
プレ男太陽がのぼって、しずんで…って毎日くりかえすのを、北欧の人はどう考えてたの?

メル美太陽と月は空を走る馬車で、そのうしろを狼が追いかけているんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は北欧神話の太陽と月、夜と昼です。スノッリの『新エッダ』の「ギュルヴィたぶらかし」10〜12節(R.B.アンダーソン英訳、1879年、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。北欧神話の全体は北欧神話の入門へ。

ジョン・チャールズ・ドルマン「ソールとマーニを追う狼たち」(The Wolves Pursuing Sol and Mani)1909年出版。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | 何者か | 乗りもの・持ちもの |
|---|---|---|
| ノート(夜) | 巨人ノルフェの娘。黒い肌 | 馬フリームファクシ。毎朝、くつわのあわで地をぬらす |
| ダグ(昼) | ノートと、アース神族のデリング(夜明け)の子。明るく美しい | 馬スキンファクシ。たてがみで空と地を照らす |
| ソール(太陽) | ムンディルファリの娘 | 太陽の馬車をひく馬アールヴァクとアルスヴィズ |
| マーニ(月) | ムンディルファリの息子 | 月の道をすすめ、満ち欠けをつかさどる |
| スコル | 狼 | 太陽を追う |
| ハティ | 狼(フローズヴィトニルの子) | 太陽の前をはね、月をとらえようとする |
1. 夜と昼の馬
- 巨人のノルフェには、ノート(夜)という娘がいました。娘は、その一族と同じく、黒く暗い肌をしていました
- ノートは何度か結婚し、さいごの夫は、アース神族のデリング(夜明け)でした。ふたりの子がダグ(昼)で、父に似て明るく美しい子でした
- 万物の父(オーディン)は、ノートとダグに2頭の馬と2台の車をあたえ、天にのぼらせて、12時間ずつ交代で、地のまわりをめぐらせました
- 「夜が先に、フリームファクシという馬で走る。毎朝、そのくつわのあわで地をぬらす。昼の乗る馬はスキンファクシといい、そのたてがみで、空と地のすべてを照らす」

メル美朝つゆは、夜の馬のくつわのあわだったんだ! ロマンチック!
2. 太陽と月になった兄妹
- ガングレリ(ギュルヴィ)が「太陽と月の道は、どうやってみちびかれるのか」とたずねると、ハールが答えました
- 「ムンディルファリという男に、2人の子がいた。あまりに美しかったので、息子を月(マーニ)、むすめを太陽(ソール)と名づけた。むすめはグレーネルという男にとつがせた」
- 「ところが神々はこのおごりに怒り、兄と妹をつかまえて天にあげた。そして太陽(ソール)には、太陽の車をひく馬を走らせた。その車は、神々がムスペルヘイムから飛んできた火花でつくり、世界を照らすためのものだった」
- 馬の名はアールヴァクとアルスヴィズ。神々は、馬をひやすために、その肩の下に2つの風袋をおきました
- 「月(マーニ)は月の道をすすめ、その満ち欠けをつかさどる」。月は、ビュルギルという泉から帰る2人の子ども、ビルとユーキを地上からつれていき、この子たちはいつも月といっしょにいて、地上からも見える、と書かれています
3. 太陽がいそぐわけ
- ガングレリは言いました。「太陽は、まるでおそれているかのように、速く走る」
- ハールは答えました。「ふしぎではない。追ってくる者がすぐ近くにいて、前へにげるしかないのだ」
- 「それは2匹の狼だ。1匹はスコルといい、太陽を追う。太陽はそれをおそれていて、いつかスコルは太陽に追いつくだろう。もう1匹はハティといい、フローズヴィトニルの子で、太陽の前をはね、月をとらえようとしている。そして、いつかとらえるだろう」

プレ男太陽が毎日いそいで空をわたるのは、狼ににげているから…! そういう見方もあるんだ。
4. 鉄の森の狼たち
- ガングレリが「その狼たちは、だれの子か」とたずねると、ハールは答えました
- ミズガルズの東、鉄の森(ヤールンヴィズ)に老いた女巨人がすんでいて、狼のすがたの巨人の子をたくさん生む。この2匹の狼も、そこから来たのだ、と
- その一族でいちばん強いのはムーンガルム(英訳では Moongarm)で、いつか月をのみこみ、そのとき太陽は暗くなり、風はあれくるう、と語られます。ハールは、巫女の予言の歌を引いて、それを語っています(世界の終わりについてはラグナロクへ)

『新エッダ』では、太陽が速く走るのは、狼スコルが追ってくるからで、もう1匹の狼ハティは月をとらえようとしている、と書かれています。
まとめ
- 夜(ノート)と昼(ダグ)は、オーディンにあたえられた馬と車で、12時間ずつ交代で地をめぐる
- 夜の馬フリームファクシは、くつわのあわで朝の地をぬらし、昼の馬スキンファクシは、たてがみで空と地を照らす
- ムンディルファリの子ソール(太陽)とマーニ(月)は、神々に天へあげられ、太陽と月の道をすすむ
- 太陽がいそぐのは、狼スコルが追ってくるから。狼ハティは月をねらう
- 狼の一族のフェンリル、世界の終わりラグナロク、万物の父オーディンもどうぞ
参考文献
- Snorri Sturluson. The Younger Edda; Also called Snorre’s Edda, or The Prose Edda(英訳:Rasmus B. Anderson、1879年). The Fooling of Gylfe, sections 10–12. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/18947 (閲覧日:2026年10月12日)
- ウィキメディア・コモンズ. John Charles Dollman, The Wolves Pursuing Sol and Mani(1909年出版、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Wolves_Pursuing_Sol_and_Mani.jpg (閲覧日:2026年10月12日)
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