
プレ男カストルとポリュデウケスって、神話のふたごなんだよね?

メル美うん。ひとりが死んだとき、もうひとりが「自分だけ不死になるのはいやだ」って言ったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のカストルとポリュデウケス(ディオスクロイ)です。アポロドーロス『ビブリオテーケー(ギリシャ神話)』(J.G.フレイザー英訳)とホメロス『オデュッセイア』(A.T.マレー英訳、1919年)をペルセウス・デジタル・ライブラリーで、『ホメロス風讃歌』33番(H.G.エヴリン=ホワイト英訳、1914年)をProject Gutenberg で読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。

「エウクラティデス1世の銀貨(裏)」紀元前170〜145年、バクトリア(いまのアフガニスタン)。クリーブランド美術館所蔵(CC0)。美術館の解説によると、槍をもって馬に乗るのはカストルとポルックス(ポリュデウケス)です
プロフィール
| カストル | ポリュデウケス | |
|---|---|---|
| とくい | 戦い、馬をならすこと | ボクシング |
| 母 | レダ | レダ |
| よび名 | 「ディオスクロイ(ゼウスの若者たち)」 | 同じ |
| さいご | 戦いでたおれた | 不死をあたえられたが、兄弟と分けあった |
1. ふたりの兄弟
アポロドーロス(3.11.2)です。
- 「レダから生まれた息子たちのうち、カストルは戦いのわざを、ポリュデウケスはボクシングのわざをみがいた。その勇ましさから、ふたりはディオスクロイとよばれた」
- フレイザーの注によると、「ディオスクロイ」は「ゼウスの若者たち」という意味です
- ふたりは、金の羊の毛皮をもとめるイアソンのアルゴ船の旅にもくわわっています
2. 牛をめぐるあらそい
- ふたりは、いとこのイダスとリュンケウスといっしょに、アルカディアから牛をうばってきました。分けるのをまかされたイダスは、1頭の牛を4つに切り、「いちばん先に自分の分を食べた者が半分、2番目の者がのこりをとる」と言いました
- そして、ふたりが気づかないうちに、イダスは自分の分も弟の分もたいらげて、牛をみなつれていってしまいました
- ディオスクロイはおいかけ、待ちぶせしましたが、目のするどいリュンケウスがカストルを見つけ、イダスがカストルを討ちました。ポリュデウケスはリュンケウスをたおしましたが、石を頭にうけて気をうしないます。ゼウスは、イダスを雷でうちました

メル美牛を食べる競争で、ずるをしたのがはじまりなんだ…!
3. ひとりだけの不死はいらない
- ゼウスは、ポリュデウケスを天へつれていこうとしました
- 「けれども、ポリュデウケスは、兄弟カストルが死んでいるのに、自分だけ不死をうけとることをことわった。そこでゼウスは、ふたりがそろって、1日ごとに、神々のもとと人間のもとでくらすことをゆるした」

プレ男「ひとりで神さまになるより、兄弟といっしょがいい」って、かっこいいな。
- ホメロス『オデュッセイア』11巻でも、冥界をおとずれたオデュッセウスが、ふたりのことをこう語ります。「命をあたえる大地が、生きたままのふたりをおおっている。地の下でも、ゼウスから名誉をさずかっている。1日ごとにかわるがわる生き、1日ごとに死んでいる。そして、神々のような名誉を得ている」

アポロドーロスでは、ポリュデウケスは兄弟が死んでいるのに自分だけ不死になることをことわり、ゼウスはふたりが1日ごとに神々のもとと人間のもとでくらすことをゆるしました。
4. 嵐の海の救い手
『ホメロス風讃歌』33番「ディオスクロイに」です。
- 「ふたりは、地上の人びとと、はやく走る船を救う者。冬の嵐が、ようしゃのない海にふきあれるとき、船乗りたちは、白い子羊をささげるとちかって、ゼウスの息子たちに祈る」
- 「強い風と波が船をしずめそうになったとき、とつぜん、ふたりが黄金色の翼で空をかけてくるのが見える。たちまち、ふたりはきびしい風をしずめ、白い海の波をおさめる」
- 「船乗りたちは、ふたりを見るとよろこび、苦しみとつかれから解放される」
まとめ
- カストルとポリュデウケスは、レダの子のふたごで、「ディオスクロイ(ゼウスの若者たち)」
- カストルは戦いと馬、ポリュデウケスはボクシングがとくい
- カストルがたおれたとき、ポリュデウケスは自分だけの不死をことわった
- ゼウスは、ふたりが1日ごとに、神々のもとと人間のもとでくらすことをゆるした
- 嵐の海で船乗りを救う神としてもまつられた
- アルゴ船の旅のイアソン、父とされるゼウス、トロイア戦争の英雄アキレウスもどうぞ
参考文献
- Apollodorus. The Library(英訳:J. G. Frazer、1921年), 3.11.2 と注. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0022:text=Library:book=3:chapter=11:section=2 (閲覧日:2026年10月10日)
- Homer. The Odyssey(英訳:A. T. Murray、1919年), 11.298–304. Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0136:book=11:card=298 (閲覧日:2026年10月10日)
- Homeric Hymn 33, To the Dioscuri(英訳:Hugh G. Evelyn-White、1914年). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月10日)
- クリーブランド美術館. Coin of Eukratides I, 170–145 BCE(1999.319.b、CC0). https://clevelandart.org/art/1999.319.b (閲覧日:2026年10月10日)
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