性器ヘルペスってどんな病気?症状・再発・治療をやさしく解説
痛い水ぶくれやただれが出て、何度も再発することがある性器ヘルペス。うつり方、再発のしくみ、再発をおさえる治療までまとめました。
目次

メル美性器ヘルペスって、一度かかると治らないって本当?
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、性器ヘルペスのお話です。「一度かかると治らない」と聞いて、不安になっている人も多いかもしれません。でも、しくみを知って、上手に付き合う方法があります。
性器ヘルペスってどんな病気?
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症です。性器やそのまわりに、痛みをともなう水ぶくれ(水疱)やただれ(潰瘍)ができます。
単純ヘルペスウイルスには1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があります。
- 1型:もともとは口のまわり(口唇ヘルペス)に多いタイプ。子どものころに感染していることも多いです
- 2型:主に性器に感染するタイプ
ただ、このすみ分けは厳密ではなく、オーラルセックスで1型が性器に感染することも多くあります。
とても身近なウイルスで、WHOの推計では、世界の15〜49歳の約5億2,000万人(13%)が2型に感染しています。
日本では
性器ヘルペスは、クラミジアや淋菌と同じく一部の医療機関だけが報告する「定点把握」の病気です。2024年の報告数は10,010人(男性3,862人、女性6,148人)で、女性のほうが多く、20〜30代に多く報告されています。 ※一部の医療機関からの報告なので、実際の患者数ではなく「傾向」を見るための数字です。
どうやってうつるの?
主な感染経路は性行為です。
- 相手の性器に水ぶくれなどの症状があるときだけでなく、症状がなくても、性器の粘膜や分泌液にウイルスがいればうつります
- 相手の唾液にウイルスがいれば、オーラルセックスでもうつります
- 妊娠中に性器ヘルペスにかかり、出産のときにウイルスが出ていると、赤ちゃんに感染する(新生児ヘルペス)ことがあります
実は、感染しても症状が出ないまま、ウイルスを出している人が多い(70〜80%)とされています。本人も気づかないまま、パートナーにうつしてしまうことがあるのです。
症状は?—はじめてのときがいちばんつらい
はじめて感染したとき(初発)
- 感染の機会から2〜21日後、性器のむずむず・かゆみなどに続いて、発熱、だるさ、足の付け根のリンパ節の腫れ、強い痛みとともに、小さな水ぶくれや浅いただれがたくさん出ます
- 場所は、男性は亀頭やその周り、女性は外陰部や子宮頸部など
- 女性は、痛みでおしっこや歩くのがつらくなり、入院が必要になることもあります
- 治療しないと、治るまで2〜4週間近くかかります
再発したとき
- はじめてのときより症状は軽く、水ぶくれも小さく少なめで、1週間以内に治ることが多いです
再発のしくみ—ウイルスは神経にかくれている
性器ヘルペスのウイルスは、一度感染すると神経の奥(神経節)にかくれて(潜伏して)、そのままずっと体に残ります。 そして、疲れやストレス、月経、性交などをきっかけに目をさまし、神経を通って、前と同じ部位(性器のあたり)にまた症状を出します。まったく同じ点ではなく、少しずれた場所に出ることもあります。これが「再発」です。
- 再発の回数は、月に2〜3回の人から年に1〜2回の人まで、さまざまです
- 2型のほうが再発しやすいとされています
- 年を重ねるにつれて、再発の回数は減っていくのが一般的です
今の薬では、神経にかくれたウイルスまで追い出すことはできません。でも、症状を早く治したり、再発をおさえたりする方法はあります。
検査はどうやるの?
検査には、大きく2つあります。
水ぶくれやただれがあるとき:患部の検査
水ぶくれやただれの部分をこすって、ウイルスの抗原などを調べます。いま出ている症状がヘルペスかどうかを、すばやく調べられます。
血液の抗体検査:1型と2型を区別できる「gG IgG 抗体検査」
これまでの血液の抗体検査は、1型と2型の抗体が似た反応をしてしまうため、どちらの型に感染しているのかを区別できないのが難点でした。子どものころに口の周りに感染した1型の抗体でも陽性になるので、性器ヘルペスかどうかの判断には使いにくかったのです。
そこで使われるようになったのが、ウイルスの型ごとにちがう「糖たんぱくG(gG)」というたんぱく質を使った抗体検査(gG IgG 抗体検査)です。1型と2型を区別して抗体を調べることができ、日本でも2020年から検査会社で行われるようになり、医師が必要と判断した場合は保険で受けることができます。
結果を読むときのポイントは次のとおりです。
- 2型の抗体が陽性:2型はほぼすべて性行為で感染するので、性器(性器・肛門)に感染していると考えられます。2型は再発しやすいタイプなので、再発の見通しや、再発抑制療法を考えるのにも役立ちます
- 1型の抗体が陽性:子どものころの口の感染でも陽性になるので、性器に感染しているかどうかは、この検査だけでは分かりません
- 感染してすぐは陰性のことがある:抗体ができるまで時間がかかるので、最近の感染が心配なときは、心当たりから12週後にもう一度調べます
- 数値が低い陽性は、偽陽性のこともある:結果の数値の意味は、医師とよく相談しましょう
米国CDCは、この検査が役に立つ場面として、次のような場合を挙げています。
- 再発をくり返しているのに、患部の検査でヘルペスが確かめられないとき
- 症状から性器ヘルペスと診断されたが、検査で確かめていないとき
- パートナーが性器ヘルペスのとき
一方で、症状のない人全員に行う検査(スクリーニング)としてはすすめられていません。水ぶくれ・ただれ・痛みなどが出たら、早めに受診しましょう。
治療は?
性器ヘルペスは、抗ヘルペスウイルス薬(飲み薬)で治療します。治療のしかたは、主に3つあります。
- 症状が出たときの治療 症状が出たら、アシクロビルやバラシクロビルなどの飲み薬で治療します。症状が重いときは点滴を使うこともあります。
- 再発のはじめに、自分で飲む治療(PIT) 再発をくり返していて、違和感・ヒリヒリする感じ(灼熱感)・かゆみなどの再発の初期症状を自分で正確に判断できる人に、前もって薬を処方しておき、初期症状が出たらすぐに(6時間以内に)飲む治療です。アメナメビル(1回飲む)やファムシクロビル(12時間あけて2回飲む)などが使われます。
- 再発をおさえるために、毎日飲む治療(再発抑制療法) 再発をくり返す人(免疫が正常な人では、おおむね年6回以上)には、バラシクロビルを1日1回飲み続けて、再発をおさえる方法があります。パートナーへの感染を減らす効果も認められていますが、飲んでいる間もコンドームの使用がすすめられます。
どの方法がいいかは、再発の回数や生活に合わせて、医師と相談して決めましょう。
妊娠中の人へ
妊娠中に性器ヘルペスになり、出産のときにウイルスが出ていると、赤ちゃんが新生児ヘルペスになることがあります。新生児ヘルペスはまれですが、重い後遺症が残ったり、命にかかわったりすることがある病気です。 妊娠中の人や妊娠を考えている人で、性器ヘルペスにかかったことがある人、症状がある人は、必ず主治医に伝えてください。 くわしくは妊娠中の性器ヘルペスの記事を見てください。
パートナーに伝えるのが気まずい…
わかります。とくにヘルペスは、再発のたびに気になりますよね。 でも、ヘルペスは症状がないまま感染している人が多いので、「どっちからうつったか」は分からないことがほとんど。そして、薬で上手にコントロールできる病気です。

