
メル美「NIPT」って、血液検査だけで赤ちゃんの病気がわかるんでしょ?みんな受けるものなのかな。

プレ男夫婦で考えることだよね。男もちゃんと知っておきたいな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、出生前検査の話です。日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会のサイトをもとにまとめました。最初に大事なことを書いておきます。出生前検査は、受けるかどうかを、妊婦さん(とパートナー)が情報や支えを受けながら決める検査です。受けても、受けなくても、どちらも大切な選択です。
妊婦健診の検査と、出生前検査はちがう
- 妊婦健診の検査:血圧・体重・尿・血液検査(妊婦健診の感染症の検査)や、ふつうの超音波検査など。すべての人に受けてほしい基本の検査で、公費の補助があります
- 出生前検査:希望した人だけが受ける検査。妊婦健診では行われず、どの産婦人科でも受けられるわけではありません
- 運営委員会によると、出生前検査は自費で、検査や施設によって数万円〜20万円ほどです
- 妊婦健診の超音波検査でも、たまたま病気のサインが見えることがあります。「知りたくない」と思う人は、前もって医師に伝えることもできます
検査の種類
出生前検査には、「非確定的検査」(病気の可能性を調べる)と、「確定的検査」(病気があるかないかをはっきりさせる)があります。
| 検査 | 時期 | どんな検査? | 調べる病気 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| NIPT | 妊娠9〜10週以降 | 妊婦さんの採血(10〜20ml) | ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー | 非確定的(陽性・陰性・判定保留) |
| 母体血清マーカー検査 | 妊娠15〜20週 | 妊婦さんの採血 | ダウン症、18トリソミー、開放性神経管奇形 | 非確定的(「1/256」のような確率) |
| 絨毛検査 | 妊娠11〜14週 | おなかに針を刺して胎盤の組織をとる | さまざまな染色体の病気 | 確定的。流産のリスク約1% |
| 羊水検査 | 妊娠15〜16週以降 | おなかに針を刺して羊水を約20mlとる | さまざまな染色体の病気 | 確定的。流産のリスク約0.3% |
出典:出生前検査認証制度等運営委員会「お腹の赤ちゃんの検査の種類」
- このほか、超音波で赤ちゃんの体のつくりを詳しく見る胎児超音波検査や、超音波と採血を組み合わせたコンバインド検査もあります
- どの検査も、病気の重さや症状まではわかりません

プレ男針を刺す検査には、流産のリスクもあるんだね。
NIPTの「陽性」は、確定ではない
- NIPTの結果は、病気ごとに「陽性」「陰性」「判定保留」で示されます
- 「陽性」は、病気がある可能性が高いということ。でも、実際には病気がない(偽陽性)こともあるので、羊水検査などの確定的検査が必要です
- 本当に病気がある割合(陽性的中率)は、妊婦さんの年齢と病気の種類で大きく変わります。若いほど低く、18トリソミー・13トリソミーはダウン症より低くなります
| 妊婦さんの年齢 | ダウン症 | 18トリソミー | 13トリソミー |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 79.3% | 48.1% | 16.7% |
| 30歳 | 85.3% | 58.4% | 23.3% |
| 35歳 | 93.6% | 77.9% | 43.2% |
出典:出生前検査認証制度等運営委員会(NIPTコンソーシアムの実測データの感度・特異度から算出した陽性的中率)
- つまり、25歳で13トリソミーが「陽性」と言われても、本当に13トリソミーがあるのは2割未満です。運営委員会は、44歳でダウン症が陽性なら99%くらいの人に本当にダウン症がある、と説明しています
国内10万人の追跡調査(NIPTコンソーシアム)
- 2013年から2021年3月までに10万1,218件のNIPTが行われ、「陽性」は1.8%(約50人に1人)、「判定保留」は0.4%、「陰性」は97.8%でした
- ダウン症が陽性と出て確定的検査を受けた981人のうち、955人(97.3%)で確定し、26人(2.7%)は偽陽性でした
- なお、この調査で検査を受けた人は平均38.4歳で、2022年までは原則35歳以上が対象でした。若い人では、陽性的中率が下がります

メル美「陽性」って言われたら、それだけで決めつけちゃいそう。確定的検査が必要なんだね。

NIPTの「陽性」は、病気が確定したという意味ではありません。年齢や病気によっては、偽陽性のほうが多いこともあります。必ず確定的検査と遺伝カウンセリングを。
「認証施設」で調べるのは3つの病気だけ
- 運営委員会は、NIPTを行う医療機関と検査分析機関を認証しています(認証医療機関の一覧は運営委員会のサイトにあります)
- 認証施設では、NIPTで調べるのをダウン症、18トリソミー、13トリソミーの3つに限定しています。精度が十分に確かめられているのがこの3つだからです
- これ以外の病気も調べると広告する施設もありますが、運営委員会は、精度が十分に検証されていない病気を対象にする施設は認証していません。米国の産婦人科学会も、3つ以外の検査はすすめないとしています
- 認証医療機関には、出生前診断に詳しい産婦人科専門医がいて、結果の説明や、陽性のときの確定的検査・相談までつながって支えるしくみになっています
受けるかどうか、どう考える?
- 検査で何がわかり、何がわからないのか
- 結果が陽性だったら、どうしたいか(確定的検査を受けるか、その先どうするか)
- 結果を知ることで、準備できること(生まれてすぐの治療ができる病院への転院など)
迷ったら、遺伝カウンセリングを受けることができます。運営委員会のサイトには、出生前検査について相談できるところや、子ども・本人・家族の暮らしと福祉のサポートの情報もあります。
35歳以上の妊娠で気をつけたいことは、高齢妊娠・高年初産の記事にまとめています。
パートナーにできること
- 一緒に説明を聞き、一緒に考える。受けるかどうかは、妊婦さんの気持ちをいちばん大切に
- 結果を待つ時間は、とても不安です。ひとりにしない
- どんな結果でも、責めない。どちらの選択も、2人で悩んで出した大切な答えです
まとめ
- 出生前検査は、希望した人だけが受ける検査。受けるかどうかは自分(たち)で決めていい
- NIPTは妊娠9〜10週以降の採血で、ダウン症・18トリソミー・13トリソミーの可能性を調べる
- NIPTの陽性は確定ではない。若い人や13・18トリソミーでは偽陽性が多い。確定的検査(羊水・絨毛)が必要
- 認証施設は、精度が確かめられた3つの病気だけを調べる
- 迷ったら遺伝カウンセリングへ
参考文献
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. お腹の赤ちゃんの検査の種類. https://jams-prenatal.jp/testing/ (閲覧日:2026年10月4日)
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査). https://jams-prenatal.jp/testing/nipt/ (閲覧日:2026年10月4日)
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPTを受けた10万人の妊婦さんの追跡調査. https://jams-prenatal.jp/testing/nipt/follow-up-survey/ (閲覧日:2026年10月4日)
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. 認証施設がNIPTで調べる病気を限定している理由. https://jams-prenatal.jp/testing/nipt/limitation/ (閲覧日:2026年10月4日)
- 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. 羊水検査 / 絨毛検査 / 母体血清マーカー検査. https://jams-prenatal.jp/testing/amniocentesis/ 、https://jams-prenatal.jp/testing/cvs/ 、https://jams-prenatal.jp/testing/maternal-serum-screening/ (閲覧日:2026年10月4日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。