
プレ男花からつくられた女性!? なんだかロマンチックだね。

メル美ウェールズのお話なんだって。でも、ハッピーエンドじゃなくて、最後はフクロウになっちゃうの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はケルト神話(ウェールズ)のブロダイウェズです。ウェールズの中世の物語集『マビノギオン』の「マソヌイの子マース」を、シャーロット・ゲストの英訳(Project Gutenberg)で読みました。ケルト神話の全体はケルト神話の入門へ。

津田便作「フクロウ」1630年代、日本。掛け軸、紙に墨と淡彩。クリーブランド美術館所蔵(CC0)。物語の最後に、ブロダイウェズはフクロウに変えられます
プロフィール
| 名前 | ブロダイウェズ(Blodeuwedd) |
| つくった人 | 魔法使いの領主マースと、その甥グウィディオン |
| 材料 | オークの花、エニシダの花、メドウスイートの花 |
| 夫 | 英雄スェウ・スァウ・ガフェス(Llew Llaw Gyffes) |
| 心をかよわせた人 | ペンスィンの領主グロヌ・ペビル |
| さいご | フクロウに変えられた |
1. 「この世の人間の妻はもてない」
- 若者スェウは、母アランロドにうとまれ、名前も武器も、なかなかあたえられませんでした。グウィディオンの知恵で名前と武器を手に入れると、アランロドはさらに運命をかけました。「この若者は、いまこの地上にすむ人間の種族からは、けっして妻をもてない」
- マースとグウィディオンは言いました。「それなら、まじないと幻の術で、花から妻をつくろう」
- ふたりは、オークの花、エニシダの花、メドウスイートの花をあつめ、そこから「人が見たこともないほど美しく、しとやかな娘」をつくりだし、ブロダイウェズと名づけました

メル美結婚相手を、本人の気持ちと関係なく「つくって」決めちゃうんだね…。
2. グロヌとの出会い
- スェウとブロダイウェズは、アルドゥドゥイの宮殿でくらし、スェウは人びとにしたわれる領主になりました
- ある日、スェウがるすのあいだに、狩りの一行が宮殿の前を通りました。ペンスィンの領主グロヌ・ペビルです。ブロダイウェズは、日がくれたので一行を宮殿にまねきました
- 「ブロダイウェズがグロヌを見たそのときから、彼女の心は、グロヌへの愛でいっぱいになった」と書かれています。ふたりは、いつもいっしょにいられる方法を相談しました
3. ふしぎな死に方
- グロヌの考えで、ブロダイウェズは、夫のことを心配するふりをして、スェウにたずねました。「あなたが、どうしたら死んでしまうのか教えて。わたしのほうが、気をつけていられるから」
- スェウは答えました。「わたしは、かんたんには殺されない。1年かけて、日曜日の祈りのあいだだけつくった槍でなければならない。家の中でも外でもだめ、馬の上でも地面の上でもだめだ」
- 「川のそばに浴槽をつくり、屋根をかけ、雄ヤギをつれてくる。わたしが片足をヤギの背に、片足を浴槽のふちにのせたとき、その姿でうたれたら、死ぬだろう」

プレ男条件がややこしすぎる! でも、それを自分から話しちゃったんだ…。
- 1年後、ブロダイウェズはそのとおりの場所を用意し、スェウがその姿勢になったとき、かくれていたグロヌが槍を投げました。スェウは、ワシの姿になって、おそろしい声をあげて飛びさりました
4. ワシになったスェウ
- グウィディオンは、スェウをさがして旅をし、毎日どこかへ消えていくブタのあとをつけて、1本のオークの木の下にたどりつきます。木の上には、きずついたワシがとまっていました
- グウィディオンが、オークの木を歌う3つの詩(エングリン)をうたうと、ワシは1枝ずつおりてきて、グウィディオンのひざにとまりました。グウィディオンが魔法の杖でふれると、スェウはもとの姿にもどりましたが、骨と皮ばかりにやせていました。1年かけて、医者たちがスェウをなおしました
5. フクロウになったブロダイウェズ
- グウィディオンが宮殿にせまると、ブロダイウェズは侍女たちと山へにげました。侍女たちは、うしろばかりふりかえって走ったので、湖に落ちてしまい、ブロダイウェズだけがのこりました
- グウィディオンは言いました。「おまえを殺しはしない。だが、もっとつらいことをしよう。おまえを鳥に変える。スェウにした恥のために、おまえはもう、昼の光の中に顔を見せることはできない。ほかの鳥たちがおまえをおそれず、見つけしだい追いはらうだろう。名前はそのまま、ブロダイウェズとよばれる」
- 物語は、「ブロダイウェズは、いまのことばでフクロウのこと。だから、フクロウはすべての鳥ににくまれるのだ」としめくくっています

ゲスト訳の『マビノギオン』では、ブロダイウェズはフクロウに変えられ、「ブロダイウェズはいまのことばでフクロウのこと」と説明されています。
- その後スェウは、グロヌに「わたしがうたれた場所に立て。こんどは、わたしが投げる」と求めました。グロヌは石の板をあいだにおくことをゆるされましたが、スェウの槍は石ごとつらぬきました。その穴のあいた石は「スレッフ・グロヌ(グロヌの石)」とよばれ、いまもキンヴァエル川の岸にある、と書かれています
まとめ
- ブロダイウェズは、オーク・エニシダ・メドウスイートの花からつくられた女性
- 「人間の妻はもてない」という運命をかけられた英雄スェウの妻になった
- べつの男グロヌと心をかよわせ、夫のふしぎな死に方を聞きだした
- スェウはワシになって生きのび、ブロダイウェズはフクロウに変えられた
- 同じ『マビノギオン』の、白い馬の女性リアンノン、同じく姿を変えられたアイルランドのエーディン、アイルランドの光の神ルー、ケルト神話の入門もどうぞ
参考文献
- Lady Charlotte Guest(英訳). The Mabinogion. “Math the Son of Mathonwy”. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/5160 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Tsuda Bensaku, Owl, 1630s(1988.35、CC0). https://clevelandart.org/art/1988.35 (閲覧日:2026年10月10日)
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