お腹の脂肪と男性ホルモンは「おたがいに悪くしあう」:テストステロンが低いと脂肪がつきやすく、肥満はテストステロンを下げる。睡眠時無呼吸も一因。減量でテストステロンの改善が報告されている
日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会の「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(2022年)によると、テストステロン(男性ホルモン)の低下と、肥満・メタボリックシンドロームはおたがいに関連しています。テストステロンが低いと脂肪細胞が大きくなりやすく、逆に肥満では脂肪から出る物質や炎症、インスリンの効きにくさ、睡眠時無呼吸などがテストステロンを下げると考えられています。日本の中年男性の研究では、総テストステロンが400ng/dL未満の人でメタボが多いという報告も(LOH症候群の診断の値ではありません)。生活習慣の改善や薬・手術による減量で、テストステロンの改善が報告されています。

プレ男30代でお腹が出てきて、なんだかやる気も出ないんだ。太ると男性ホルモンも減るって本当?

メル美逆に、男性ホルモンが減ると太るって話も聞くよ。どっちが先なんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 「メンズメディカル」のダイエット外来から、お腹の脂肪と男性ホルモン(テストステロン)の関係の話です。日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会の「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(2022年)の「LOH症候群におけるメタボリックシンドローム」の章をもとにまとめました。
「どっちも」:おたがいに関連している
- 手引きは、テストステロンが低いことと、肥満・メタボリックシンドロームは、双方向に関連しているとしています
- LOH症候群(男性更年期障害)の人では、肥満やメタボの合併がみられます
テストステロンが低いと、脂肪がつきやすい
- テストステロンには、脂肪細胞に脂肪がたまるのを抑えたり、もとになる細胞が脂肪より筋肉の細胞になるようにうながしたりする働きがあります。そのため、テストステロンが低いと脂肪が増えやすくなると考えられています
肥満は、テストステロンを下げる
- 脂肪から出るさまざまな物質や、脂肪の中の軽い炎症が、テストステロンをつくるしくみを抑えると考えられています
- インスリンが効きにくい状態も、テストステロンをつくるしくみを抑えます
- 肥満にともなう睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の質の低下や低酸素の状態が、テストステロンを下げることが報告されています(睡眠時無呼吸症候群)

プレ男太るとホルモンが下がって、ホルモンが下がるとまた太る…悪循環なんだ。
テストステロン「400」の報告
- 日本の中年男性の研究では、総テストステロンが400ng/dL未満の人で、メタボリックシンドロームの合併が多いと報告されています
- ただし、この400ng/dLはメタボとの関連で求めた値で、LOH症候群の診断で「低い」と判定する値ではありません(LOH症候群の診断の目安はテストステロン補充療法の記事を参照)
減量でテストステロンが改善
- 生活習慣の改善、薬、手術による体重の減少で、テストステロンが改善したと報告されています
- テストステロンの補充療法は、体重の減少や血糖・脂質の改善が期待される一方、心臓や血管の病気のリスクを増やすという相反する報告もあり、今後の検討が必要とされています

テストステロンの低下と肥満・メタボは、おたがいに関連しています。生活習慣の改善などで体重を減らすと、テストステロンが改善したと報告されています。
- 減量の最初の目標はメタボの基準と3%減量、サプリについては「男性ホルモンを増やすサプリ」は効く?の記事もどうぞ

メル美まずは体重の3%から。いびきがひどいなら、睡眠時無呼吸の検査も考えようね。
まとめ
- テストステロンの低下と肥満・メタボは双方向に関連
- テストステロンが低いと脂肪がつきやすい、肥満はテストステロンを下げる
- 睡眠時無呼吸もテストステロンを下げる一因
- 総テストステロン400ng/dL未満でメタボが多い報告(診断の値ではない)
- 減量でテストステロンの改善が報告されている
参考文献
- 日本泌尿器科学会, 日本メンズヘルス医学会. LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き(2022年).「22 LOH症候群におけるメタボリックシンドローム」. https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。