
プレ男「蓬萊(ほうらい)」って、仙人が住む山だよね? 海にういてたの?

メル美『列子』では、もともと5つの山があって、波にゆられないように、大きなカメが頭でささえていたんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は中国の五つの神山と巨大なカメです。思想書『列子』の湯問篇の原文(ウィキソース)を読みました。殷の湯王の問いに、夏革(かかく)が答える形で語られます。同じ湯問篇の愚公、山を移すもどうぞ。中国神話の全体は中国神話の入門へ。
プロフィール
| 場所 | 渤海の東、何億万里かわからない遠く。底なしの谷「帰墟(ききょ)」 |
| 5つの山 | 岱輿(たいよ)・員嶠(いんきょう)・方壺(ほうこ)・瀛洲(えいしゅう)・蓬萊(ほうらい) |
| 山の大きさ | 高さとまわりは3万里、頂上のたいらなところは9千里 |
| 住む人 | 仙人・聖人のなかま |
| ささえるもの | 15匹の巨大なカメ(巨鼇) |
| カメをつった者 | 龍伯の国の巨人 |
1. 底なしの谷「帰墟」
- 「渤海の東、何億万里あるかわからないところに、大きな谷がある。まことに底のない谷で、その名を帰墟という」
- 世界じゅうの水も、天の川の流れも、みなここにそそぎこみますが、ふえもへりもしません
- その中に、5つの山があります。岱輿、員嶠、方壺、瀛洲、蓬萊。高さとまわりは3万里、頂上のたいらなところは9千里。山と山のあいだは7万里はなれていて、となりどうしになっています
2. 仙人たちの山
- 山の上の宮殿や見晴らし台は、みな金と玉でできていて、鳥やけものは、みなまっ白です
- 真珠や宝石の木がむらがって生え、花も実もおいしく、食べれば年をとらず、死なない
- 住む人は、みな仙人や聖人のなかまで、ひと晩のうちに、山から山へ飛んで行き来する人は、数えきれないほどでした

メル美金と玉の宮殿に、白い鳥、年をとらない木の実…。まさに仙人の楽園だね。
3. 15匹のカメ
- ところが、5つの山の根もとは、どこにもつながっていませんでした。いつも潮や波にゆられて上下し、少しのあいだも、じっとしていられません
- 仙人たちはこまって、天帝にうったえました。天帝は、山が西の果てへ流されて、仙人たちの住まいがなくなることをおそれ、禺彊(ぐきょう)に命じて、15匹の巨大なカメに、頭をもたげて山をささえさせました
- カメは3組に分かれて、6万年に1度交代します。こうして5つの山は、はじめて動かなくなりました
4. 龍伯の国の巨人
- ところが、龍伯の国に巨人がいました。足をあげて数歩も歩かないうちに5つの山のところへやってきて、ひとつりで6匹のカメをつりあげ、まとめてせおって国へ帰り、その骨を焼いてうらないに使いました
- すると、岱輿と員嶠の2つの山は北の果てへ流され、大海にしずんでしまいました。住まいをうしなった仙人たちは、何億人にものぼりました
- 天帝はひどく怒り、龍伯の国を小さくし、その民の背もちぢめてしまいました。それでも、伏羲や神農の時代には、その国の人の背はまだ数十丈あった、と書かれています

プレ男カメを6匹もつっちゃうなんて、どれだけ大きいの!? それで山が2つもしずんだんだ…。
5. 大きいもの、小さいもの
- この話は、湯王の「ものに大小はあるか、長短はあるか、同じとちがいはあるか」という問いへの答えとして語られます。夏革は、つづけて、大きいものと小さいものの話をします。東には背の高さが1尺5寸の僬僥(しょうぎょう)の国があり、北東の果てには背が9寸の諍人(そうじん)がいる、と語ります
- また、北の果ての天の池には、はばが何千里もある魚・鯤と、つばさが空にたれこめる雲のような鳥・鵬がいて、「禹が歩いて見つけ、伯益が知って名をつけ、夷堅が聞いて記した」と語ります

『列子』では、波にゆられる5つの山を、天帝が15匹の巨大なカメにささえさせました。けれども龍伯の国の巨人が6匹をつりあげたため、岱輿と員嶠の2つの山は北の果てへ流され、海にしずみました。
まとめ
- 渤海のはるか東の底なしの谷帰墟に、5つの山(岱輿・員嶠・方壺・瀛洲・蓬萊)がうかんでいた
- 山には金と玉の宮殿、年をとらない木の実があり、仙人たちが住んでいた
- 山が波で流されないよう、天帝は15匹の巨大なカメに頭でささえさせた
- 龍伯の国の巨人が6匹のカメをつりあげ、岱輿と員嶠は海にしずんだ。のこったのは3つの山
- 同じ湯問篇の愚公、山を移す、『荘子』にも出てくる大きな魚と鳥鯤と鵬、崑崙山の女神西王母もどうぞ
参考文献
- 『列子』卷第五 湯問篇(渤海の東の五山の条). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/列子/湯問篇 (閲覧日:2026年10月10日)
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