
プレ男無人島に流れついたら、巨大なヘビが出てくるの? こわすぎる!

メル美それが、とってもやさしいヘビなんだって。古代エジプトのむかしばなしなの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は古代エジプトの物語『難破した水夫』です。エジプト学者W.M.F.ペトリ編『エジプトの物語(Egyptian Tales)』第1集(1895年、Project Gutenberg)の英訳と解説を読みました。エジプト神話の全体はエジプト神話の入門へ。

「模型の帆船」紀元前1981〜1975年ごろ、エジプト中王国・第12王朝(アメンエムハト1世の治世のはじめ)。木に彩色。メトロポリタン美術館所蔵(パブリックドメイン)
プロフィール
| 物語の形 | 帰ってきた水夫が、上役に自分の冒険を語る |
| のこっている写本 | サンクトペテルブルクのエルミタージュにある1本だけ(ペトリの解説) |
| 時代 | ペトリは、第12王朝のはじめごろと考えた |
| 大きなヘビ | 長さ30キュビト、ひげは2キュビト以上、体は金、色はラピスラズリ |
| ヘビの名のり | 「プントの国の主」 |
1. 嵐と島
- 水夫は、ファラオの鉱山へむかうため、長さ150キュビト、はば40キュビトの船に乗りました。乗っていたのは、「天も地も見てきた、ライオンより心の強い」エジプトでいちばんの船乗り150人でした
- 陸に近づいたとき、風がふき、8キュビトの高さの波がおこりました。水夫は木ぎれにしがみつきましたが、船の仲間はひとりのこらず命を落としました
- 波に島へうちあげられた水夫は、3日のあいだ、自分の心だけを友にして、しげみのかげにねていました。やがて食べものをさがすと、島にはイチジク、ブドウ、木の実、穀物、メロン、魚、鳥と、なんでもありました。水夫は火をおこし、神々にそなえものをしました
2. 金色の大きなヘビ
- すると、雷のような音がして、木々がゆれ、大地がうごきました。顔をあげると、大きなヘビが近づいてきました
- 「長さは30キュビト、ひげは2キュビトより長く、体は金でおおわれたようで、色は本物のラピスラズリのようだった」
- ヘビは言いました。「何がおまえをつれてきたのか、何がつれてきたのか、小さき者よ。すぐに言わなければ、炎のように消えてしまうぞ」
- けれどもヘビは、水夫を口にくわえて自分のすみかへ運ぶと、「少しもきずつけずに」おろしました

メル美口にくわえて運ぶのに、きずひとつつけないなんて、やさしい!
3. 「こわがるな、小さき者よ」
- 水夫が嵐のことを話すと、ヘビは言いました。「こわがるな、こわがるな、小さき者よ。顔をくもらせるな。おまえがわたしのもとへ来たのは、神がおまえを生かしたからだ」
- 「この島は、何ひとつ欠けていない、さいわいの島だ。4か月たてば、おまえの国から船乗りたちを乗せた船が来る。おまえはその船でふるさとへ帰り、自分の町で一生を終えるだろう」
- ヘビは、この島には自分の兄弟や子どもたち、75匹のヘビがいると語りました
- 「語りあうのは楽しいもの。それを味わう者は、つらさをわすれる」とも言いました
4. プントの国の主
- 水夫は感謝して、「ファラオにあなたのことを伝え、神殿の香油やかおり、香をささげます」と約束しました
- ヘビはほほえみました。「おまえは香料もちではないな。おまえのもっているのは、ふつうの香だけだ。わたしは、プントの国の主。かおりはいくらでもある」
- 「おまえがこの島を去れば、もう二度とこの島を見ることはない。島は波に変わるのだから」

プレ男お礼にお香をあげますって言ったら、「うちはかおりの国だよ」って(笑)。ヘビ、余裕がある!
5. わかれ
- ヘビの言ったとおり、船がやってきました。ヘビは「さようなら、さようなら、家へお帰り、小さき者よ。子どもたちにまた会い、町でよい名をのこしなさい」と言い、かおりのよい香料、象牙、ヒヒやサルなど、たくさんのおくりものを持たせてくれました
- 水夫は、島の主とそこにすむものたちに祈りをささげて、船に乗りました

ペトリ訳では、大きなヘビは「こわがるな、小さき者よ」と言い、4か月後に来る船でふるさとへ帰れると水夫に告げました。
まとめ
- 『難破した水夫』は、古代エジプト中王国時代の物語
- 嵐で船がしずみ、ただひとりゆたかな島に流れついた水夫
- あらわれたのは、金の体にラピスラズリの色の、ひげのある大きなヘビ
- ヘビは「こわがるな、小さき者よ」と言って、4か月後の船での帰国を予言した
- 「プントの国の主」と名のり、たくさんのおくりものを持たせて水夫を帰した
- 同じペトリの本の魔術師デディと3人の王の誕生、物語の中で運命を告げるハトホル、太陽の神ラー、エジプト神話の入門もどうぞ
参考文献
- W. M. Flinders Petrie(編). Egyptian Tales, Translated from the Papyri, First Series(1895). “The Shipwrecked Sailor” と Remarks. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/7386 (閲覧日:2026年10月10日)
- メトロポリタン美術館. Model Sailboat, Middle Kingdom, Dynasty 12, ca. 1981–1975 B.C.(20.3.4、パブリックドメイン). https://www.metmuseum.org/art/collection/search/577298 (閲覧日:2026年10月10日)
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