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プレ男夜に歩いてたら、おまわりさんに「ちょっといいですか」って声をかけられたんだ。あれって断れるの?

メル美職務質問だね。法律にはどう書いてあるのか、条文と最高裁の判決で確かめてみよう。
この記事は、e-Gov法令検索の警察官職務執行法(警職法)と、最高裁判所昭和53年6月20日第三小法廷判決(裁判所ウェブサイトの判決全文)で確かめた内容です。個別の事件については、弁護士にご相談ください。
警察官は「停止させて質問することができる」
警職法 第2条第1項は、こう定めています。
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
- 職務質問の対象は、だれでもよいわけではありません。条文では、つぎの2種類の人です
- 異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、何かの犯罪を犯した、または犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある人
- すでに行われた犯罪や、行われようとしている犯罪について知っていると認められる人
- 第1条第2項は、この法律の手段は「必要な最小の限度において用いるべきもの」で、「いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない」とも定めています
交番への同行は「求めることができる」
- 第2条第2項:その場で質問すると本人に不利な場合や、交通のじゃまになる場合は、近くの警察署・派出所・駐在所に同行することを求めることができる
- 条文は「求めることができる」。いわゆる「任意同行」です
「答弁を強要されることはない」
第2条第3項は、こう定めています。
前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
- 逮捕などの刑事訴訟の手続によらないかぎり、職務質問では
- 身柄を拘束されない
- 意思に反して警察署などに連行されない
- 答えることを強要されない
- 職務質問は、最高裁の判決の言葉でいえば「任意手段」です

プレ男答えなくても、法律上は強制されないんだ!じゃあ、カバンの中を見せてって言われたら?
カバンの中は?——条文に「所持品検査」はない
- 警職法には、職務質問のときの所持品検査の規定はありません。第2条第4項は、刑事訴訟の手続で逮捕されている人について、凶器を持っていないか調べることができる、と定めるだけです
- そこで、所持品検査がどこまで許されるかについて、最高裁判所が示したのが、昭和53年6月20日第三小法廷判決です
最高裁昭和53年判決の事件
- 判決によれば、1971年(昭和46年)7月23日、米子市内で、猟銃とナイフを持った4人組の銀行強盗事件が発生し、犯人は600万円あまりを奪って逃げていました
- 岡山県の警察官が深夜に検問をしていたところ、手配に似た若い男性2人が乗った車が通りかかります。2人は職務質問に黙秘し、ボーリングバッグとアタッシュケースを開けるよう何度も求められても拒みつづけました
- 警察署に同行したあとも拒みつづけたため、巡査長は承諾のないままボーリングバッグのチャックを開け、大量の紙幣を見つけます。さらに、鍵のかかったアタッシュケースをドライバーでこじ開けたところ、被害銀行の帯封のついた札束が見つかり、2人は緊急逮捕されました
判決が示した線引き
判決は、所持品検査について、こう述べています(判決文から)。
- 警職法は所持品の検査について明文の規定を設けていないが、所持品検査は口頭の質問と密接に関連し、職務質問の効果をあげるうえで必要性・有効性が認められるので、「同条項による職務質問に附随してこれを行うことができる場合がある」
- 「所持品検査は、任意手段である職務質問の附随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であることはいうまでもない」
- しかし、承諾がないかぎり一切許されないと解するのは相当でなく、「捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合がある」
- ただし、所持品について捜索・押収を受けない権利は憲法35条が保障するもの。だから「状況のいかんを問わず常にかかる行為が許容されるものと解すべきでない」。許されるのは「限定的な場合において、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ」
この事件では?
- ボーリングバッグのチャックを開けたこと:重大な犯罪が発生し、犯人として濃厚な容疑があり、凶器を持っている疑いもあったのに、黙秘し開披要求を拒みつづけるなど、緊急性・必要性が強かった。一方で、施錠されていないチャックを開けて「内部を一べつしたにすぎない」から法益の侵害はさほど大きくない。だから相当と認めうる行為で、職務質問に附随する行為として許される
- アタッシュケースをこじ開けたこと:原判決はこれを警職法に違反すると認めていました。最高裁は、バッグの適法な開披ですでに緊急逮捕の要件がそろい、時間的に接着して逮捕の現場で行われたことから、逮捕に先立つ捜索と同一視しうるとして、証拠から排除すべきではないと判断しました

メル美承諾が原則。でも、重大な事件で強い疑いがあるような場合には、承諾がなくても「一べつ」程度なら許された、ということなんだね。
手を出すのはNG
- 職務質問に答える義務がないとしても、警察官をつきとばしたり、たたいたりすれば、公務執行妨害罪(刑法95条)にあたるおそれがあります。くわしくは公務執行妨害罪へ
- カッターナイフなどを持ち歩いていた場合の法律は、刃物の携帯にまとめています

警察官職務執行法2条3項は、刑事訴訟の手続によらないかぎり、職務質問で身柄を拘束されたり、答弁を強要されたりすることはない、と定めています。所持品検査について、最高裁昭和53年判決は「承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則」と述べています。
まとめ
- 職務質問は警察官職務執行法2条1項。対象は、犯罪を疑うに足りる相当な理由のある人などで、「停止させて質問することができる」
- 交番などへの同行は「求めることができる」(任意同行、2条2項)
- 刑事訴訟の手続によらないかぎり、身柄の拘束・連行・答弁の強要はされない(2条3項)
- 所持品検査は条文にない。最高裁昭和53年6月20日判決は「承諾を得て行うのが原則」、ただし捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、必要性・緊急性などを考えて相当な限度で許される場合がある、とした
- 答える義務がなくても、手を出せば公務執行妨害罪のおそれ。逮捕されたあとの流れは逮捕されたらへ
参考文献
- 警察官職務執行法(昭和23年法律第136号). e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000136 (閲覧日:2026年10月12日)
- 最高裁判所第三小法廷 昭和53年6月20日判決. 裁判所ウェブサイト(判決全文). https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-50201.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。