
メル美トランスジェンダーの友だちが、「がん検診って、自分はどれを受ければいいのかわからない」って言ってたの。

プレ男ホルモン療法や手術を受けているかどうかでも、ちがいそうだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、トランスジェンダーの人のがん検診の話です。日本産婦人科医会の研修ノート「No116 産婦人科診療 こんなときどうする?」(医師向け、2026年)の「性別適合手術を行っていないトランスジェンダー男性へのがん検診は?」「ホルモン補充を行っているトランスジェンダー女性に対する乳がん検診は?」などをもとにまとめました。
トランスジェンダー男性:残っている臓器の検診を
研修ノートによると、
- トランスジェンダー男性は、男性ホルモン(アンドロゲン)療法、乳房切除術、性別適合手術(子宮・卵巣の切除)を受けているかどうかで、体の状態がさまざまです
- 乳房や子宮が残っていれば、シスジェンダー女性と同じように、乳がん・子宮頸がんの検診を受ける必要があるとされています。性交の経験がある人もいるため、HPV検査の併用も役立つとしています
- 体への思いや、過去の医療者とのいやな経験などから受診率が低く、その結果、見つかったときには進んでいる例が多いとされています
- 男性ホルモン療法によって子宮頸部の細胞が萎縮し、細胞診で「判定に適さない(不適正)」とされる割合が上がるとされています
- 男性ホルモン療法が子宮頸がん・子宮体がん・乳がんのかかりやすさにどう影響するかは、まだはっきりしていません
子宮頸がん検診については子宮頸がん検診は20歳からを見てください。

トランスジェンダー男性で、子宮や乳房が残っている人は、子宮頸がんや乳がんの検診を受ける必要があるとされています。受診しにくさがあれば、それも含めて医療機関に相談してください。
医療機関の側の課題
研修ノートでは、トランスジェンダーの人が受診しやすいように、医療環境の改善や職員の研修が求められるとしています。
トランスジェンダー女性:乳がん検診も考える
研修ノートによると、
- エストロゲン療法を受けているトランスジェンダー女性の乳がんにかかる率は、シスジェンダー男性の22.5倍と高い一方、シスジェンダー女性の0.30倍と低いと報告されています
- マンモグラフィで乳腺が白く写る高濃度乳房(デンスブレスト)の人が多く、見落としが起こりやすいため、超音波検査の併用が役立つとされています
- 50歳以上で5〜10年エストロゲン療法を受けている場合は、2年ごとのマンモグラフィが提案されています
乳がん検診全般については、乳がんは女性でいちばん多いがんを見てください。

プレ男エストロゲン療法を受けているトランス女性も、乳がん検診を考えたほうがいいんだね。
エストロゲン療法中の定期的な検査
研修ノートによると、エストロゲン療法を始める前には、血液・尿の検査や心電図などで、血栓症や心臓・血管の病気のリスクを確かめます。始めたあとは、原則として1年間は3か月ごと、その後は6か月ごとに血液検査を行い、血圧や体重を測るとされています。
性感染症の検査については、トランスジェンダー・ノンバイナリーの人の性感染症の検査を見てください。
まとめ
- トランス男性で子宮や乳房が残っていれば、子宮頸がん・乳がんの検診を
- 受診率が低く、見つかったときに進んでいることが多い。受けやすい環境づくりが求められている
- エストロゲン療法中のトランス女性は、乳がんの率がシス男性の22.5倍
- 50歳以上で5〜10年の療法なら、2年ごとのマンモグラフィが提案されている
- エストロゲン療法中は、定期的な血液検査も
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No116 産婦人科診療 こんなときどうする?「40.性別適合手術を行っていないトランスジェンダー男性へのがん検診は?」. https://www.jaog.or.jp/note/no116_3_40/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No116 産婦人科診療 こんなときどうする?「41.ホルモン補充を行っているトランスジェンダー女性に対する乳がん検診は?」. https://www.jaog.or.jp/note/no116_3_41/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No116 産婦人科診療 こんなときどうする?「42.エストロゲン補充を行っているトランスジェンダー女性への検査(がん検診以外)のタイミングは?」. https://www.jaog.or.jp/note/no116_3_42/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。