
メル美叔母が子宮がんの手術を受けて、「足がむくみやすくなるかもしれないから気をつけて」って言われたんだって。どうして足がむくむの?

プレ男手術と足のむくみって、関係があるんだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、婦人科がんの治療のあとに起こることがある「リンパ浮腫」の話です。日本産婦人科医会の研修ノート「女性のがん サポーティブケア」の「リンパ浮腫」(医師向け)をもとにまとめました。
リンパ浮腫とは
日本産婦人科医会の研修ノートによると、
- リンパ浮腫は、なんらかの理由でリンパ管に回収されなかった、たんぱく質の多い体液が、皮膚の下などにたまったものです
- がんの患者さんに起こるリンパ浮腫の多くは、がんの手術でリンパ節をとった(リンパ節郭清)ことや、放射線治療による、手足のリンパ浮腫です
- 一度起こると、完治をめざすのはむずかしいため、起こさないための予防が大切です
子宮がんなどについては、子宮頸がん、子宮体がん、外陰がんを見てください。
早く気づくために
研修ノートによると、
- 婦人科がんでは、下腹部、陰部、太もものつけ根のあたりに、早い段階でむくみが出やすいとされています
- これらの場所の静脈の見え方や皮膚の厚みを見て、むくみや左右差がないかを確かめるようにします
- 医療機関では、手足の太さ(周径)を測って、診断や治療の効果をみています

リンパ浮腫は、早く気づいて対策を始めることが大切です。太もものつけ根や足のむくみ、左右の太さのちがいに気づいたら、手術を受けた病院に相談してください。
予防のかなめは「皮膚を守る」こと
研修ノートによると、リンパ浮腫を防ぐためにもっとも重要なのは、炎症を防ぐことです。たんぱく質の多い体液がたまると、細菌の感染に弱くなり、炎症はリンパ浮腫を悪くするだけでなく、起こるリスクも高めるためです。
日常生活では、次のようなことがすすめられています。
- 皮膚を清潔にする
- 皮膚の乾燥を防ぐ:乾燥すると皮膚のバリアの働きが落ちて、細菌に感染しやすくなるので、保湿剤でうるおいを保つ
- 皮膚を傷つけない
- すり傷、切り傷、ペットのひっかき傷に気をつける
- かみそりをさける
- 鍼・灸・強いマッサージをさける
- 日焼けのしすぎに気をつける
- できるだけ長そで・長ズボンなどで肌を出さないようにする
- 虫さされなど、皮膚のトラブルにも注意する
そのほか、
- 体重がふえすぎないようにする(リンパ管は皮下脂肪の中を通っているため)
- なるべく重い荷物を持たない
- 靴下やストッキング、靴、アクセサリーなどのしめつけに注意する
ことも書かれています。なお、予防のためのセルフマッサージの効果は、まだはっきりしていないとされています。
治療
研修ノートによると、
- 日常生活の注意を守る、スキンケア、リンパの流れをよくするマッサージ(用手的リンパドレナージ)、弾性ストッキングなどによる圧迫、圧迫したうえでの運動を組み合わせた「複合的理学療法」がすすめられています
- 手術に関係するリンパ浮腫については、2008年度から、予防の方法を具体的に指導すると診療報酬が加算される(リンパ浮腫指導管理料)ようになりました
抗がん剤の治療による脱毛については、抗がん剤の治療で髪が抜けるときにまとめています。
まとめ
- 婦人科がんのリンパ節をとる手術や放射線治療のあと、リンパ浮腫が起こることがある
- 下腹部・陰部・太もものつけ根から始まりやすい。左右差に注意
- 一度なると治りにくいので、予防が大切
- 予防のかなめは炎症を防ぐ=皮膚を守る(清潔・保湿・傷をつけない)
- 治療は、スキンケア・マッサージ・圧迫・運動を組み合わせる
参考文献
- 公益社団法人日本産婦人科医会. 研修ノート No105 女性のがん サポーティブケア「10.リンパ浮腫」. https://www.jaog.or.jp/note/10%ef%bc%8e%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%91%e6%b5%ae%e8%85%ab/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。