
メル美旅行の日に生理がかぶりそう…。ずらすことってできるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 「旅行の日に生理が重なりそう」「大事な試験やイベントの日は避けたい」——そんなときに、薬を使って生理の時期をずらすのが月経移動です。
月経移動ってなに?
月経移動は、ホルモンの薬を飲んで、生理がくる時期を、遅らせたり早めたりする方法です。
- 薬を飲んでいる間は、子宮内膜がはがれずに保たれ、生理がおこりにくくなります
- 薬をやめると、数日後に生理(消退出血)がきます
この仕組みを使って、生理の時期を調整します。月経移動は病気の治療ではないので、自費になります(保険は使えません)。
どんな薬を使うの?
このサイトでは、月経移動に中用量ピルを使う方法を紹介します。
- 中用量ピルは、低用量ピルより、エストロゲン(卵胞ホルモン)の量が多いピルです
- ほかに、ノルエチステロン(黄体ホルモンの薬)が使われることもあります
2つの方法:遅らせる・早める
1. 生理を遅らせる
- 次の生理の予定日の5日前ごろから薬を飲み始めます
- 大事な予定が終わるまで、毎日飲み続けます
- 飲むのをやめると、2〜3日後に生理がきます
2. 生理を早める
- 大事な予定の前の生理が始まってから、5日目ごろまでに薬を飲み始めます
- 7〜10日間飲み続けてからやめると、2〜3日後に生理がきます
- 大事な予定の日には、生理が終わっているように調整します
どちらを選ぶ?
- 遅らせる方法のほうが、確実です。予定が近づいてからでも始められます。ただし、大事な予定の間も薬を飲み続けることになり、吐き気などの副作用が出ることもあります
- 早める方法は、大事な予定の間に薬を飲まなくてよいのがいいところです。ただし、前の生理のときから準備する必要があるので、早めに相談しましょう
大事な予定が決まったら、早めに相談してくださいね。前の生理のうちから準備できると、選べる方法が増えます。
低用量ピルを飲んでいる人は
低用量ピルを飲んでいる人は、休薬期間(または成分の入っていない錠剤の期間)をとばして、次のシートをすぐに飲み始めることで、生理を遅らせることができます(英国NHSの資料)。
- すべての錠剤のホルモンの量が同じピル(1相性)であれば、続けて飲むことができます
- ホルモンの量が途中で変わるピル(段階型)の場合は、飲み方が違うので、医師に相談しましょう
- 続けて飲んでいると、不正出血(少量の出血)がおこりやすくなります
注意すること
避妊について
- 中用量ピルを飲んでいる間は、排卵が止まる可能性が高いため、このサイトでは、5日間ほど飲めば、避妊の効果も期待できると考えています
- ただし、月経移動は避妊を目的とした使い方ではありません。飲み始める前のセックスによる妊娠は防げません。また、飲むのをやめたあとは、避妊の効果はなくなります
- 継続して避妊をしたい人は、低用量ピルなどを医師に相談しましょう
- ピルを飲んでいても、性感染症は防げません。コンドームを使いましょう
血栓症に注意
エストロゲンを含む薬(中用量ピルなど)には、血栓症(血管の中に血のかたまりができる病気)のリスクがあります。
- 中用量ピルは、低用量ピルよりエストロゲンの量が多い薬です。ピルでは、エストロゲンの量が多いほど、血栓症のリスクが高くなる傾向があります
- ふくらはぎの痛みや腫れ、急な息切れや胸の痛み、激しい頭痛などがあったら、すぐに受診しましょう
そのほかの副作用
吐き気、頭痛、乳房の張り、不正出血などがおこることがあります。
使えない人
中用量ピルの添付文書では、次のような人には使えないとされています(一部)。
- 血栓症(血栓性静脈炎、肺塞栓症)になったことがある人
- 乳がん・子宮体がんの人、またはその疑いがある人
- 重い肝臓の病気がある人
- 妊娠中、または妊娠している可能性がある人
また、35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人は、血栓症などのリスクが特に高くなるとされています。持病がある人や、飲んでいる薬がある人は、必ず医師に伝えましょう。
まとめ
- 月経移動は、ホルモンの薬で生理の時期を遅らせたり早めたりする方法。自費
- 遅らせる:予定日の5日前ごろから、大事な予定が終わるまで飲む。こちらのほうが確実
- 早める:前の生理の5日目ごろまでに飲み始め、7〜10日間飲んでやめると2〜3日で生理。予定の間に薬を飲まなくてよいが、早めの準備が必要
- 低用量ピルを飲んでいる人は、休薬をとばして次のシートを続ける方法もある
- 5日間ほど飲めば避妊の効果も期待できるが、避妊を目的とした使い方ではない。性感染症予防にはコンドームを
- エストロゲンを含む薬は血栓症に注意
参考文献
- ノルエチステロン錠5mg 添付文書(KEGG MEDICUS). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001430 (閲覧日:2026年9月26日)
- ノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合錠 添付文書(JAPIC). https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055276.pdf (閲覧日:2026年9月26日)
- NHS Specialist Pharmacy Service(英国). Choosing a medicine to delay periods(2025年5月更新). https://sps.nhs.uk/articles/choosing-a-medicine-to-delay-periods/ (閲覧日:2026年9月26日)
- de Bastos M, et al. Combined oral contraceptives: venous thrombosis. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(3):CD010813. https://doi.org/10.1002/14651858.CD010813.pub2 (閲覧日:2026年9月26日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。