女性同士でも性感染症はうつる:HPV、性器ヘルペス、トリコモナス、細菌性腟症など。「女性同士だから大丈夫」とは限らない。子宮頸がん検診とHPVワクチンは、性的指向にかかわらず大切
女性同士の性行為では性感染症はうつらない——そう思われがちですが、米国CDCのガイドライン(2021年)は、女性と性交する女性もリスクが低い・ないと決めつけるべきではないとしています。HPV、性器ヘルペス(HSV-1・HSV-2)、トリコモナス、梅毒、細菌性腟症などは女性同士でもうつることがあり、指や性具(セックストイ)の共有、オーラルセックスなどが関係します。子宮頸がん検診とHPVワクチンは、性的指向にかかわらずすべての女性に大切です。

メル美女性のパートナーがいる友だちが、「女性同士なら性病の心配はないよね?」って言ってたの。本当かな。

プレ男ペニスがなくても、うつるものはあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、女性同士の性行為と性感染症の話です。米国CDCの性感染症治療ガイドライン(2021年)をもとにまとめました。性的指向や、どんな相手と性行為をするかにかかわらず、誰でも安心して検査や相談ができることが大切です。
「女性同士だから大丈夫」とは限らない
CDCのガイドラインによると、
- 女性と性交する女性も、性感染症のリスクが低い・ないと決めつけるべきではないとされています
- 女性同士の性行為でどれくらいうつるかのデータは多くありませんが、性感染症の種類と、性行為のしかたによってちがうと考えられています
- オーラルセックス(口と性器)
- 手や指、性具(セックストイ)を使った腟や肛門への挿入
- 口と肛門の接触
- とくに、指と腟・肛門の接触や、性具の共有は、腟や子宮頸管、肛門の分泌物を介してうつる可能性があります
- 女性と性交する女性の多く(53〜97%)は、過去に男性との性行為があり、5〜28%は過去1年に男性のパートナーがいたと報告されています(米国などの調査)。いまのパートナーだけでなく、過去のパートナーからうつっていることもあります

メル美指や性具の共有でもうつることがあるんだね。
女性同士でうつることがある性感染症
CDCのガイドラインによると、
- HPV(ヒトパピローマウイルス):肌と肌の接触でうつり、女性同士でもうつると考えられています。性具の表面にも残ることがあります。男性との性経験がない女性でも、子宮頸部の細胞の変化が見つかっています(HPV)
- 性器ヘルペス:女性同士での性器のHSV-2の感染は起こりにくいものの、起こります。オーラルセックスが多いことから、HSV-1の性器への感染のリスクが高い可能性もあります(性器ヘルペス)
- トリコモナス:女性と性交する女性でも比較的よくあり、クラミジアや淋菌より多いという報告もあります。女性同士で直接うつったことが確かめられています(トリコモナス)
- 梅毒:女性同士で、おそらくオーラルセックスでうつった例が報告されています(梅毒)
- クラミジア・淋菌:女性同士でどれくらいうつるかはわかっていませんが、感染は起こりえます。過去や現在の男性パートナーからうつることもあります(クラミジア)
- HIV:女性同士の性行為でうつったと考えられる例が報告されています(HIV)
細菌性腟症
- CDCのガイドラインによると、細菌性腟症は女性に多く、女性のパートナーがいる女性ではさらに多いとされています。女性同士で性的にうつることを強く示すデータがあります(細菌性腟症)
- 新しいパートナー、細菌性腟症のパートナー、オーラルセックスを受ける、指と腟・肛門の接触などが、細菌性腟症と関係しています
- 症状がない細菌性腟症を、ふだんから検査する必要はないとされています。おりものの変化、においなどのサインを知っておきましょう(細菌性腟症の予防)

女性同士でも性感染症はうつります。子宮頸がん検診とHPVワクチンは、性的指向にかかわらず大切。検査や相談のときは、遠慮なく性行為のことを話してください。
予防のためにできること
CDCのガイドラインは、次のようなことをあげています。
- 性具を共有しない、共有するときはきれいにする(セックストイと性感染症)
- 性具にコンドームをかぶせる
- 指での性行為には手袋、オーラルセックスにはラテックスやプラスチックのシート(デンタルダム)などのバリアを使う
- おりものの変化など、細菌性腟症のサインを知っておく
ただし、CDCは、こうしたバリアはあまり使われていないことも指摘しています。
検査と検診
- CDCは、女性と性交する女性だからといって、ガイドラインどおりの性感染症の検査(クラミジアなど)をためらうべきではないとしています(性感染症の検査の受け方)
- 子宮頸がん検診は、性的指向や性行為のしかたにかかわらず、すべての女性に提供されるべきとされています(子宮頸がん検診)
- HPVワクチンも、すすめられている年齢の人は、性的指向にかかわらず受けましょう(HPVワクチン)
- CDCは、性的指向だけで判断せず、医療者と率直に性行為のことを話すことが大切だとしています
まとめ
- 女性同士でも、HPV、ヘルペス、トリコモナス、梅毒、細菌性腟症などはうつることがある
- 指や性具の共有、オーラルセックスが関係する。過去の男性パートナーからのことも
- 性具を共有しない・きれいにする・コンドームをかぶせる、手袋やデンタルダム
- 子宮頸がん検診とHPVワクチンは、性的指向にかかわらず大切
- 検査や相談では、遠慮なく性行為のことを話してよい
参考文献
- Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep 2021;70(No. RR-4)(Women Who Have Sex with Women and Women Who Have Sex with Women and Men). https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
