の中、追い風だけがふく…。これでもう、帰れたも同然だね!
3. 見えたふるさと
- 「9日9晩、船をすすめ、10日目には、ふるさとの地が水平線に見えた。あまりに近づいたので、刈りあとの野焼きの火が見えるほどだった」
- オデュッセウスは、早く帰るために、ずっとかじを自分の手からはなさなかったので、すっかりつかれはて、うとうとねむってしまいました
- そのあいだに、仲間たちはひそひそと話しました。「この人は、どこへ行ってもちやほやされる。トロイアから、こんなりっぱなおくりものをもって帰るのに、同じだけ旅をしたおれたちは、からっぽの手で帰るんだ。アイオロスも、もっとたくさんくれたにちがいない。袋の中に、どれだけ金銀があるか見てやろう」
4. ひらかれた袋
- 「こうして話しているうちに、わるい考えがかってしまった。彼らは袋をほどいた。すると風がうなりをあげて飛びだし、嵐をおこして、泣きさけぶわたしたちを、ふるさとから海のかなたへ運んでいった」
- 目をさましたオデュッセウスは、海に身を投げようか、生きてたえようかと思いまよいましたが、たえて、船の中によこたわりました。はげしい風は、船団をアイオロスの島へおしもどしました

プレ男ふるさとの火が見えるところまで来てたのに…! うたがいの心で、ぜんぶだめになっちゃった。
5. 二度目はない
- オデュッセウスは、ふたたびアイオロスの館をたずね、入り口に、助けを求める者としてすわりました。アイオロスの家族は、「オデュッセウス、どうしてここに。どの神にいじめられたのか。わたしたちは、イタケへ帰れるよう、あんなに手をつくしたのに」とおどろきました
- オデュッセウスは、「仲間たちと、ひどいねむりが、わたしをだめにしたのです。どうか、もう一度助けてください」とたのみました
- けれどもアイオロスは答えました。「出ていけ、すぐにこの島から。天にきらわれた者を、わたしはけっして助けない」。オデュッセウスは、悲しみながら島をあとにしました

『オデュッセイア』では、アイオロスは風をとじこめた牛皮の袋を銀の糸でしばり、西風だけをふかせましたが、ふるさとが見えたとき、仲間たちが袋をあけてしまいました。
まとめ
- アイオロスは、海にうかぶ島にすみ、ゼウスから風の番人をまかされていた
- オデュッセウスに、あれくるう風をとじこめた牛皮の袋をあたえ、西風だけをふかせた
- 10日目にふるさとが見えたが、ねむったオデュッセウスのそばで、仲間たちが「金銀がある」と袋をあけた
- 嵐で船はアイオロスの島へもどされ、アイオロスは二度と助けなかった
- この前に立ちよったロートスを食べる人々、旅の主人公オデュッセウス、このあと出会うキルケ、『変身物語』で風の神アイオロスの娘とされるアルキュオネもどうぞ
参考文献
- Homer. The Odyssey(英訳:Samuel Butler), Book X. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1727 (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



