
プレ男フレイヤって、北欧神話の女神さまだよね。どんな女神?

メル美『新エッダ』を読むと、ネコの車に乗って、戦場にも行く女神なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は北欧神話のフレイヤです。スノッリ『新エッダ』(R.B.アンダーソン訳、1879年)と、『古エッダ』の「スリュムの歌」(H.A.ベロウズ訳、1923年)の英訳を、プロジェクト・グーテンベルクで読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

エミール・ドープラー「フレイヤ」1905年ごろ刊『ヴァルハラ ゲルマンの神々の世界』より(ドープラーは1922年没)。ネコの引く車に乗るフレイヤ。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 立場 | 「女神たちの中でいちばん名高い」女神 |
| 家族 | 父は海の神ニョルズ、兄(弟)は豊かさの神フレイ。夫オーズ、娘フノス |
| 館 | 天のフォールクヴァングにある、大きく美しい広間セスルームニル |
| 乗りもの | 2匹のネコが引く車 |
| 持ちもの | 首かざりブリーシング(ブリーシンガメン)、羽の衣 |
| ほかの名前 | マルドル、ホルン、ゲヴン、シュール、ヴァナディース |
1. 戦場の死者の半分をえらぶ
『新エッダ』の『ギュルヴィたぶらかし』24節です。
- 海の神ニョルズには、息子フレイと娘フレイヤがいました。2人とも美しく、力がありました
- フレイは雨と日の光、大地の実りをつかさどり、豊作と平和をいのるのによい神。フレイヤは「女神たちの中でいちばん名高い」女神です
- フレイヤは天にフォールクヴァングという住まいをもち、戦いに出ると、たおれた者の半分は彼女のもの、残りの半分はオーディンのものになります。「グリームニルの言葉」はうたいます。「フォールクヴァングとよばれ、そこをフレイヤが治める。広間の席のために、たおれた者の半分を、毎日えらぶ。残りの半分はオーディンのもの」
- 出かけるときは、2匹のネコが引く車に乗ります
- 人がよびかけると、こころよく耳をかたむけてくれます。恋の歌が好きで、恋のことで祈るのによい女神だ、とも書かれています
- 身分の高い女性を「フルール(貴婦人)」とよぶのは、フレイヤの名前からきている、とスノッリは説明しています

プレ男戦死者をオーディンと半分こ! 恋の女神なのに、戦いの女神でもあるんだ。
2. 赤い金の涙
『新エッダ』の女神たちを紹介する節(36節)です。
- フレイヤは、女神の長フリッグとならぶ女神で、オーズという男と結婚しています。娘の名はフノス。あまりに美しいので、美しく大切なものはみな「フノス」とよばれるほどでした
- ところがオーズは、遠くへ行ってしまいました。フレイヤはオーズを思って泣きますが、「その涙は赤い金」でした
- フレイヤにはたくさんの名前があります。オーズをさがして、いろいろな国をたずねるたびに、名前をかえたからだといいます
- フレイヤは、首かざりブリーシングをもち、「ヴァナディース」ともよばれます
- 詩の言葉では、金のことを「フレイヤの涙」「フレイヤの目」とも言いかえる、とスノッリは書いています

メル美名前をかえながら、夫をさがして旅をしたんだ…。涙が金って、きれいだけど切ないね。
3. 羽の衣と、怒りの首かざり
『古エッダ』の「スリュムの歌」です(くわしくはトール)。
- トールのハンマーがぬすまれたとき、トールとロキは、まずフレイヤの館へ行き、「羽の衣を貸してください」とたのみます。フレイヤは「銀でできていても、金でできていても、あなたにあげましょう」と答え、ロキはその衣で巨人の国へ飛んでいきました
- ところが、巨人の王スリュムは「フレイヤを妻にくれなければ、ハンマーは返さない」と言います
- 神々に「花嫁のベールをつけて」とたのまれたフレイヤは、はげしく怒って鼻をならし、神々の館がゆれ、首かざりブリーシンガメンがはじけ飛びました。そこで、トールが花嫁に変装することになります
4. 巨人たちに「フレイヤをよこせ」と言われる
- 神々の城を1年半で建てると申し出た職人(じつは巨人)が、ほうびに求めたのも、フレイヤと太陽と月でした。神々はロキの悪知恵で約束をやぶり、このとき8本足の馬スレイプニルが生まれます
- 巨人たちは、何かといえばフレイヤをほしがります。それほど、神々の国にとって大切な女神だったということでしょう

スノッリによると、フレイヤは人がよびかけるとこころよく耳をかたむけ、恋のことで祈るのによい女神です。
まとめ
- フレイヤは、海の神ニョルズの娘で、「女神たちの中でいちばん名高い」女神
- 2匹のネコの車に乗り、戦場でたおれた者の半分を自分の館フォールクヴァングにえらぶ
- 恋の歌が好きで、恋のことで祈るのによい女神
- 遠くへ行った夫オーズをさがして、赤い金の涙を流し、たずねた国ごとに名前をかえた
- 羽の衣と首かざりブリーシンガメンをもつ。巨人スリュムや城の職人にほしがられた
- 北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。トール、オーディン、フレイヤのタカの羽衣が出てくるイズンとリンゴの記事もどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). The Fooling of Gylfe, sections 24 and 36; Æger’s Feast. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
- The Poetic Edda(英訳:Henry Adams Bellows、The American-Scandinavian Foundation、1923年). Thrymskvitha, stanzas 3–4 and 11–12. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/73533 (閲覧日:2026年10月10日)
- Wikimedia Commons. File:Freyja by Emil Doepler.JPG(Emil Doepler〈1855–1922〉『Walhall, die Götterwelt der Germanen』ca. 1905、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Freyja_by_Emil_Doepler.JPG (閲覧日:2026年10月10日)
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