プレ男性病になるより、修羅場になる方がヤバい!

メル美責め合うより、2人で正しく知って、上手に付き合っていきましょう。
予防するには
- コンドームを使う。感染のリスクは下がりますが、コンドームで覆われない部分からうつることもあるので、100%は防げません
- 水ぶくれやただれ、ピリピリ感などがあるときは、性行為を控える
- 再発をくり返す人は、再発抑制療法でパートナーへの感染を減らせます
- 性器ヘルペスなどで性器にただれがあると、HIVに感染しやすくなることも知られています(2型に感染していると、HIVに感染するリスクが約3倍になるとされています)
まとめ
- 性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染症。オーラルセックスで1型が性器にうつることも
- 症状がなくてもうつる。はじめての症状がいちばん重く、再発は軽め
- ウイルスは神経にかくれて、疲れやストレスなどで再発する
- 治療は飲み薬。再発のはじめに飲む方法(PIT)や、毎日飲んで再発をおさえる方法もある
- 血液検査は、1型と2型を区別できるgG IgG 抗体検査が使われるようになった
- 妊娠中の人は、必ず主治医に伝えて
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. 性器ヘルペスウイルス感染症. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/genital-herpes/index.html (閲覧日:2026年9月24日)
- 国立健康危機管理研究機構. 性器ヘルペスウイルス感染症(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/genital-herpes/detail/index.html (閲覧日:2026年9月24日)※ページに「更新作業中のため一部に古い情報が含まれる場合がある」との注記あり
- 厚生労働省. 性感染症報告数(性別にみた性感染症報告数の年次推移、2004年〜2024年). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/houkokusuu.html (閲覧日:2026年9月24日)
- World Health Organization. Herpes simplex virus — Fact sheet. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/herpes-simplex-virus (閲覧日:2026年9月24日)
- バラシクロビル塩酸塩錠 電子添文. https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00046311.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
- アメナメビル錠 医薬品インタビューフォーム(2025年7月改訂 第12版). https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00005347.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
- ファムシクロビル錠 電子添文. https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055027.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
- Centers for Disease Control and Prevention. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Genital Herpes. https://www.cdc.gov/std/treatment-guidelines/herpes.htm (閲覧日:2026年9月24日)
- 株式会社エスアールエル. 新規実施項目のお知らせ No.2020-15「単純ヘルペスウイルス1型・2型-IgG」(2020年3月). https://www.srl-group.co.jp/assets/pdf/news/testing/2020-15.pdf (閲覧日:2026年9月24日)
- 日本性感染症学会(編). 性感染症 診断・治療ガイドライン2026. 診断と治療社, 2025年12月18日発行.
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
