
プレ男『オセロー』って、シェイクスピアの悲劇だよね。どんな話なの?

メル美将軍とその妻と、うその「証拠」。嫉妬の物語として有名なの。
今回は、シェイクスピアの悲劇『オセロー』です。Project Gutenberg の英語の原文(題名は「OTHELLO, THE MOOR OF VENICE」)で読みました。本文中の「」の言葉は、原文をこの記事で日本語にしたものです。
※この作品には、嫉妬から妻を殺す場面と、自ら命を絶つ結末がえがかれています。
将軍オセローと、デズデモーナ
- オセローは、ヴェニスに仕えるムーア人の将軍。戦場で手がらを重ねた人です
- オセローは、元老院議員ブラバンショーの娘デズデモーナとひそかに結婚します。怒った父は、娘は魔術でたぶらかされたのだと元老院にうったえます
- オセローは、元老院の前で語ります。ブラバンショーの家に招かれて自分の半生——戦い、危険、捕らわれて売られたことまで——を話すと、デズデモーナはため息をつき、聞かなければよかった、でも天が自分をそんな男に生まれさせてくれたらよかったのに、と言った
- 「彼女は、わたしがくぐりぬけてきた危険ゆえにわたしを愛し、わたしは、彼女がそれをあわれんでくれたゆえに彼女を愛した。わたしが使った魔術はこれだけです」
- デズデモーナ自身も、父ではなく夫にしたがうと述べ、結婚はみとめられます。けれど父は、オセローに言いのこしました。「娘は父をあざむいた。おまえもあざむくかもしれんぞ」
旗手イアーゴーの憎しみ
- オセローの旗手イアーゴーは、自分ではなく、実戦の経験の少ないキャシオーが副官にえらばれたことを根にもっています
- さらにイアーゴーは、ひとりになると、こう語ります。「おれはムーアを憎む」。世間では、オセローが自分の妻と関係したと噂されている。本当かどうかは知らないが、疑いだけで、確かなこととしてふるまってやる、と
- 計画は、キャシオーがオセローの妻と親しすぎるとオセローに吹きこむこと。オセローは「人が正直そうに見えれば正直だと思う」、率直で開けっぴろげな人だから、ロバのように鼻づらを引いていける——

メル美イアーゴー自身も「本当かどうか知らない」疑いで動いているんだね。
キプロスで
- オセローは、トルコ軍にそなえてキプロス島へ向かい、デズデモーナもあとを追います(トルコの艦隊は嵐でくだけます)
- イアーゴーは、祝いの夜にキャシオーに酒を飲ませてけんかを起こさせます。オセローはキャシオーに言いわたします。「もう二度とわたしの士官ではない」
- イアーゴーは、キャシオーに「奥方にとりなしをたのめばいい」とすすめ、デズデモーナは夫に、キャシオーをゆるしてと熱心にたのみます。それが、オセローの目にどう映るかを、イアーゴーは計算していました
「緑の目をした怪物」
- イアーゴーは、言いかけてはやめ、ほのめかしては口をつぐみ、オセローの心に疑いを育てていきます。そして、こう忠告するのです
- 「ああ、嫉妬にお気をつけなさい、将軍。それは緑の目をした怪物で、自分が食らう肉をもてあそぶのです」
- 「惚れこんでいながら疑い、疑いながらも強く愛する者は、なんと呪わしい時をかぞえることか」
- 嫉妬への警告をするその人が、嫉妬の毒をそそいでいる。オセローの心は、しだいに疑いにとらわれていきます
一枚のハンカチ
- オセローが最初にデズデモーナにおくった、いちごの刺しゅうのあるハンカチ。それを、デズデモーナがうっかり落とします
- 拾ったのは、イアーゴーの妻で、デズデモーナに仕えるエミリア。夫に何度も「盗んでこい」とたのまれていたものでした。エミリアはそれを夫にわたします
- イアーゴーはつぶやきます。「空気のように軽いつまらないものでも、嫉妬する者には、聖書の言葉ほど確かな証拠になる」。ハンカチは、キャシオーの部屋に落とされます
- イアーゴーは、今日、キャシオーがあのハンカチでひげをふいているのを見た、とオセローに告げます。オセローは、デズデモーナにハンカチを見せろとせまりますが、デズデモーナは出せません

プレ男本当は何もないのに、ハンカチ一枚で「証拠」になっちゃうんだ…。
寝室の夜
- 夜、デズデモーナは、母の侍女が歌っていた「柳の歌」を口ずさみながら床につきます。その侍女は、恋人に捨てられて、その歌を歌いながら死んだのでした
- オセローは、眠る妻のそばに立ち、「明かりを消して、それから、明かりを消そう」とつぶやきます。目をさましたデズデモーナは、身におぼえがないとうったえ、「殺すなら明日にして、今夜は生かして」とたのみますが、オセローは妻の命をうばってしまいます
- かけつけたエミリアに、息をふきかえしたデズデモーナは「罪なくして死にます」と言い、だれがやったのかと問われて答えます。「だれでもないの。わたし自身。さようなら。やさしい旦那さまによろしく」。そして息をひきとりました
真実と、最後の言葉
- 「あれは水のように不実だった」と言うオセローに、エミリアは夫イアーゴーのたくらみを知ります。ハンカチは、自分が偶然拾って夫にわたしたものだ、と明かすエミリアを、イアーゴーは刺して逃げます。エミリアは「ムーア、あの方は貞淑でした。あなたを愛していたのです」と言って死にます
- 捕らえられたイアーゴーは、なぜこんなことをしたのかと問われても、「何もきくな。知っていることは知っているとおりだ。これからは、ひと言も話さない」
- オセローは、キャシオーに「おまえを信じる。ゆるしてくれ」とわび、ヴェニスの使者たちに言います。この不幸を書きおくるときは、ありのままに書いてほしい。そして、「賢くはなく、あまりにも深く愛した男。たやすく嫉妬する者ではなかったが、たくみにあやつられて、極みまでとりみだした男」と伝えてほしい、と
- そう言いおえると、オセローは自らを刺し、「殺す前に、わたしはおまえに口づけをした」と言って、デズデモーナの上にたおれます

『オセロー』で「嫉妬にお気をつけなさい」と忠告するのは、嫉妬をあおっているイアーゴー本人です。イアーゴーは、ハンカチのような「空気のように軽い」ものでも、嫉妬する者には確かな証拠になると語っています。
まとめ
- 『オセロー』は、シェイクスピアの悲劇。原題は「OTHELLO, THE MOOR OF VENICE」
- ヴェニスのムーア人の将軍オセローは、デズデモーナとひそかに結婚する
- 副官になれなかった旗手イアーゴーは、デズデモーナとキャシオーの仲を疑わせる罠をしかける
- 「嫉妬は緑の目をした怪物」。妻が落としたハンカチが、うその「証拠」になる
- オセローは妻を手にかけ、エミリアが真実を明かし、オセローは「賢くはなく、あまりにも深く愛した男」と自らを語って命を絶つ
- シェイクスピアの悲恋は『ロミオとジュリエット』、食いちがう証言の物語は芥川龍之介『藪の中』、嫉妬と罪の物語は夏目漱石『こころ』もどうぞ
つらい気持ちのときは
- 作品には、自ら命を絶つ場面が出てきます。もし今、死にたい気持ちや、ひとりで抱えきれない悩みがあるときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で、電話やSNSの相談窓口を探せます(つらいときの相談先)
参考文献
- William Shakespeare. Othello(OTHELLO, THE MOOR OF VENICE). Project Gutenberg. https://www.gutenberg.org/ebooks/1531 (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. まもろうよ こころ. https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。