
メル美『野菊の墓』って、明治の有名な初恋小説だよね。

プレ男題名に「墓」が入ってるってことは、悲しい話なのかな…。
今回は、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』です。青空文庫の原文(底本:河出書房『日本文学全集別巻1 現代名作集』)で読みました。
作品と作家
| 作品 | 『野菊の墓』 |
| 作者 | 伊藤左千夫(1864年9月18日〜1913年7月30日) |
| 初出 | 「ホトトギス」1906年(明治39年)1月 |
| 語り手 | 「僕」=政夫。10年あまり前の思い出を語る |
| 舞台 | 松戸から2里ほど下り、矢切の渡しを東へわたった矢切村の旧家 |
政夫と民子
- 政夫の家は、矢切の斎藤といえばこのあたりの旧家。母は長く体をこわして寝ていて、市川の親類の娘で、政夫のいとこの民子が、仕事の手伝いと母の看病に来ていました
- 政夫は小学校を出たばかりの15歳(月を数えると13歳何か月)。民子は17歳(生まれがおそいので、15歳と少し)
- 民子は、やせぎすで顔は丸く、すきとおるほど白い肌に赤みのある、元気いっぱいの子。座敷をはくと言っては政夫の部屋をのぞき、本が読みたい、手習いがしたいと言ってはやってきます
- 政夫は語ります。「その関係と云っても、僕は民子と下劣な関係をしたのではない」
「民さんは野菊のような人だ」
- 秋、二人は綿つみに、遠くの畑へ行かされます。その道で、政夫は野菊を摘んでいました
- 民子:「まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」
- 「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの」
- 政夫:「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
- 民子は、分けてもらった野菊を顔におしあててうれしがりました。この「簡単な問答」が、二人の胸に強い意味をもって感じられたのです

プレ男「好き」って言わずに、「野菊のような人」って…!
「政夫さんはりんどうのような人だ」
- 帰り道、政夫が水をくみに行ったついでに摘んできた竜胆(りんどう)の花を見て、民子は言います。「りんどうはほんとによい花ですね。わたしりんどうがこんなに美しいとは知らなかったわ」
- そして、さっきの仕返しのように、「政夫さんはりんどうの様な人だ」
- 政夫:「民さんが野菊で僕が竜胆とは面白い」
引きはなされる二人
- 二人が仲よくするほど、まわりの目がきびしくなります。民子は政夫より2つ年上であることも気にしていました。「わたしはどうして政夫さんよか年が多いんでしょう」
- 政夫は学校のために家をはなれます。12月の休みに、民子に会えるのを楽しみに帰ってくると、民子はもういませんでした
- やがて政夫は、「民子は嫁に往った」と聞かされます。市川の、財産のある家からのつよい申しこみで、民子がいやだと言うのを、むりにすすめて嫁にやったのでした

メル美本人がいやだって言っているのに…。
野菊の墓
- しばらくして、政夫は母から民子が亡くなったと知らされます。母は「民子は死んでしまった……私が殺した様なものだ」と泣きくずれました
- 市川の家で聞くと、民子は最後まで、政夫の写真と手紙を胸にだいていたといいます。家の人たちは、「二人がこれほど深い間だったとは知らずに、むりに嫁にやったのが悪かった」と悔やみました
- 政夫は7日間市川へ通い、民子の墓のまわりを、野菊でいっぱいにしました
- 物語は、こう終わります。「民子は余儀なき結婚をして遂に世を去り、僕は余儀なき結婚をして長らえている。民子は僕の写真と僕の手紙とを胸を離さずに持って居よう。幽明遙けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ」

伊藤左千夫の『野菊の墓』は、1906年(明治39年)1月の「ホトトギス」に発表されました。政夫は7日間通って、民子の墓のまわりを野菊でいっぱいにしました。
まとめ
- 『野菊の墓』は、伊藤左千夫の小説。1906年(明治39年)1月「ホトトギス」初出
- 舞台は、矢切の渡しの東の矢切村。15歳の政夫と、2つ年上のいとこ民子の初恋
- 「民さんは野菊のような人だ」「政夫さんはりんどうのような人だ」
- 年の差や家の事情で引きはなされ、民子はむりにすすめられた結婚ののち、亡くなった
- 政夫は民子の墓を野菊でいっぱいにした
- 明治の恋の文学は徳冨蘆花『不如帰』、樋口一葉『にごりえ』、泉鏡花『外科室』、『たけくらべ』もどうぞ
参考文献
- 伊藤左千夫. 野菊の墓(初出:「ホトトギス」1906年1月。底本:日本文学全集別巻1 現代名作集、河出書房). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000058/card647.html (閲覧日:2026年10月5日)
- 青空文庫. 作家別作品リスト:伊藤左千夫(生年・没年). https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person58.html (閲覧日:2026年10月5日)
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