
プレ男アルゴー号って、英雄たちが集まった船だよね! オールスターみたい。

メル美その船長がイアソンなんだって。はじまりは、なくしたサンダルの片方だったの。
こんにちは、Dr. Taro です。 英雄の解説、今回はギリシャ神話のイアソンです。アポロドーロス『ビブリオテーケー(ギリシャ神話集)』第1巻9章(J.G.フレイザー訳、1921年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)の英訳と訳注を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

ルネ・ボワヴァン「竜の歯をまくイアソン」(連作「イアソンと金の羊毛」より)1563年。銅版画(まわりのかざり枠をのぞき、中央の場面を切り出し)。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 父母 | 父アイソン、母ポリュメデ |
| ふるさと | イオルコス(王はおじのペリアス) |
| しるし | 片方だけのサンダル |
| 目的 | コルキスの「アレスの森」のカシの木にかけられ、ねむらない竜がまもる金の羊毛 |
| 船 | アルゴー号(50のかい。へさきに、ドドナのカシのしゃべる木) |
| 助けた人 | コルキスの王女メデイア |
1. 片方のサンダル
- イオルコスの王ペリアスは、王位について神託をうかがうと、「片方のサンダルの男に気をつけよ」と告げられました
- あるとき、ペリアスが海でポセイドンにいけにえをささげる祭りに、イアソンもよばれます。いなかで畑しごとをこのんでいたイアソンは、いそいで来るとちゅう、アナウロス川をわたるときにサンダルを片方流されてしまい、片方だけで到着しました
- ペリアスはお告げを思い出し、イアソンにたずねます。「もしおまえに力があって、市民のひとりに殺されるというお告げを受けたら、どうする?」
- イアソンは答えました。「その者に、金の羊毛をとってくるよう命じます」。アポロドーロスは、イアソンがこう答えたのは、たまたまか、それとも、自分をうやまわないペリアスをこらしめようとした女神ヘラのはたらきかけだったのか、と書いています(くわしくはヘラ)
- ペリアスは、すぐにイアソンに、金の羊毛をとってくるよう命じました

プレ男自分で言ったことが、そのまま自分への命令になっちゃった!
2. アルゴー号と英雄たち
- イアソンは、プリクソスの子アルゴスに助けをもとめ、アルゴスはアテナの教えで、50のかいの船を作りました。作った人の名をとって「アルゴー号」とよばれます
- アテナは、へさきに、ドドナのカシの木からとった、しゃべる木材をとりつけました
- 集まった英雄たちの名が、アポロドーロスにずらりとならびます。舵とりのティピュス、竪琴の名手オルペウス、北風の子ゼテスとカライス、ゼウスの子カストルとポリュデウケス、ヘラクレス、テセウス、そして女性の狩人アタランテなど

メル美ヘラクレスもテセウスも乗っていたんだ。ほんとうにオールスターだね。
3. 火をはく牛と、竜の歯
- いくつもの島や国をへて、アルゴー号はコルキスのパシス川に着きました。イアソンが金の羊毛をもとめると、コルキスの王アイエテスは「ひとりで、青銅の足の牛にくびきをつけられたら、わたそう」と言います
- その牛は、ヘパイストスがおくった2頭の大きな牛で、青銅の足をもち、口から火をはいていました。そして、牛でたがやした畑に竜の歯をまけ、というのです
- そのとき、王の娘メデイアがイアソンに恋をしました。メデイアは魔法の使い手で、父にかくれて、イアソンを助けると約束します。ただし、「わたしを妻にし、ギリシャへつれていくとちかうなら」
- イアソンがちかうと、メデイアは薬をわたしました。「これを盾と槍と体にぬれば、1日のあいだ、火にも鉄にも傷つけられない」。そして、「歯をまくと、武装した兵士たちが地面から出てくる。かたまっているところに、遠くから石を投げこみなさい。兵士たちがおたがいにたたかいはじめたら、近づいてたおしなさい」と教えました
- イアソンは薬をぬり、炎をはいておそってくる牛に、くびきをつけました。歯をまくと兵士たちがあらわれ、イアソンは教えられたとおり、見えないところから石を投げて、兵士たちを同士うちさせました
4. 長い帰り道
- 金の羊毛を手に入れたイアソンとメデイアは、アルゴー号でコルキスをのがれます。帰り道は長く、アポロドーロスによると、
- セイレンの歌は、オルペウスが別の歌をうたってうち消し(ひとりだけ泳いでいったブテスは、アフロディテに救われた)
- カリュブディス、スキュラ、さまよう岩のあいだは、ヘラによばれた海の女神テティスたちが船をみちびき
- クレタ島では、島をまもる青銅の巨人タロスに石を投げられましたが、メデイアのはかりごとでたおしました
- こうしてアルゴー号は、4か月でイオルコスに帰りついた、と書かれています
5. そのあとの悲劇
- イアソンは金の羊毛をペリアスにわたしましたが、そのあいだに、ペリアスはイアソンの家族を死においやっていました。イアソンとメデイアのその後は、ペリアスへの復讐、コリントスでの心がわり、メデイアの怒りと、悲劇へとつづいていきます
- アポロドーロスは、コリントスでの結末については、エウリピデスの悲劇『メデイア』にしたがって書いている、とフレイザーの訳注は説明しています

アポロドーロスによると、イオルコスの王ペリアスは「片方のサンダルの男に気をつけよ」という神託を受けていて、川でサンダルを片方なくしたイアソンに、金の羊毛をとってくるよう命じました。
まとめ
- イアソンは、片方のサンダルでやってきたことから、王ペリアスに金の羊毛をとってくるよう命じられた
- しゃべる木をつけたアルゴー号に、ヘラクレス、オルペウス、テセウスら英雄たちが集まった
- コルキスでは、王女メデイアの薬と知恵で、火をはく牛にくびきをつけ、竜の歯から出た兵士たちをたおした
- 帰り道では、セイレン、スキュラ、青銅の巨人タロスをのりこえた
- そのあとの物語は、悲劇へとつづく
- 羊毛をまもるコルキスの竜、タロス、ヘラ、アルゴ船に乗ったふたごカストルとポリュデウケスもどうぞ
参考文献
- Apollodorus. The Library, 1.9.16–28(英訳と訳注:Sir James George Frazer、Loeb Classical Library、1921年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=1:chapter=9:section=16 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. René Boyvin, Jason Sows the Dragon’s Teeth, from “Jason and the Golden Fleece”, 1563(2018.839.53.10、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/787849 (閲覧日:2026年10月10日)
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