
プレ男食べると若がえるリンゴ!? ほしい!

メル美北欧の神さまたちは、そのリンゴがないと年をとっちゃうんだって。それが盗まれる話だよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は北欧神話のイズンとリンゴです。スノッリの『エッダ』(R.B.アンダーソン訳『新エッダ』、1879年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

ジェームズ・ドイル・ペンローズ「イズンとリンゴ」1890年。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン。作者は1932年没)
プロフィール
| 名前 | イズン(英訳では Idun) |
| 夫 | 詩の神ブラギ |
| 持ちもの | 箱にしまったリンゴ。神々は年をとるとそれを食べて若がえる |
| さらった者 | 巨人スィアチ(英訳では Thjasse)。ワシの姿で |
| 助けた者 | ロキ。フレイヤのタカの羽衣を借りて |
1. 詩の神ブラギと、若がえりのリンゴ
スノッリ『エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」26章です。
- 「ブラギは、アース神族のひとり。知恵とことばのうまさで名高く、詩の名人である。詩のことを「ブラグ」というのは、ブラギの名からきている」
- 「その妻はイズン。神々が年をとったときに食べるリンゴを、箱にしまっている。それを食べると若がえり、神々の黄昏(ラグナロク)までそうしてすごす」
- 話を聞いたガングレリが「イズンがリンゴをたいせつに守っていることは、神々にとってとても重要ですね」と言うと、語り手のハールは笑って答えました。「一度、たいへんあぶないことがあった」
2. ワシとの約束
「詩語法」のはじめ、ブラギが海の巨人エーギルに語る話です。
- オーディン、ロキ、ヘーニルの3人が旅をしていて、食べものがなく、牛を1頭とってゆでました。ところが、いくらゆでても煮えません
- 上のカシの木から声がします。見ると、大きなワシがいて、「牛を腹いっぱい食べさせてくれれば、煮えるようにしてやろう」と言いました
- ワシがおりてきて、牛のもも2本と肩2つをさらったので、ロキは怒って棒でなぐりつけます。すると、棒はワシの体にくっつき、もう片方の端はロキの手にくっついてはなれません。ワシはロキを引きずって飛び、ロキの足は石や木にぶつかりました
- ワシは言います。「イズンとそのリンゴを、アースガルズの外へつれだすと約束するなら、はなしてやろう」。ロキは約束しました

プレ男手がはなれなくなって、引きずりまわされるなんて…。それで約束しちゃったのか。
3. さらわれたイズン
- 約束の日、ロキはイズンに「あなたが気に入りそうなリンゴを森で見つけたよ。くらべるために、自分のリンゴも持っておいで」と言って、アースガルズの外の森へさそいだしました
- そこへ巨人スィアチがワシの姿でやってきて、イズンをつかみ、自分の家スリュムヘイムへつれさってしまいます
- イズンがいなくなると、神々は白髪になり、年をとっていきました。神々は集まって、最後にイズンを見たのはだれかをたずねあいます。イズンは、ロキといっしょにアースガルズを出たのが最後でした
- ロキはつかまえられ、死か拷問だとおどされます。こわくなったロキは、「フレイヤのタカの羽衣を貸してくれれば、イズンをつれもどす」と約束しました
4. クルミになったイズン
- ロキはタカに姿をかえて、北の巨人の国へ飛びました。スィアチは海へ舟をこぎに出ていて、イズンは家にひとりでした
- ロキはイズンをクルミの姿に変えてつめでつかみ、全速力で飛びます
- 帰ってきたスィアチは、イズンがいないことに気づき、ワシの姿になって追いかけました。ワシの翼は、ぐんぐんタカにせまります
- 神々は、タカがクルミを持って飛んでくるのと、ワシが追ってくるのを見て、アースガルズの城壁にかんなくずの束を運びました。タカが城壁の内側におりたつと、神々はかんなくずに火をつけます。ワシは止まれずに火にとびこみ、羽が燃えて飛べなくなりました。こうして巨人スィアチは、アースガルズの門の中でたおされました

メル美トラブルをおこしたのもロキ、助けたのもロキ。ロキらしい話だね。
5. スィアチの目は星に
- 「詩語法」はつづけて、スィアチの娘スカジが、父のかたきをうちに、兜とよろいをつけてアースガルズへやってくる話を語ります。神々はつぐないとして、スカジに足だけを見て夫をえらばせました。スカジは「バルドルには、きずがほとんどないはず」と、いちばん美しい足をえらびましたが、それは海の神ニョルズの足でした。ロキは、ヤギのひげとひもで引っぱりあいをして、スカジをわらわせました
- オーディンは、さらにスィアチの目を天に投げあげて、2つの星にした、と書かれています

スノッリ『エッダ』では、イズンがいなくなると、神々は白髪になり、年をとっていったと語られています。
まとめ
- イズンは、詩の神ブラギの妻で、神々が食べて若がえるリンゴを箱にしまっている女神
- ロキがワシとの約束でイズンを森へさそいだし、巨人スィアチがワシの姿でさらった
- イズンがいなくなると、神々は白髪になり年をとった
- ロキはフレイヤのタカの羽衣で飛び、イズンをクルミに変えてつれもどした
- 追ってきたワシは、城壁のかんなくずの火で羽を焼かれた
- ロキ、フレイヤ、オーディン、北欧神話の入門もどうぞ
参考文献
- Rasmus B. Anderson(英訳). The Younger Edda(1879年). Gylfaginning 26; Bragaroedur(Idun and her Apples; How Njord got Skade to wife). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
- James Doyle Penrose. Idun and the Apples(1890年). Wikimedia Commons(パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Idun_and_the_Apples_by_James_Doyle_Penrose,_1890.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



