
プレ男甥っ子の誕生日会、ケーキとジュースのあとで大はしゃぎだったよ。やっぱり砂糖で子どもってテンション上がるんだね!

メル美よく聞くけど、それって本当に砂糖のせいなのかな。パーティーそのものが楽しいだけかも…。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回の都市伝説は、「甘いもの(砂糖)を食べると、子どもが興奮して落ち着きがなくなる」説です。米国の医学雑誌『JAMA』に1995年にのったメタ分析(いくつもの研究をまとめて分析したもの)、『New England Journal of Medicine(NEJM)』に1994年にのった試験、そして親の「思いこみ」を調べた1994年の実験を、論文の要旨(アブストラクト)で読んでいきます。
結論から
- 1995年のメタ分析の結論は、「砂糖は子どもの行動や認知(勉強などの頭の働き)に影響しない」
- ただし同じ論文は、「小さな影響や、一部の子どもへの影響は否定できない」とも書いています
- 親が「砂糖のせいだ」と強く信じる理由として、論文は「期待(思いこみ)」と「よくある結びつけ」をあげています
23の研究をまとめると「差なし」
- バンダービルト大学のウォルレイクらは、砂糖を飲ませた場合と、見た目では区別できない人工甘味料(プラセボ)を飲ませた場合をくらべた研究を集めました
- 条件は、①決まった量の砂糖をとらせる、②人工甘味料のプラセボとくらべる、③子ども・親・研究スタッフのだれにも、どちらを飲んだかわからないようにする(盲検)、④効果の大きさを計算できる数字が出ている、の4つ
- 条件に合ったのは16の報告、23の研究でした
- 行動の観察、学校の課題など14の項目について効果の大きさをまとめると、平均は-0.14(直接の観察)から+0.30(学力テスト)のあいだでした。どの項目も、95%信頼区間に「0」(差なし)がふくまれていた、つまり「差がある」とは言えない結果でした

メル美どっちを飲んだか、だれにもわからないようにして調べると、差が出なかったんだ。
「砂糖に敏感」と言われる子でも
- ウォルレイクらは1994年のNEJMの論文で、3〜5歳の子ども25人と、親が「砂糖に敏感」と言う6〜10歳の子ども23人を調べました。二重盲検(子どもも調べる側も、どの食事かを知らない)の試験です
- 家族ぐるみで、①砂糖が多い食事、②砂糖が少なくアスパルテーム(人工甘味料)を使った食事、③砂糖が少なくサッカリン(プラセボ役の人工甘味料)を使った食事を、それぞれ3週間ずつ続けました。どの食事も、添加物・合成着色料・保存料はほぼ入れていません
- 砂糖が多い食事のとき、3〜5歳の子どもは体重1kgあたり1日平均約5.6g、「砂糖に敏感」とされた子どもは約4.5gの砂糖をとっていました
- 結果、「砂糖に敏感」とされた子どもでは、行動と認知の39項目のどれにも、3つの食事で有意な差はありませんでした。3〜5歳の子どもでは31項目のうち4項目で差が出ましたが、一貫した傾向はありませんでした
- 論文の結論は、「ふだんの食事より多くとっても、砂糖もアスパルテームも、子どもの行動や認知に影響しない」
変わったのは「親の見え方」だった
- フーバーとミリッチは1994年、母親が「砂糖に敏感」と言う5〜7歳の男の子35人とその母親で実験しました
- 子どもは全員、人工甘味料(アスパルテーム)のプラセボを飲みました。そのうえで、母親を2つのグループに分け、半分には「お子さんに砂糖をたくさん飲ませました」、もう半分には「プラセボを飲ませました」と伝えました
- 親子でいっしょに過ごすところをビデオにとり、あとで母親に聞くと、「砂糖を飲ませた」と聞かされた母親は、子どもを「落ち着きがない(多動)」と有意に高く評価しました
- ビデオを見ると、その母親たちは子どものそばを離れず、行動をおさえようとすることが多く、注意したり、見たり、話しかけたりすることも多い傾向がありました

プレ男本当は全員が砂糖なしなのに、「砂糖を飲んだ」と思っただけで、子どもがはしゃいで見えちゃうんだ…。

だれが何を飲んだかわからないようにした研究では、砂糖で子どもの行動が変わるという結果は出ていません。一方で「砂糖を飲ませた」と聞いた母親は、同じプラセボを飲んだ子どもを「落ち着きがない」と見ていました。
では、甘いものは食べ放題でいい?
- この記事の研究が調べたのは、行動と認知(頭の働き)への影響だけです
- 砂糖のとりすぎと太りすぎ・むし歯の関係や、1日の量の目安(WHOのガイドライン)は、プレイヤーと健康の砂糖は1日どのくらいまで?にまとめています
まとめ
- 1995年のメタ分析(16の報告・23の研究)の結論は、「砂糖は子どもの行動や認知に影響しない」。ただし、小さな影響や一部の子どもへの影響は否定できない
- 1994年のNEJMの二重盲検の試験でも、「砂糖に敏感」とされた子どもで39項目すべてに差なし
- 全員にプラセボを飲ませた実験では、「砂糖を飲ませた」と聞かされた母親が、子どもを「落ち着きがない」と評価した
- 誕生日会のはしゃぎっぷりは、砂糖よりパーティーそのものかもしれません。食べものの都市伝説はうま味調味料(MSG)は体に悪い?、子どもと「頭がよくなる」の話は「モーツァルトを聞くと頭がよくなる」は本当?もどうぞ
参考文献
- Wolraich ML, Wilson DB, White JW. The effect of sugar on behavior or cognition in children. A meta-analysis. JAMA. 1995;274(20):1617-1621. doi:10.1001/jama.1995.03530200053037. PubMed. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7474248/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Wolraich ML, Lindgren SD, Stumbo PJ, Stegink LD, Appelbaum MI, Kiritsy MC. Effects of diets high in sucrose or aspartame on the behavior and cognitive performance of children. N Engl J Med. 1994;330(5):301-307. doi:10.1056/NEJM199402033300501. PubMed. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8277950/ (閲覧日:2026年10月22日)
- Hoover DW, Milich R. Effects of sugar ingestion expectancies on mother-child interactions. J Abnorm Child Psychol. 1994;22(4):501-515. doi:10.1007/BF02168088. PubMed. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7963081/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。