ウレアプラズマ・マイコプラズマ・ホミニスって何?検査で陽性と言われたときに知ってほしいこと
性感染症の検査で見つかることがあるウレアプラズマとマイコプラズマ・ホミニス。多くの人が持っている菌で、必ずしも治療が必要とは限りません。病気との関係、検査や治療の考え方をまとめました。

メル美検査でウレアプラズマが陽性って言われたんだけど、これって性病?
こんにちは、Dr. Taro です。 性感染症の検査を受けたら、「ウレアプラズマ」や「マイコプラズマ・ホミニス」が陽性だった——そんなとき、「性病にかかってしまった」「パートナーからうつされた」と不安になる人も多いと思います。 でも実は、これらの菌は、症状のない健康な人でもよく見つかる菌です。今回は、検査で陽性と言われたときに知ってほしいことをお話しします。
ウレアプラズマ・マイコプラズマ・ホミニスってどんな菌?
どちらも、マイコプラズマの仲間の小さな細菌で、性器や尿の通り道によくいる菌です。検査で見つかるのは、主に次の3つです。
- マイコプラズマ・ホミニス
- ウレアプラズマ・パルバム
- ウレアプラズマ・ウレアリチカム
名前が似ているマイコプラズマ・ジェニタリウムは、尿道炎や子宮頸管炎をおこす「性感染症の原因菌」です。今回の3つの菌とは別ものなので、注意してください。
大人では、新しくこれらの菌を持つようになるのは、多くが性行為によるものです。ただ、性行為の経験がない子どもから見つかることもあり、性行為だけでうつるわけではありません。
病気の原因になるの?
ヨーロッパの性感染症ガイドラインの編集委員会は、2018年に、これらの菌についての見解を出しています。
- 症状のない人がこれらの菌を持っていることはよくあり、ほとんどの人は病気になりません
- 女性で見つかる割合は、マイコプラズマ・ホミニスが 3.1〜15%、ウレアプラズマ・ウレアリチカムが 5.2〜20%、ウレアプラズマ・パルバムが 20〜89% と報告されています
男性では
- マイコプラズマ・ホミニス:尿道炎の原因になるという根拠はありません。女性パートナーの細菌性腟症を反映していることが多いと考えられています
- ウレアプラズマ・パルバム:尿道炎との関係は、はっきりしていません
- ウレアプラズマ・ウレアリチカム:菌の量が多いと、淋菌以外の尿道炎の一部の原因になる可能性があります。ただし、尿道炎の人から見つかっても、40〜80%は原因ではなく、ただいるだけと考えられています
日本の男性尿道炎のガイドライン(JAID/JSC 2018)でも、ウレアプラズマ・ウレアリチカムは、淋菌・クラミジア以外の尿道炎の原因の「候補」のひとつとして挙げられています。
女性では
- 3つの菌のどれについても、腟炎・子宮頸管炎・尿道炎・骨盤内炎症性疾患・不妊の原因になるという、十分な根拠はありません
- とくにマイコプラズマ・ホミニスは、細菌性腟症(腟の中の菌のバランスがくずれた状態)と関係が深く、細菌性腟症のときに増えやすいことが分かっています
米国CDCも、子宮頸管炎について「ウレアプラズマが原因になるという根拠はない」とし、これらの菌の検査はすすめないとしています。
これらの菌は、症状のない健康な人でもよく見つかります。陽性と言われても、あわてなくて大丈夫です。
検査は受けたほうがいい?
ヨーロッパの見解では、次のようにされています。
- 症状のない人の検査(スクリーニング)も、症状がある人へのルーチンの検査も、すすめない
- 男性の尿道炎で検査をする場合は、先に淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ジェニタリウム(必要に応じてトリコモナス)を調べて、それらが原因でないことを確かめてから、菌の量が分かる検査でウレアプラズマ・ウレアリチカムを調べる
- 症状のある女性では、まず細菌性腟症を調べて、あれば治療する
最近は、クラミジアや淋菌などと一緒に、これらの菌もまとめて調べる検査(多項目の PCR 検査)が広まっています。そのため、症状がないのに陽性と分かる人が増えていることも、問題として指摘されています。
日本では、これらの菌の検査に保険は使えません(自費の検査になります)。このサイトでは、これらの菌をわざわざ調べる必要はないと考えています。それでも調べたい場合は、医師に相談してください。
治療は必要?
ヨーロッパの見解では、陽性でも、ルーチンに治療することはすすめられていません。理由は、次のとおりです。
- 多くの人は病気にならない、ふつうに体にいる菌であること
- 治療しても菌を消すのがむずかしく、菌が消えることと症状がよくなることが、必ずしも結びつかないこと
- 必要のない抗菌薬を使うと、これらの菌だけでなく、淋菌などの本当の性感染症の菌や、体のほかの菌にも、薬が効かない菌(耐性菌)を増やしてしまうおそれがあること
治療を考えるのは、淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ジェニタリウムなどが否定されたうえで、尿道炎の症状があり、ウレアプラズマ・ウレアリチカムの菌の量が多い男性などに限られます。ただし、その場合も、効果が確かめられた治療法は確立していません。
なお、これらの菌には、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬は効きません(細胞壁がないため)。また、マイコプラズマ・ホミニスには、アジスロマイシンなど一部のマクロライド系の薬も、もともと効きません。
このサイトでは、これらの菌が陽性でも、治療は必要ないと考えています。治療には保険が使えないため、それでも治療を希望する場合は、自費での治療になります。
ただし、細菌性腟症や尿道炎の症状がある場合は、その病気としての治療をすることがあります。
症状があるときは
尿道炎や、おりものの異常、下腹部の痛みなどの症状があるときに大切なのは、クラミジア・淋菌・マイコプラズマ・ジェニタリウム・トリコモナスなどの本当の性感染症や、細菌性腟症をきちんと調べて、治療することです。 ウレアプラズマやマイコプラズマ・ホミニスが陽性でも、症状の原因はほかにあるかもしれません。自己判断せず、医師に相談しましょう。
なお、今回お話ししたのは、妊娠していない大人の場合です。妊娠中の人や、妊娠を考えている人は、主治医に相談してください。
パートナーを疑わないで
ウレアプラズマやマイコプラズマ・ホミニスが見つかっても、「最近、パートナーからうつされた」とは限りません。症状のない人でもよく持っている菌で、いつから持っていたかも分かりません。

