細菌性腟症とは?おりもののにおい・変化の原因と治療。パートナーの治療で再発が減るという新しい研究も
おりものがにおう、灰色っぽい——細菌性腟症は、腟の中の善玉菌(乳酸菌)が減って、ほかの菌が増えた状態です。性感染症にかかりやすくなることも。症状、検査、治療、くり返すときの考え方をまとめました。

メル美最近、おりもののにおいが気になるんだけど、これって病気?
こんにちは、Dr. Taro です。 「おりものが魚のようなにおいがする」「いつもよりさらさらしている」——こんなときに考えられるのが細菌性腟症です。実は、おりものの異常の原因として、世界でいちばん多いのが細菌性腟症です。
細菌性腟症ってどんな状態?
腟の中には、ふだん乳酸菌(善玉菌)がたくさんいて、腟の中を酸性に保ち、ほかの菌が増えるのを防いでいます。 細菌性腟症は、この乳酸菌が減って、代わりにほかの菌(嫌気性菌など)が増えた状態です。腟の中の菌のバランスがくずれた状態(ディスバイオシス)ともいえます。
- 細菌性腟症の多くの人は、症状がありません
- 症状があるときは、魚のようなにおいのする、さらさらした(均一な)おりものが出ます
おりものは、白っぽく濁った色や灰色がかった色になり、魚が腐ったような、強いにおいがすることがあります。
性病なの?
細菌性腟症は、いわゆる性病(性感染症)とは少し違いますが、性行為と関係があります。 米国CDCは、次のようなことが、細菌性腟症にかかりやすくなる要因だとしています。
- 新しいパートナーや、複数のパートナーとの性行為
- コンドームを使わない
- 腟の洗浄
- 銅付加IUD(避妊具)の使用
原因は、腟の乳酸菌が減ることです。性行為や月経、腟の中での射精などが、乳酸菌が減るきっかけになります。
女性同士の性行為と性感染症については、女性同士でも性感染症はうつるの記事にまとめています。
放っておくと?
細菌性腟症があると、次のようなリスクが高くなるとされています(米国CDC)。
- 性感染症にかかりやすくなる:HIV、淋菌、クラミジア、トリコモナス、マイコプラズマ・ジェニタリウム、HPV、性器ヘルペス
- 妊娠中:早産などのリスク
細菌性腟症があると、性感染症にもかかりやすくなります。おりもののにおいや変化が気になったら、受診してくださいね。
検査は?
腟のおりものを調べて診断します。次の4つのうち3つ以上があてはまれば、細菌性腟症と診断されます(アムセルの基準)。
- さらさらした、均一なおりもの
- 顕微鏡で見ると、腟の細胞のまわりに細菌がびっしりついた細胞(クルーセル)が見える
- 腟の中の pH が4.5より高い(酸性が弱くなっている)
- おりものにアルカリを加えると、魚のようなにおいがする
その場で診断がつくことが多い病気です。
治療は?
症状がある場合は、抗菌薬で治療します。米国CDCがすすめている治療は、次のとおりです。
- メトロニダゾールの飲み薬(7日間)
- メトロニダゾールの腟ジェル、クリンダマイシンの腟クリーム
このサイトでは、メトロニダゾールの腟錠での治療をおすすめしています。メトロニダゾールは、腟の乳酸菌にはあまり効かず、においの原因となる嫌気性菌などによく効く薬です。
くり返しやすい
細菌性腟症は、治療しても再発しやすいのが特徴です。下の試験では、女性だけを治療した場合、12週間以内に63%が再発していました。
パートナーも治療すると、再発が減る—新しい研究
これまで、細菌性腟症ではパートナーの治療はすすめられていませんでした(米国CDC 2021)。 しかし、2025年にオーストラリアで行われた試験(StepUp試験、164組のカップル)では、女性の治療に加えて、決まった男性パートナーも飲み薬(メトロニダゾール)と塗り薬(クリンダマイシン)で7日間治療したところ、再発が63%から35%に減りました。女性だけを治療するより効果が高かったため、試験は途中で打ち切られています。
この結果は、細菌性腟症の原因となる菌が、性行為でパートナーとの間を行き来していることを示すものと考えられています。
ただし、男性パートナーへのこの治療は、日本では一般的に行われているものではありません。このサイトでは、現時点では、男性パートナーの治療は特に必要ないと考えています。
予防するには
- コンドームを使う
- 腟の洗浄はしない
- 乳酸菌(善玉菌)を補う方法については、細菌性腟症の予防(乳酸菌)のページをご覧ください
妊娠中の細菌性腟症については、妊娠中の細菌性腟症・トリコモナスにまとめています。
まとめ
- 細菌性腟症は、腟の乳酸菌が減って、ほかの菌が増えた状態。おりものの異常の原因としていちばん多い
- 多くは症状がない。症状があれば、魚のようなにおいの、さらさらしたおりもの
- 新しいパートナー・複数のパートナー、コンドームを使わない、腟の洗浄などでなりやすい
- 性感染症にかかりやすくなる
- 治療はメトロニダゾールの腟錠がおすすめ。再発しやすい。男性パートナーも治療すると再発が減ったという研究も
参考文献
- Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Bacterial Vaginosis. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/bv.htm (閲覧日:2026年9月25日)
- Vodstrcil LA, et al. Male-Partner Treatment to Prevent Recurrence of Bacterial Vaginosis. N Engl J Med. 2025;392:947-957. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2405404 (閲覧日:2026年9月25日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
