性病と間違えやすいもの2026年9月25日

細菌性腟症とは?おりもののにおい・変化の原因と治療。パートナーの治療で再発が減るという新しい研究も

おりものがにおう、灰色っぽい——細菌性腟症は、腟の中の善玉菌(乳酸菌)が減って、ほかの菌が増えた状態です。性感染症にかかりやすくなることも。症状、検査、治療、くり返すときの考え方をまとめました。

目次
  1. 細菌性腟症ってどんな状態?
  2. 性病なの?
  3. 放っておくと?
  4. 検査は?
  5. 治療は?
  6. パートナーも治療すると、再発が減る—新しい研究
  7. 予防するには
  8. まとめ

メル美最近、おりもののにおいが気になるんだけど、これって病気?

こんにちは、Dr. Taro です。 「おりものが魚のようなにおいがする」「いつもよりさらさらしている」——こんなときに考えられるのが細菌性腟症です。実は、おりものの異常の原因として、世界でいちばん多いのが細菌性腟症です。

細菌性腟症ってどんな状態?

腟の中には、ふだん乳酸菌(善玉菌)がたくさんいて、腟の中を酸性に保ち、ほかの菌が増えるのを防いでいます。 細菌性腟症は、この乳酸菌が減って、代わりにほかの菌(嫌気性菌など)が増えた状態です。腟の中の菌のバランスがくずれた状態(ディスバイオシス)ともいえます。

おりものは、白っぽく濁った色や灰色がかった色になり、魚が腐ったような、強いにおいがすることがあります。

性病なの?

細菌性腟症は、いわゆる性病(性感染症)とは少し違いますが、性行為と関係があります。 米国CDCは、次のようなことが、細菌性腟症にかかりやすくなる要因だとしています。

原因は、腟の乳酸菌が減ることです。性行為や月経、腟の中での射精などが、乳酸菌が減るきっかけになります。

女性同士の性行為と性感染症については、女性同士でも性感染症はうつるの記事にまとめています。

放っておくと?

細菌性腟症があると、次のようなリスクが高くなるとされています(米国CDC)。

細菌性腟症があると、性感染症にもかかりやすくなります。おりもののにおいや変化が気になったら、受診してくださいね。

検査は?

腟のおりものを調べて診断します。次の4つのうち3つ以上があてはまれば、細菌性腟症と診断されます(アムセルの基準)。

  1. さらさらした、均一なおりもの
  2. 顕微鏡で見ると、腟の細胞のまわりに細菌がびっしりついた細胞(クルーセル)が見える
  3. 腟の中の pH が4.5より高い(酸性が弱くなっている)
  4. おりものにアルカリを加えると、魚のようなにおいがする

その場で診断がつくことが多い病気です。

治療は?

症状がある場合は、抗菌薬で治療します。米国CDCがすすめている治療は、次のとおりです。

このサイトでは、メトロニダゾールの腟錠での治療をおすすめしています。メトロニダゾールは、腟の乳酸菌にはあまり効かず、においの原因となる嫌気性菌などによく効く薬です。

くり返しやすい

細菌性腟症は、治療しても再発しやすいのが特徴です。下の試験では、女性だけを治療した場合、12週間以内に63%が再発していました。

パートナーも治療すると、再発が減る—新しい研究

パートナーも治療すると、再発が減った(オーストラリアの試験):12週間以内に細菌性腟症が再発した割合は、女性だけ治療した場合63%、男性パートナーも治療した場合35%。男性パートナーは、飲み薬(メトロニダゾール)と塗り薬(クリンダマイシン)を7日間

これまで、細菌性腟症ではパートナーの治療はすすめられていませんでした(米国CDC 2021)。 しかし、2025年にオーストラリアで行われた試験(StepUp試験、164組のカップル)では、女性の治療に加えて、決まった男性パートナーも飲み薬(メトロニダゾール)と塗り薬(クリンダマイシン)で7日間治療したところ、再発が63%から35%に減りました。女性だけを治療するより効果が高かったため、試験は途中で打ち切られています。

この結果は、細菌性腟症の原因となる菌が、性行為でパートナーとの間を行き来していることを示すものと考えられています。

ただし、男性パートナーへのこの治療は、日本では一般的に行われているものではありません。このサイトでは、現時点では、男性パートナーの治療は特に必要ないと考えています。

予防するには

妊娠中の細菌性腟症については、妊娠中の細菌性腟症・トリコモナスにまとめています。

まとめ


参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Bacterial Vaginosis. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/bv.htm (閲覧日:2026年9月25日)
  2. Vodstrcil LA, et al. Male-Partner Treatment to Prevent Recurrence of Bacterial Vaginosis. N Engl J Med. 2025;392:947-957. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2405404 (閲覧日:2026年9月25日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。