
プレ男神さまでも、ちかいをやぶったら罰があるの?

メル美ステュクスの水にかけてちかって、うそをついたら、神さまでも10年もたいへんなことになるんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回はギリシャ神話の女神ステュクスです。ヘシオドス『神統記』383〜403行と775〜806行(H.G.エヴリン=ホワイト英訳、1914年、プロジェクト・グーテンベルク)を読みました。ギリシャ神話の全体はギリシャ神話の入門へ。
プロフィール
| ステュクス | オケアノスの娘。「いちばん上の娘」(775行) |
| 夫 | パラス |
| 子ども | ゼロス(張りあう心)、ニケ(勝利)、クラトス(力)、ビア(暴力) |
| すむところ | 神々からはなれた、銀の柱にささえられた、岩の天井の館 |
| 役目 | 神々の「大いなるちかい」 |
| 水 | 高い岩からしたたる冷たい水。オケアノスの流れの10分の1 |
1. いちばんにかけつけた女神
- 『神統記』です。オケアノスの娘ステュクスは、パラスとむすばれ、ゼロス(張りあう心)、くるぶしの美しいニケ(勝利)、そしてクラトス(力)とビア(暴力)を生みました
- ゼウスは、ティタンたちとたたかうとき、すべての神々をオリュンポスによびあつめて言いました。「わたしとともにティタンとたたかう者は、だれも、その権利をうばわない。クロノスのもとで役目も権利もなかった者には、正しく、役目と権利をあたえよう」
- 「こうして、不死のステュクスは、父(オケアノス)の知恵で、子どもたちをつれて、いちばんにオリュンポスへやってきた」
- ゼウスはステュクスをうやまい、とても大きなおくりものをあたえました。ステュクスを「神々の大いなるちかい」とし、その子どもたちを、いつも自分のそばに住まわせたのです。だから、ニケやクラトスたちは、ゼウスからはなれた家も道ももたず、いつもゼウスとともにいる、と書かれています

メル美勝利の女神ニケは、ステュクスの娘で、ずっとゼウスのそばにいるんだ!
2. 銀の柱の館
- 「そこには、不死の神々にきらわれる、おそろしいステュクスが住んでいる。……神々からはなれて、大きな岩の天井をもち、まわりを銀の柱で天にささえられた、名高い館に住む」
- そこへは、タウマスの娘で足のはやいイリスが、海の広い背をこえて、まれに使いとしてやってくるだけです
3. 神々のちかいの水
- 「不死の神々のあいだにあらそいが起き、オリュンポスに住むだれかがうそをつくと、ゼウスはイリスを送り、金の水差しで、遠くから神々の大いなるちかいをくんでこさせる。それは、高くつきでた岩からしたたる、名高い冷たい水である」
- オケアノスの流れは、広い大地の下の暗い夜をとおって流れ、その水の10分の1がステュクスの分です。9つの銀のうずまく流れは、大地と海をめぐって大海に落ちますが、10番目の流れは岩から流れでて、神々をくるしめるのです
4. うそをついた神への罰
- 「雪をいただくオリュンポスに住む不死の神々のだれでも、その水をそそいでちかい、そのちかいをやぶれば、まる1年がおわるまで、息もできずにふせる」
- そのあいだは、神々の食べものアンブロシアも、飲みものネクタルも口にできず、しきものの上に、息もなく声もなくよこたわり、重いねむりがおおいかぶさります
- 1年の病がおわると、もっときびしいつぐないがつづきます。「9年のあいだ、とこしえの神々からしめだされ、その集まりにも宴にも、9年まるまる、くわわることができない」
- そして10年目に、ようやくオリュンポスの神々の集まりにもどれるのです

プレ男1年ふせって、9年なかまはずれ…。神さまにとっても、いちばんおそろしいちかいなんだね。

『神統記』では、ステュクスの水にかけてちかい、それをやぶった神は、まる1年息もできずにふせり、さらに9年、神々の集まりや宴からしめだされる、と書かれています。
まとめ
- ステュクスは、オケアノスのいちばん上の娘で、銀の柱の館に神々からはなれて住む
- ティタンとの戦いで、子どもたち(ニケ、クラトスなど)をつれて、いちばんにゼウスのもとへかけつけた
- ゼウスは、ステュクスを「神々の大いなるちかい」とした
- その水にかけてちかい、やぶった神は、1年息もできずにふせり、9年神々の集まりからしめだされる
- 同じ『神統記』のヘカテ、神々の王ゼウス、冥界の王ハデスもどうぞ
参考文献
- Hesiod. Theogony, ll. 383–403, 775–806(英訳:H. G. Evelyn-White、1914年). In: Hesiod, the Homeric Hymns, and Homerica. Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/348 (閲覧日:2026年10月12日)
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