
プレ男カドモスって、はじめて聞く名前だな。

メル美ギリシャの町テバイをつくった英雄なんだって。ギリシャに文字を伝えたともいわれているの。
こんにちは、Dr. Taro です。 英雄の解説、今回はギリシャ神話のカドモスです。アポロドーロス『ビブリオテーケー』(J.G.フレイザー訳、1921年)と、ヘロドトス『歴史』(A.D.ゴドリー訳、1920年)の英訳を、ペルセウス・デジタル・ライブラリーで読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「カドモスの物語の画家」とよばれる画家「テバイを建てるカドモス」1543〜44年ごろ。エッチング。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 父母 | 父はフェニキアの王アゲノル、母テレパッサ |
| きょうだい | 妹エウロペ、兄弟ポイニクス、キリクス |
| 妻 | ハルモニア(アフロディテとアレスの娘) |
| 子 | 娘アウトノエ、イノ、セメレ、アガウエ、息子ポリュドロス |
| ひらいた町 | テバイ(テーベ) |
| 最後 | 妻とともにヘビになり、ゼウスにエリュシオンの野へ送られた |
1. 妹をさがす旅
アポロドーロス第3巻1章です。
- フェニキアの王アゲノルには、娘エウロペと、3人の息子カドモス、ポイニクス、キリクスがいました
- ゼウスはエウロペを愛し、おとなしい牛に姿をかえて、エウロペを背中に乗せ、海をわたってクレタ島へつれていきました(エウロペはクレタでミノスらを生みます)
- エウロペがいなくなると、アゲノルは息子たちに「エウロペを見つけるまで帰ってくるな」と命じて、さがしに出しました。母テレパッサも、いっしょに旅立ちます
- けれども、どれだけさがしても見つかりません。息子たちは帰るのをあきらめ、ポイニクスはフェニキアに、キリクスはキリキアに住みつき、カドモスと母はトラキアに住みました
2. 「牛についていけ」
アポロドーロス第3巻4章1節です。
- 母テレパッサがなくなると、カドモスは母をほうむり、デルポイでエウロペのことをたずねました
- 神は答えます。「エウロペのことは気にするな。牛にみちびかれ、牛がつかれてたおれたところに、町をつくれ」
- カドモスはポキスを旅して、牛の群れの中の1頭を見つけ、そのあとをついていきました。牛はボイオティアをこえ、いまのテバイの町のあるところでたおれました

プレ男町の場所を、牛にえらんでもらったんだ!
3. 泉の竜と、「まかれた人びと」
- カドモスは、その牛をアテナにささげようと、仲間たちを「アレスの泉」へ水くみに行かせました。ところが、泉は竜がまもっていて(アレスの子だという人もいました)、仲間のほとんどがたおされてしまいます
- 怒ったカドモスは竜をたおし、アテナの教えで、その歯を地面にまきました。すると、地面から武装した兵士たちが生まれます。人びとは彼らを「スパルトイ(まかれた人びと)」とよびました
- 兵士たちはおたがいにたたかいはじめ、最後に5人だけがのこりました。エキオン、ウダイオス、クトニオス、ヒュペレノル、ペロロスです
- フレイザーの訳注によると、のちにイアソンも、アテナからもらった竜の歯の残りをコルキスでまいています(くわしくはイアソン)
4. 神々が祝った結婚
アポロドーロス第3巻4章2節です。
- カドモスは、竜を殺したつぐないとして、「永遠の1年」(いまの8年にあたる)のあいだ、アレスに仕えました
- そのあと、アテナはカドモスに王国をあたえ、ゼウスはハルモニアを妻にあたえました。ハルモニアは、アフロディテとアレスの娘です
- 「すべての神々が天をはなれ、カドメイア(テバイのとりで)で宴をひらき、歌で結婚を祝った」
- カドモスは、ハルモニアに衣と、ヘパイストスが作った首飾りをおくりました
- 2人の娘セメレは、のちにゼウスとのあいだにディオニュソスを生みます

メル美神々がみんな天からおりてきてお祝いした結婚なんて、すごいね。
5. ギリシャに文字を
- ヘロドトス『歴史』第5巻58節は、こう書いています。「カドモスといっしょに来たフェニキア人たちは、多くの学問とともに、それまでギリシャ人が知らなかったと思われる文字をもたらした」
- やがて文字の音や形は変わっていきましたが、まわりに住んでいたイオニアの人びとは、フェニキア人から文字を学んで使い、「フェニキア文字」とよびました
- ペルセウスの英訳の注は、「ヘロドトスの説が正しいかどうかはともかく、初期のギリシャ文字とフェニキア文字の形と順番には、たしかに似たところがある」とそえています
6. ヘビになった夫婦
アポロドーロス第3巻5章4節です。
- のちにカドモスとハルモニアはテバイをはなれ、エンケレイスという人びとのもとへ行きました。神託により、2人がイリュリア人とのたたかいの先頭に立つと、エンケレイスの人びとは勝ちました
- カドモスはイリュリア人の王になりましたが、やがてハルモニアとともにヘビにかえられ、ゼウスによってエリュシオンの野へ送られた、と書かれています

アポロドーロスによると、カドモスはデルポイで「牛にみちびかれ、牛がつかれてたおれたところに町をつくれ」と告げられ、テバイをひらきました。
まとめ
- カドモスは、ゼウスにさらわれた妹エウロペをさがす旅に出た、フェニキアの王子
- デルポイのお告げで牛のあとを追い、牛がたおれたところにテバイをひらいた
- 泉の竜をたおし、その歯をまくと、武装した「まかれた人びと」が生まれた
- ハルモニアとの結婚は、神々が天からおりて祝った。娘セメレはディオニュソスの母
- ヘロドトスは、カドモスたちがギリシャに文字をもたらしたと書いた
- 最後は夫婦でヘビになり、エリュシオンの野へ送られた
- ディオニュソス、テバイをなやませたスフィンクス、イアソンもどうぞ
参考文献
- Apollodorus. The Library, 3.1.1; 3.4.1–2; 3.5.4(英訳と訳注:Sir James George Frazer、1921年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=3:chapter=4:section=1 (閲覧日:2026年10月10日)
- Herodotus. The Histories, 5.58(英訳:A.D. Godley、1920年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0126:book=5:chapter=58 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Master of the Story of Cadmus, Cadmus Founding Thebes, ca. 1543–44(66.747.111、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/365699 (閲覧日:2026年10月10日)
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