
プレ男「ときじくのかくの木の実」って、なんだか呪文みたい。

メル美いつでもかおる、ふしぎな木の実なんだって。それをさがしに、10年も旅をした人がいるの。
こんにちは、Dr. Taro です。 神話の解説、今回は日本神話のタヂマモリ(田道間守)です。『古事記』中巻の垂仁天皇の段「時じくの香の木の実」を武田祐吉の現代語訳(青空文庫)で、『日本書紀』巻第六(垂仁天皇)の原文をウィキソースで読みました。日本神話の全体は日本神話の入門へ。

菊池容斎『前賢故実』の「田道間守」(1903年の刊本より)。ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
プロフィール
| 名前 | タヂマモリ(『日本書紀』では田道間守) |
| つかえた天皇 | 垂仁天皇 |
| 子孫 | 三宅の連(みやけのむらじ)の祖先 |
| さがしたもの | ときじくのかくの木の実(『日本書紀』では非時香菓) |
| 行った国 | 海のかなたの常世(とこよ)の国 |
| 木の実の正体 | いまのタチバナ |
1. 常世の国へ
- 『古事記』によると、垂仁天皇は、三宅の連の祖先タヂマモリを常世の国へつかわして、「時じくの香(かく)の木の実」をさがさせました
- 『日本書紀』は「非時香菓」と書き、「香菓は『かくのみ』と読む。いまの橘(タチバナ)のことである」と注をつけています
2. 10年の旅
- 『日本書紀』で、帰ってきたタヂマモリは、こう語ります。「天皇の命をうけて、遠くはなれた国へ行きました。万里の波をふみこえ、はるかに弱水(じゃくすい)をわたりました」
- 「この常世の国は、神仙のすむ秘密の場所で、ふつうの人の行けるところではありません。そのため、行って帰るあいだに、10年がすぎてしまいました」
- 「ひとりでけわしい波をこえて、もう一度ふるさとへむかえるとは、思いもしませんでした。けれども、天皇の神霊のおかげで、ようやく帰ってこられたのです」

メル美神仙のすむ国まで、たったひとりで10年…。すごい忠実な人だね。
3. まにあわなかった実
- けれども、タヂマモリが帰ったとき、天皇はすでに亡くなっていました
- 『古事記』によると、タヂマモリは、蔓(かずら)の形のもの8本と、矛(ほこ)の形のもの8本を持ち帰っていました。その半分の4本ずつを皇后にささげ、のこりの4本ずつを天皇の御陵のほとりにささげました
- そして、それをささげ持って、「常世の国の時じくの香の木の実を持って参りました」と泣きさけび、そのまま命を終えた、と書かれています
- 『日本書紀』でも、「天皇はもう亡くなられ、ご報告することができない。わたしが生きていても、何になろう」と言い、陵にむかって泣きさけびました。「家臣たちはこれを聞いて、みな涙を流した」

プレ男やっと帰ってきたのに、いちばん見せたかった人がもういない…。せつないね。

『古事記』では、タヂマモリが常世の国から持ち帰った「時じくの香の木の実」は、いまのタチバナのことだと書かれています。
まとめ
- タヂマモリは、垂仁天皇の命で常世の国へ行った人物
- さがしたのは、「ときじくのかくの木の実」=いまのタチバナ
- 『日本書紀』では、10年かけて、万里の波と弱水をこえて帰ってきた
- 帰ったときには天皇はすでに亡く、タヂマモリは陵の前で泣きさけんだ
- タヂマモリの先祖、新羅の王子アメノヒボコ、同じ垂仁天皇の段のホムチワケ、海のかなたの国へ行った浦島子、日本神話の入門もどうぞ
参考文献
- 『古事記』武田祐吉訳. 中卷「垂仁天皇」の「時じくの香の木の實」. 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/001518/card51732.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 『日本書紀』卷第六(垂仁天皇九十年、九十九年の条と翌年の記事). ウィキソース. https://zh.wikisource.org/wiki/日本書紀/卷第六 (閲覧日:2026年10月10日)
- ウィキメディア・コモンズ. Tajimamori(菊池容斎『前賢故実』、1903年刊本、パブリックドメイン). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tajimamori.jpg (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。



