
プレ男「むかしはよかった」って、古代ギリシャの人も言ってたの?

メル美詩人ヘシオドスは、人間の歴史を金・銀・青銅・英雄・鉄の5つの時代に分けて語ったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話の人間の五つの時代です。ヘシオドスの『仕事と日』109〜201行(H.G.エヴリン=ホワイト英訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。この話は、同じ詩のパンドラの話のすぐあとに、「もうひとつの話」として語られます。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| 種族 | つくった神 | すがた | そのあと |
|---|---|---|---|
| 1. 金 | オリュンポスの神々(クロノスの時代) | 苦しみも老いも知らない | 地上をまもる、やさしい霊に |
| 2. 銀 | オリュンポスの神々 | 100年も子どものまま | 地下の祝福された霊に |
| 3. 青銅 | ゼウス | トネリコから生まれ、戦いを好む | 自分たちの手でほろび、名ものこさない |
| 4. 英雄(半神) | ゼウス | 青銅よりりっぱで正しい | 戦いでたおれ、のこりは「幸福の島」へ |
| 5. 鉄 | ゼウス | いまの人間 | 昼も夜も、苦労と悲しみ |
1. 金の種族
- 「はじめに、オリュンポスに住む不死の神々は、死すべき人間の金の種族をつくった。クロノスが天を治めていた時代である」
- 金の種族は、神々のように、心に悲しみもなく、苦労も苦しみもなくくらしました。みじめな老いもなく、手足はいつまでもおとろえず、あらゆるわざわいからはなれて、宴をたのしみました
- 死ぬときは、ねむりにおちるようでした。大地は、たがやさなくても、ゆたかな実りをおしみなくあたえました
- 大地がこの種族をおおったあと、彼らは地上に住む清らかな霊とよばれるようになりました。やさしく、わざわいから人をまもり、霧をまとって地上をめぐり、人間を見まもっている、とヘシオドスは書いています

メル美はたらかなくても実りがあって、老いもない…。夢みたいな時代だね。
2. 銀の種族
- つぎにつくられたのは、銀の種族でした。体も心も、金の種族にはおよびません
- 子どもは、100年のあいだ母のそばで育てられ、家の中で子どものようにあそぶ、まったくのおさなごでした
- おとなになると、おろかさのために、わずかのあいだしか生きられず、苦しみました。たがいに悪いことをするのをやめられず、神々をうやまわず、祭壇にいけにえもささげなかったので、ゼウスは怒って、彼らをかくしてしまいました
- この種族は、のちに人々から「地下の祝福された霊」とよばれ、2番目ではあっても、うやまわれている、とされます
3. 青銅の種族
- ゼウスは、3番目の種族として、トネリコの木から生まれた、青銅の種族をつくりました
- 銀の種族とはまったくちがい、おそろしく、力が強い種族でした。戦いの神アレスのわざと、あらそいを好み、パンを食べず、心はかたい石のようでした
- よろいも家も道具も、みな青銅。まだ黒い鉄はありませんでした
- 彼らは自分たちの手でほろび、冷たい冥界へ行き、名ものこしませんでした

プレ男金、銀、青銅…。時代がすすむほど、人がつらくなっていくんだ。
4. 英雄の種族
- ところが4番目は、ちがいました。ゼウスは、青銅よりりっぱで正しい、神のような英雄の種族をつくりました。「半神」とよばれる、いまの人間のひとつ前の種族です
- 彼らの一部は、7つの門のあるテーバイで、オイディプスの羊の群れをめぐってたたかい、また一部は、美しい髪のヘレネのために、船でトロイアへわたってたおれました
- のこりの者に、ゼウスは、人間からはなれた大地のはてに住まいをあたえました。彼らは深いオケアノスの岸辺の「幸福の島」で、悲しみにふれることなくくらし、大地は年に3度、蜜のようにあまい実りをあたえる、とされます
5. 鉄の種族
- そして5番目が、鉄の種族です。ヘシオドスは書いています。「わたしは、5番目の種族の中にいたくなかった。その前に死ぬか、あとに生まれたかった。いまはまさに鉄の種族の時代なのだ」
- 人々は、昼は苦労と悲しみから休むことなく、夜もほろびつづけます。それでも、わざわいの中に、いくらかのよいこともまじっている、とヘシオドスは書きそえています
- ヘシオドスは、この種族のゆくすえも語ります。父と子はわかりあわず、客と主人も、友どうしも、兄弟も、むかしのようには親しくなくなる。年老いた親を大切にせず、ちかいをまもる人や正しい人がむくわれない……
- そしてさいごには、「恥(アイドス)」と「義憤(ネメシス)」の女神たちが、白い衣に身をつつんで地上を去り、不死の神々のもとへ行ってしまう、と語っています

プレ男むかしの詩人も、自分たちの時代を「いちばん苦しい」と思ってたんだね。

『仕事と日』では、鉄の種族はくるしみの中にいても、わざわいの中にいくらかのよいこともまじっている、と書かれています。
まとめ
- ヘシオドス『仕事と日』は、人間の歴史を5つの種族で語る
- 金:クロノスの時代。苦しみも老いもなく、死はねむりのよう
- 銀:100年も子どものまま。神々をうやまわず、ゼウスにかくされた
- 青銅:トネリコから生まれ、戦いを好み、自分たちの手でほろんだ
- 英雄(半神):テーバイやトロイアでたたかい、のこりは幸福の島へ
- 鉄:いまの人間。苦労と悲しみの中に、いくらかのよいこともある
- 同じ『仕事と日』のパンドラ、人間に火をあたえたプロメテウス、大洪水を生きのびたデウカリオンもどうぞ
参考文献
- Hesiod. Works and Days, ll. 106–201(英訳:H. G. Evelyn-White、1914年、注をふくむ). In: Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月12日)
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