プレ男性病になるより、修羅場になる方がヤバい!

メル美検査の結果だけでパートナーを責めずに、気になることは医師に相談しましょう。
まとめ
- ウレアプラズマ(パルバム・ウレアリチカム)とマイコプラズマ・ホミニスは、症状のない人でもよく見つかる菌
- マイコプラズマ・ジェニタリウムとは別もの
- 病気の原因になる根拠は乏しく、菌が多いウレアプラズマ・ウレアリチカムが男性の尿道炎の一部の原因になるかもしれない程度
- 症状のない人の検査や、陽性の人のルーチンの治療はすすめられていない(ヨーロッパの見解、米国CDC)
- 症状があるときは、本当の性感染症や細菌性腟症をきちんと調べることが大切
参考文献
- Horner P, Donders G, Cusini M, Gomberg M, Jensen JS, Unemo M. Should we be testing for urogenital Mycoplasma hominis, Ureaplasma parvum and Ureaplasma urealyticum in men and women? – a position statement from the European STI Guidelines Editorial Board. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32:1845-1851. https://doi.org/10.1111/jdv.15146 (閲覧日:2026年9月25日)
- Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Urethritis and Cervicitis. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/urethritis-and-cervicitis.htm (閲覧日:2026年9月25日)
- 日本感染症学会・日本化学療法学会. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2018―男性尿道炎とその関連疾患―. 感染症学雑誌 2018;92(3):313-. https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC2018_maleurethritis1805.pdf (閲覧日:2026年9月25日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。