
メル美出産したばかりの姉が、「おっぱいがカチカチに張って痛い、しこりもある」って。乳腺炎にならないか心配してるの。

プレ男家族で何か手伝えることはあるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、授乳中のおっぱいの張りやしこりの話です。英国NHSの「Breast pain and breastfeeding」(2026年3月更新)と、厚生労働省研究班の「ヘルスケアラボ」の「妊娠中、産後のケア」(母乳トラブル)をもとにまとめました。乳腺炎については、乳腺炎:授乳中に胸が腫れて熱く痛いの記事を見てください。
おっぱいが張りすぎる(緊満)
NHSによると、
- 緊満は、おっぱいがいっぱいになりすぎて、かたく、張って、痛くなる状態です
- 産後すぐは、母乳が出はじめることで起こりやすく、赤ちゃんの飲む量と母乳の量がつり合うまで数日かかることがあります
- 慣れてからも、授乳の間隔があいたときなどに起こります
楽にするには
NHSによると、
- こまめに授乳する
- 張りがつらいときは、手で少しだけしぼる。楽になる分だけにします(しぼりすぎると、母乳がもっとつくられるため)(母乳のしぼり方と保存)
- 体をしめつけない、合った授乳用ブラをつける
- 手でしぼる直前に、温かいタオルをあてたり、お風呂に入ったりすると、母乳が出やすくなります。ただし、温めすぎ・長すぎは炎症を強めることがあります
- 授乳の合間は、冷たいタオルなどで冷やすと、痛みや腫れがやわらぎます
- 痛み止めは、授乳中でも使えるものがあります。どの薬を使うかは、医師や薬剤師に確認しましょう(授乳中の薬:多くの薬は母乳に移る量がとても少ない)
NHSは、赤ちゃんが泣くのは「おなかがすいた」の最後のサインで、目をきょろきょろ動かす、指を口に入れる、口を開けておっぱいをさがす、そわそわするなどの早いサインのうちに授乳すると、落ちついて飲めることが多いとしています。

プレ男泣く前から「おなかすいた」のサインが出てるんだ。家族も一緒に見てあげられるね。
乳管のつまり:小さな痛いしこり
NHSによると、
- おっぱいの中はオレンジの房のようにいくつかの区画に分かれていて、それぞれから乳管という細い管が乳首につながっています
- ある区画から母乳がうまく出ない(赤ちゃんのくわえ方がうまくいっていないなど)と、乳管がつまり、小さな痛いしこりができることがあります
- 放っておくと乳腺炎になることがあるので、早めの対処が大切です
楽にするには
NHSによると、
- しこりのある側も続けて授乳する。赤ちゃんが欲しがるときに、欲しがるだけ
- きつい服や下着をさける
- 授乳の前に温かいタオルやお風呂で母乳を出やすくする(温めすぎない)
- 授乳中に、しこりを乳首のほうへやさしくマッサージする
- 授乳の合間は冷やして痛みをやわらげる

おっぱいのトラブルの多くは、赤ちゃんの抱き方やくわえ方で楽になります。ひとりでがんばりすぎず、助産師さんの母乳相談を使ってください。熱が出たら、早めに受診を。
ためこまないことが、乳腺炎の予防に
ヘルスケアラボによると、
- おっぱいを空にすることが乳腺炎の予防になります。おっぱいをためたままにすると、母乳の量は減ってしまいます
- 授乳中の女性には乳腺炎が起こりやすく、産後3か月までに10人に1人、授乳期間全体では3〜5人に1人が経験するともいわれています
- 赤ちゃんがしっかり乳首をくわえて飲める授乳姿勢で、授乳の間隔をあけすぎないこと、授乳の姿勢を変えていろいろな方向から吸ってもらうことが大切です
- 乳腺炎になった側から先に授乳するなど、飲み残しをなくす工夫をします
- 授乳しても症状がおさまらないときは、母乳相談をしている助産師に相談するか、医療機関を受診しましょう
こんなときは受診を
NHSによると、
- おっぱいが熱をもって痛い、赤く腫れる、インフルエンザのような全身のだるさ、高い熱があるときは乳腺炎のことがあります
- 対処しても12〜24時間でよくならない、悪くなるときは受診を。抗菌薬が必要になることがあります。抗菌薬の多くは授乳中も使えますが、使えないものもあるので医師に確認しましょう
- 急に授乳をやめると、かえって悪くなり、乳房膿瘍(うみがたまる)につながることがあります
- 乳首やおっぱいの痛みが続く、かゆみがある、見た目が変わったときは、細菌・ウイルス・カビの感染のこともあるので、受診しましょう
家族にできること
- 赤ちゃんの早い「おなかすいた」サインに気づいたら、知らせる
- 休める時間をつくる。家事をかわる
- 熱やつらそうな様子があれば、受診や母乳相談をすすめる
まとめ
- 張りすぎ(緊満)や乳管のつまりは、こまめに授乳してためこまないのがいちばん
- 張りがつらいときは少しだけ手でしぼる。授乳前は温め(やりすぎない)、合間は冷やす
- しこりがある側も続けて授乳。きつい下着はさける
- 熱・赤み・全身のだるさ、12〜24時間でよくならないときは乳腺炎かも。受診を
- 急に授乳をやめない
参考文献
- NHS. Breast pain and breastfeeding(Page last reviewed: 11 March 2026). https://www.nhs.uk/baby/breastfeeding-and-bottle-feeding/breastfeeding-problems/breast-pain/ (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省研究班 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ. 妊娠中、産後のケア(母乳トラブル)(監修:東京大学大学院医学系研究科 母性看護学・助産学 春名めぐみ先生、最終更新日:2021年10月25日). https://w-health.jp/fetation/after-childbirth-care/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。