
プレ男王子さまが、馬飼いとしてかくれていたの? 時代劇みたい!

メル美宴で舞をおどるときに、とうとう名のるんだって。兄弟がおたがいをたてあうところも、心があたたかくなるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本の『古事記』のオケとヲケ、かくれていた王子です。『古事記』下つ巻の安康天皇の段の一部と、清寧天皇・顕宗天皇の段「シジムの新築祝い」(武田祐吉訳、青空文庫)を読みました。兄弟が位をゆずりあう、もうひとつの話はウヂの若郎子と位のゆずりあいへ。2人がかくれた播磨の話はせのびした巨人と、さかずきの父さがしへ。
プロフィール
| オケの王 | 兄。イチノベノオシハの王の子 |
| ヲケの王 | 弟。のちの顕宗天皇(ヲケノイハスワケの命) |
| 父 | イチノベノオシハの王(イザホワケの天皇の子) |
| かくれた家 | 播磨の国の人シジムの家。馬飼い・牛飼いとしてはたらいた |
| 見つけた人 | 播磨の長官になった山部の連小楯 |
| 置目の老媼 | 父の骨のありかを知っていた老女 |
1. にげた2人の王子
- 2人の王子の父イチノベノオシハの王は、近江のカヤ野での狩りのとき、オホハツセの王(のちの雄略天皇)に命をうばわれました
- それを聞いたオケの王とヲケの王は、にげだしました。山城でほし飯を食べていると、顔に入れ墨をした老人が来て、ほし飯をうばっていきました。2人は「ほし飯はおしくもないが、おまえはだれだ」とたずね、老人は「山城のブタ飼いです」と答えました
- 2人はクスバの川をわたって播磨の国へにげ、その国の人シジムの家にかくれて、馬飼い・牛飼いとしてはたらきました
2. 新築祝いの宴
- のちに、山部の連小楯が播磨の長官になり、シジムの家の新築祝いに出かけました。宴がもりあがり、酒がまわると、みな順番に舞いました
- かまどのそばに、火たきの少年が2人いました。少年たちにも舞わせようとすると、弟が「兄上、まずお舞いなさい」と言い、兄も「おまえがまず舞いなさい」と言いました。そのゆずりあうようすを、人々は笑いました
- とうとう兄が先に舞い、次に弟が舞おうとするとき、こうとなえました

メル美みんなに笑われても、おたがいをたてあう兄弟。ここで、いよいよ名のるんだね!
3. 弟の名のり
- 「武士であるわが君のお佩きになっている大刀の柄に、赤いもようをえがき……八絃の琴をととのえたように、天下をおさめたイザホワケの天皇の皇子、イチノベノオシハの王の御子です。わたくしは」
- これを聞いた小楯は、おどろいて座席から落ちころび、家の人たちをさがらせて、2人の王子を左右のひざの上にすわらせ、泣き悲しみました
- 小楯は人々をあつめて仮の宮をつくり、2人をすまわせて、いそいで使いを送りました。2人のおばのイヒトヨの王はよろこんで、2人を宮へよびよせました
4. 位をゆずりあう
- のちに、2人の王子はたがいに天下をゆずりあいました。兄のオケの命は、弟にこう言いました
- 「播磨のシジムの家にいたとき、あなたが名をあらわさなかったら、天下をおさめる君主にはならなかったでしょう。これはあなたのお手柄です。ですから、わたくしは兄ですが、あなたがまず天下をおさめなさい」
- それで、弟のヲケの命がまず天下をおさめました(顕宗天皇)
5. 鈴でよばれた置目の老媼
- 天皇となったヲケの命が、父の骨をさがしたとき、近江の国の身分のひくい老女が来て言いました。「王子の骨をうめたところは、わたくしがよく知っております。お歯でもわかるでしょう」。父の王の歯は、3つの枝の出た大きな歯でした
- 骨が見つかり、天皇はカヤ野の東の山に墓をつくって、ていねいにほうむりました
- 天皇は、場所をわすれずに見ておいたことをほめて、老女に「置目の老媼」という名をあたえ、宮の近くに家をつくって、毎日よびました
- 宮殿の戸に鈴をかけ、老女をよぶときは、いつもその鈴をひきならした、と『古事記』は語ります

プレ男鈴をならして、毎日おばあさんをよんだんだ。恩をわすれない、やさしい天皇だね。

武田祐吉訳の『古事記』では、兄のオケの命は「あなたが名をあらわさなかったら、天下をおさめる君主にはならなかったでしょう。あなたがまず天下をおさめなさい」と言って、弟に位をゆずりました。
まとめ
- 父をうしなったオケとヲケの2人の王子は、播磨のシジムの家で馬飼い・牛飼いとして身をかくした
- 新築祝いの宴で、2人は舞をゆずりあい、弟のヲケが「イチノベノオシハの王の子」と名のった
- 兄のオケは「名のったのはあなたの手柄」と、弟に天下をゆずり、ヲケが先に位についた
- 父の骨のありかを知っていた老女を「置目の老媼」とよび、天皇は鈴をならして毎日よんだ
- もうひとつのゆずりあいの話ウヂの若郎子と位のゆずりあい、播磨のせのびした巨人と、さかずきの父さがし、雄略天皇の段の引田部の赤猪子もどうぞ
- その後のヲケとオケの話は歌垣の歌くらべと、御陵のかたすみへ
参考文献
- 武田祐吉訳『古事記』(下つ巻 安康天皇〈イチノベノオシハの王〉、清寧天皇・顕宗天皇「シジムの新築祝い」「顕宗天皇」). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月12日)
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