
プレ男フレイって、フレイヤのきょうだいだよね。名前がそっくり!

メル美うん。実りの神さまで、恋のために大事な剣を手ばなしちゃう話があるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神さまの解説、今回は北欧神話のフレイです。スノッリ『新エッダ』(R.B.アンダーソン訳、1879年、プロジェクト・グーテンベルク)の英訳を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

カール・エミール・ドープラー「フレイとスキールニル」1882年刊、ヴィルヘルム・ヴェーグナー『北欧・ゲルマンの神々と英雄』より(ドープラーは1905年没)。コモンズの説明では、イノシシの引く車で実りをまくフレイとスキールニル。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 立場 | 「アース神族の中でいちばん名高い神」。雨と日の光、大地の実りをつかさどる |
| 家族 | 父は海の神ニョルズ、きょうだいはフレイヤ |
| 妻 | 巨人の娘ゲルズ |
| 家来 | スキールニル |
| 宝 | たためる船スキーズブラズニル、金の毛のイノシシ |
| 最期 | ラグナロクで、炎の巨人スルトと戦ってたおれる |
1. 豊作と平和の神
『ギュルヴィたぶらかし』24節です。
- 「ニョルズには、息子フレイと娘フレイヤの2人の子がいた。2人とも美しく、力があった」
- 「フレイは、アース神族の中でいちばん名高い。雨と日の光、大地の実りをつかさどる。豊作と平和を祈るのに、よい神である。また、人びとの富もつかさどる」
2. オーディンの高座から見た恋
『ギュルヴィたぶらかし』38節です。
- ある日フレイは、オーディンの高座フリズスキャールヴにすわって、すべての世界をながめていました。北のほうに、大きく美しい家が見えます
- その家へ、ひとりの女性が歩いていき、戸をあけようと手をあげると、「空も海もかがやき、世界じゅうが明るくなった」。巨人ギュミルの娘、「すべての女性の中でいちばん美しい」ゲルズでした
- 聖なる高座にすわったおこないのむくいとして、フレイは悲しみにしずんで家に帰りました。話さず、ねむらず、飲みもせず、だれも声をかけられません
- 父ニョルズにたのまれて、家来のスキールニルがわけをたずねると、フレイは「美しい女性を見た。手に入らなければ、もう生きていられない」と打ち明け、求婚に行ってほしいとたのみました

メル美ひと目ぼれで、食べることもねむることもできなくなっちゃった…!
3. ひとりでに戦う剣をゆずる
- スキールニルは、行くかわりに、フレイの剣をもとめました。「とてもすぐれていて、ひとりでに戦う剣」です。フレイはことわらず、剣をわたしました
- スキールニルはゲルズに求婚し、9夜のあとに、バレイの島でフレイと結婚するという約束をとりつけます
- 知らせを聞いたフレイは言いました(『古エッダ』「スキールニルの旅」からの引用)
- 「1夜は長い、2夜も長い。3夜をどうして待てようか。ひと月よりも、この半夜のほうが長く思える」
- 剣がなかったので、フレイは巨人ベリと戦ったとき、シカの角でたおしたといいます
4. 剣のないラグナロク
- 王ギュルヴィが「あれほどの神が、代わりのない剣をゆずってしまうとは。ベリとの戦いで後悔しただろう」と言うと、答えが返ってきます
- 「ベリとの戦いは、たいしたことはなかった。フレイなら手でも殺せた。でも、剣がないことで、もっとひどい目にあうときが来る。ムスペルの子らが攻めてくるときだ」
- 世界の最後の日ラグナロク、「フレイは炎の巨人スルトと出会い、はげしく打ちあったすえにたおれる。そのわけは、スキールニルにゆずった、あのすぐれた剣をもっていなかったからだ」と『新エッダ』は書いています

プレ男恋のためにゆずった剣が、世界の終わりで命とりに…。せつない!
5. たためる船スキーズブラズニル
- 『ギュルヴィたぶらかし』44節によると、スキーズブラズニルは「船の中でいちばんよい船」。イーヴァルディの息子たちという小人が作って、フレイにおくりました
- 神々がみんな武具をもって乗れるほど大きく、帆をあげれば、どこへ行くにも追い風がふきます。使わないときは、ナプキンのようにたたんで、ポケットに入れて持ち歩けました
- このとき小人たちは、ロキとの賭けで、金の毛のイノシシもフレイにおくっています(くわしくはロキ)

『新エッダ』によると、フレイはラグナロクで炎の巨人スルトにたおれます。そのわけは、恋のために家来へゆずった剣をもっていなかったからでした。
まとめ
- フレイは、海の神ニョルズの子で、雨と日の光と大地の実り、豊作と平和の神
- オーディンの高座から巨人の娘ゲルズを見て恋をし、ひとりでに戦う剣を家来スキールニルにゆずった
- 「1夜は長い、2夜も長い」と、結婚の日を待ちこがれた
- 剣がないために、ラグナロクで炎の巨人スルトにたおれる
- たためる船スキーズブラズニルをもつ
- きょうだいのフレイヤ、宝の由来のロキもどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). The Fooling of Gylfe, sections 24, 38, 44 and Ragnarok; Loke’s Wager with the Dwarfs. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月10日)
- Wikimedia Commons. File:Freyer mit Skirnir.jpg(Carl Emil Doepler〈1824–1905〉、Wilhelm Wägner『Nordisch-germanische Götter und Helden』1882年、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Freyer_mit_Skirnir.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
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