
プレ男「包括的性教育」ってよく聞くけど、なにが「包括的」なの?セックスのことを早くから教えるってこと?

メル美小さい子に教えたら、かえって興味をもっちゃうんじゃないかって心配する人もいるよね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、「包括的性教育」の話です。WHO(世界保健機関)のQ&A「Comprehensive sexuality education」(2023年5月)をもとにまとめました。日本の学校の取り組みについては学校の「生命(いのち)の安全教育」ってなに?を見てください。
包括的性教育とは
WHOによると、
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包括的性教育(CSE)は、子どもや若い人に、性や性と生殖の健康について、正確で年齢に合った情報を伝えるものです
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国連の国際的なガイダンス(UNESCO、UNFPA、UNICEF、UN Women、UNAIDS、WHOが共同で作成)は、性教育が、
- 決まったカリキュラムにもとづく
- 科学的に正確である
- 年齢に合わせる
- 子ども時代から思春期を通して、幅広いテーマをあつかう(=包括的)
ことをすすめています
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あつかうテーマは、家族と人間関係、尊重・同意・体の自己決定、体のつくり・思春期・月経、避妊と妊娠、HIVを含む性感染症など。「ライフスキル」「家族生活の教育」など、ほかの名前でよばれることもあります

プレ男「包括的」って、セックスのことだけじゃなくて、人との関係や同意まで、まるごと学ぶって意味なんだね。
いつから始めるの?
WHOによると、
- 国連のガイダンスは、学校の教育が始まる5歳ごろから始めることを示しています。ただ、性教育は一生続く学びで、家庭で、信頼できる大人と、もっと早く始まることもあります
- 小さい子どもへの性教育は、必ずしも「性交」を教えることではありません。たとえば、自分の体を知る、気持ちに気づく、家族やいろいろな人との関係、決めること、同意の基本、暴力やいじめ、虐待があったときにどうするかなどを学びます
- 学ぶことは少しずつ積み重なり、小さいころに学ぶことと、思春期に学ぶことは大きくちがいます
性教育で、早く性交するようにならない?
WHOによると、
- よく考えられた性教育は、性の健康についてのよい判断を助けます
- 性や権利についてよく知っている若い人ほど、初めての性交が遅くなり、性交するときもより安全な方法をとりやすいことがわかっています
- 一方、「結婚まで性交しないように」とだけ教える教育(禁欲のみの教育)は、早い時期の性交や危険な行動を防ぐ効果がなく、性と生殖の健康に害になるおそれもあるとしています
- 包括的性教育は、より安全な性について伝え、初めての性交が遅くなる、危険な性行動が減る(性感染症を減らすことにもつながる)、避妊を使う人が増えることと関係しているとされています

正しい知識は、自分の体と相手を守る力になります。性感染症の検査や相談も、知っていればハードルが下がります。
10代の性感染症については、10代の性感染症(日本のデータ)も見てください。
性暴力を防ぐためにも
WHOによると、
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世界では、女の子の約18%(5人に1人近く)が、子どものころに性的虐待を受けていると推定されています
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国連のガイダンスは、
- 5〜8歳:いじめや暴力に気づき、それがよくないことだと理解する
- 12〜15歳:性的虐待、性暴力、パートナーからの暴力、いじめは人権の侵害で、決して被害者のせいではないと知る
- 15〜18歳:パートナーとのよい性的な関係には同意が欠かせないと学ぶ
- そして、暴力や虐待があったときにどうすればよいか、どこに助けを求めればよいかを学ぶ
ことをもとめています
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自分の権利と、してよいこと・いけないことを知ることで、子どもは虐待を受けにくくなり、助けを求める力がつくとしています
誰が教えるの?
WHOによると、
- 学校の先生だけでなく、親や家族、子どもにかかわるソーシャルワーカーやカウンセラーなど、いろいろな人が役割をもっています
- 理想的には、いくつもの場所から、一貫した正しい情報が届くのがよいとしています
マスターベーションをすすめるの?
WHOによると、
- 包括的性教育は、マスターベーションをすすめるものではありません
- ただ、子どもが比較的早い時期から、見たり触ったりして自分の体を知ろうとすることは観察されている、としています(これは「すすめ」ではなく「観察」)
- 「体に悪い」などの思いこみを正し、子どもをはずかしめずに、体のこと、境界線(バウンダリー)、プライバシーを年齢に合わせて教えることもふくまれる、としています
(更新)文部科学省の「中学校学習指導要領(平成29年3月31日公示)比較対照表」で確認しました。保健体育の保健分野の「内容の取扱い」に、思春期の体の変化について「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」と書かれています。あわせて、性衝動や異性への関心が高まることなどから、異性の尊重、情報への適切な対処や行動の選択が必要となることを取り扱うともしています。この「妊娠の経過は取り扱わない」などの記述が、いわゆる「はどめ規定」とよばれています。小学校など、ほかの学年の記述は確認していません
世界の女性のからだの自己決定のデータは、自分のからだのことを自分で決められる女性は56.3%を見てください。
まとめ
- 包括的性教育は、体・思春期・人間関係・同意・避妊・性感染症などを年齢に合わせて学ぶもの
- 国連のガイダンスは5歳ごろから。小さい子には性交ではなく、体や気持ち、同意の基本から
- 質の高い性教育で、初めての性交が遅くなり、より安全なセックスに
- 禁欲だけを教える教育は効果がない(WHO)
- 性暴力を防ぎ、助けを求める力をつけることにもつながる
参考文献
- World Health Organization. Comprehensive sexuality education(Questions and answers, 18 May 2023). https://www.who.int/news-room/questions-and-answers/item/comprehensive-sexuality-education (閲覧日:2026年10月10日)
- 文部科学省. 中学校学習指導要領(平成29年3月31日公示)比較対照表(PDF). https://www.mext.go.jp/content/1384661_5_1_2_1.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。