
プレ男カササギって、ギャーギャーうるさい鳥だよね。あれも神話がもとなの?

メル美『変身物語』では、芸術の女神たちに歌くらべをいどんだ姉妹が、カササギになったんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話のムーサとピエロスの9人の娘です。オウィディウス『変身物語』第5巻(ブルックス・モア英訳、1922年、ペルセウス・デジタル・ライブラリー)を読みました。『変身物語』はローマの詩人の作品なので、神々はラテン語の名前(ミネルウァ=アテナ、ケレス=デメテル)で出てきます。この記事では、ギリシャの名前で書きます。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| ムーサ | ヘリコン山にすむ9人の姉妹の女神。英訳では「記憶の女神の娘たち」とよばれる |
| 語り手 | ムーサのウラニア |
| ピエロスの娘たち | ペラの地の金持ちピエロスと、パイオニアのエウイッペの9人の娘 |
| 審判 | えらばれたニンフたち |
| ムーサの代表 | カリオペ |
| 結末 | 娘たちはカササギになった |
1. ペガソスの泉
- 兄弟ペルセウスの戦いをみちびいたあと、女神アテナは雲につつまれて、ヘリコン山のムーサたちをたずねました。「ペガソスのひづめが地面をうったところに、新しい泉がわいたと聞きました。それを見たくて来たのです」
- ムーサのウラニアは、「うわさは本当です。この泉はペガソスがつくったものです」と答え、アテナを泉へ案内しました
- アテナは泉をながめたあと、古い木々の森や洞窟、花の草地を見わたし、ムーサたちが学びの日々をすごすのにふさわしい、美しい場所だと思いました
2. 9羽のカササギ
- そのとき、羽の音と、木の上からあいさつする声が聞こえました。人の声だと思ってアテナが見あげると、枝には9羽のカササギがとまって、自分たちの身の上をなげいていました。カササギは、どんな音でもまねる鳥です
- ウラニアが言いました。「あれは、つい最近、言いあらそいで負けて、鳥の仲間入りをした者たちです」
3. 歌くらべのいどみ
- ピエロスの娘たちは、自分たちがムーサと同じ9人だというので、うぬぼれていました。町々をめぐってヘリコン山へやってきて、こう言いました
- 「ものを知らない人たちをだますような、からっぽの歌はやめなさい。自信があるなら、わたしたちと勝負しなさい。数は同じ9人。負けたら、泉をわたしたちにゆずりなさい。わたしたちが負けたら、エマティアの平野をあげましょう。審判はニンフたちに」
- ウラニアは、「勝負するのははずかしいことでしたが、ことわるのは、もっとはずかしいことに思えました」と語ります。ニンフたちは、川にかけて公平にさばくとちかい、岩の席につきました

メル美芸術の女神に歌でいどむなんて、すごい自信…!
4. 2つの歌
- くじも引かないうちに、娘たちの長女が歌いはじめました。巨人たちと神々の戦いを歌い、巨人たちをほめあげ、神々のりっぱな行いを小さく歌いました。怪物テュポンが来ると、神々はおそれてエジプトへにげ、ゼウスはヒツジの群れのかしらに、アポロンはカラスに、アルテミスはネコに……と、姿をかえてかくれた、という歌です
- ムーサたちは、ひとりにすべてをまかせました。ツタで髪をむすんだカリオペが立ちあがり、竪琴の弦をあわせて歌いました。その歌は、デメテルとペルセポネの物語、そしてデメテルが若者トリプトレモスに麦の種をあたえて、世界じゅうにまかせた話でした
5. カササギになった娘たち
- 歌がおわると、ニンフたちは声をそろえて、ヘリコン山の女神たちの勝ちだと告げました
- ところが、負けた9人は悪口をまきちらしはじめました。ムーサは言いました。「負けたのは当然なのに、そのうえ、いわれのない悪口で罪を重ねるなら、わたしたちも、もうがまんしません」
- 娘たちはそれをあざわらい、大声でさわぎ、手でおどすようなしぐさをしました。すると、指のつめから羽のじくが生え、のばした腕に羽が広がり、たがいの口がかたいくちばしになっていくのが見えました
- こうして、森に新しい鳥がくわわりました。「それからずっと、むかしのおしゃべり、かん高い声、話したがりのくせは、そのままのこっているのです」

プレ男負けたあとに悪口を言ったのが、いちばんいけなかったんだね…。

『変身物語』では、ムーサは「負けたのは当然なのに、そのうえ、いわれのない悪口で罪を重ねるなら、もうがまんしない」と言い、悪口をやめなかった娘たちはカササギになりました。
まとめ
- アテナは、ペガソスのひづめでできた泉を見に、ヘリコン山のムーサたちをたずねた
- ピエロスの9人の娘は、同じ9人のムーサに歌くらべをいどんだ
- 娘たちは神々を小さく歌い、ムーサのカリオペはデメテルとペルセポネの物語を歌った
- ニンフたちはムーサの勝ちとしたが、娘たちは悪口をやめず、カササギになった
- ムーサをたずねた女神アテナ、カリオペが歌ったペルセポネ、泉をつくった天馬ペガソスもどうぞ
参考文献
- Ovid. Metamorphoses, 5.250–678(英訳:Brookes More、1922年). Perseus Digital Library. https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.02.0028:book=5:card=294 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



