
メル美性被害のあと、病院の検査やカウンセリングにお金がかかって、それもつらかったって話を聞いた。被害を受けた側が払わなきゃいけないの?

プレ男国や警察が助けてくれる制度はないのかな。調べてみよう。
今回は、性被害にあったときの費用を助ける公的な制度です。警察庁の「公費負担制度」「犯罪被害者等給付金支給裁定の申請」の案内、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(犯給法)と同法施行令の条文(e-Gov法令検索)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。公費負担の具体的な内容は都道府県警察ごとに定められています。くわしくは、住んでいる地域の警察署や警察本部に問い合わせてください。
1. 警察の公費負担制度
警察庁の案内によると、警察は犯罪被害者等の負担を軽くするため、次のような公費負担制度を運用しています。
| 制度 | 公費で負担するもの(警察庁の案内) |
|---|---|
| 性犯罪被害者に対する公費負担 | 緊急避妊、初診料、診断書料、性感染症等の検査費用、人工妊娠中絶費用などの経費 |
| カウンセリング費用の公費負担 | 犯罪被害者等が自ら選んだ精神科医、臨床心理士等を受診したときの診察料・カウンセリング料 |
| 身体犯被害者に対する公費負担 | 殺人・傷害などの被害に関する初診料、診断書料、死体検案書料など |
- 性犯罪被害者への公費負担は、警察庁が平成18年度(2006年度)から行っています(平成25年版犯罪被害者白書)
- 警察庁の「性的な被害」のページでは、警察は、性犯罪被害者が希望する性別の捜査員による対応や、証拠採取での配慮なども行っているとしています
- 公費負担の具体的な内容は各都道府県警察が定めているため、住んでいる地域の都道府県警察に問い合わせてください(警察庁)

プレ男緊急避妊や性感染症の検査の費用も、警察が負担する制度があるんだ。
被害のあと、緊急避妊や性感染症の検査をいつ受けるかは、性暴力の被害にあったらにまとめています。
2. 国の犯罪被害給付制度
犯給法にもとづき、故意の犯罪行為により亡くなった人の遺族や、重傷病を負った人、障害が残った人に、国が一時金として給付金を支給します(犯給法4条)。
| 給付金 | 支給を受ける人(犯給法4条・警察庁の案内) |
|---|---|
| 遺族給付金 | 犯罪行為で亡くなった人の第一順位の遺族 |
| 重傷病給付金 | 犯罪行為で重傷病を負った人 |
| 障害給付金 | 犯罪行為で障害(第1級〜第14級)が残った人 |
「重傷病」とは
警察庁の案内と犯給法施行令1条によると、重傷病は次のとおりです。
- 加療1か月以上かつ入院3日以上を要する負傷または疾病
- PTSDなどの精神疾患は、加療1か月以上かつ、その症状の程度が3日以上労務に服することができない程度の疾病
平成25年版犯罪被害者白書は、警察庁が都道府県警察に対し、性犯罪被害に伴う精神疾患についても犯罪被害給付制度の対象になることの周知を含めて指導していく、としています。

メル美入院しなくても、PTSDなどで3日以上働けない程度なら、対象になりうるんだね。
重傷病給付金の額
- 犯罪被害者負担額:犯罪行為で負傷したり病気になったりした日から3年間(施行令7条)の、保険診療による医療費の自己負担分に相当する額(犯給法9条2項)
- 休業した日があれば、休業加算額が加わります(9条3項)。休業加算基礎額は、原則として収入の日額の100分の48です(施行令12条1項)
- 合計の上限は120万円です(9条4項、施行令13条)
- 2024年6月15日施行の見直しで、休業加算基礎額の最低額は2,200円から3,200円に引き上げられました(警察庁「犯罪被害給付制度の見直しの概要」)
支給されないこともある
犯給法6条は、次の場合などに、給付金の全部または一部を支給しないことができるとしています(国家公安委員会規則で定めるところによる)。
- 犯罪被害者と加害者の間に親族関係(事実上の婚姻関係を含む)があるとき
- 犯罪被害者が犯罪行為を誘発したときなど、被害者にも責めに帰すべき行為があったとき
- そのほか、関係などの事情から、支給することが社会通念上適切でないと認められるとき
DVなど、家族やパートナーからの被害でどうなるかは、個別の事情によります。窓口で相談してください。

警察は、性犯罪の被害者の緊急避妊、初診料、診断書料、性感染症等の検査費用、人工妊娠中絶費用などを公費で負担する制度を運用しています。具体的な内容は都道府県警察ごとに定められています。
申請のしかた
| 項目 | 内容(警察庁の案内・犯給法10条) |
|---|---|
| 申請先 | 住所地を管轄する都道府県公安委員会。警察署長または警察本部を経由して出せる |
| 相談窓口 | 住所地を管轄する警察署または警察本部(犯罪被害給付事務担当課) |
| 期限 | 被害の発生を知った日から2年、または被害が発生した日から7年を過ぎると申請できない |
| 期限の例外 | 加害者に身体の自由を不当に拘束されていたなど、やむを得ない理由で期限内に申請できなかったときは、その理由がやんだ日から6か月以内なら申請できる(10条3項) |
| 手数料 | なし |
| 重傷病給付金の主な添付書類 | 重傷病を負ったことを証明できる診断書等、被保険者証の写し、被害者負担額を証明できる書類 など |
3. 加害者に賠償を求める手続も
- 給付金とは別に、加害者に損害賠償を請求することもできます。刑事裁判の中で申し立てる方法は、刑事裁判の中で、加害者に損害賠償を求める「損害賠償命令」で
- 賠償を求められる期間は、何年前の性被害でも訴えられる?で
- 刑事裁判で被害者を守るしくみは、性犯罪の被害を届けたら、裁判で何が起きる?で
相談先
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891(内閣府男女共同参画局)
- 警察の性犯罪被害相談電話 #8103(警察庁)
- 給付金や公費負担は、住んでいる地域の警察署・警察本部へ
- 弁護士の支援は、法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
まとめ
- 警察は、性犯罪の被害者の緊急避妊・初診料・診断書料・性感染症等の検査費用・人工妊娠中絶費用などを公費で負担する制度を運用。カウンセリング費用の公費負担もある(内容は都道府県警察ごと)
- 国の犯罪被害給付制度の重傷病給付金は、加療1か月以上かつ入院3日以上、PTSDなどの精神疾患は加療1か月以上かつ3日以上働けない程度が対象
- 額は3年間の医療費の自己負担分+休業加算額で、上限120万円
- 申請は、知った日から2年・発生から7年以内。手数料はなし。窓口は警察署・警察本部
参考文献
- 警察庁 犯罪被害者等施策. 公費負担制度. https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/keisatsu/kouhi.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁 犯罪被害者等施策. 性的な被害. https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/portal/search/kensaku/seihigai/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 犯罪被害者等給付金支給裁定の申請. https://www.npa.go.jp/policies/application/form/09/02.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 犯罪被害給付制度の見直しの概要(令和6年6月15日施行). https://www.npa.go.jp/higaisya/kyuhu/pdf/kaisei/r06_gaiyou.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 平成25年版犯罪被害者白書 第2章第1節2 給付金の支給に係る制度の充実等. https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/whitepaper/w-2013/html/zenbun/part2/s2_1_2.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第2条、第4条、第6条、第9条、第10条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/355AC0000000036 (閲覧日:2026年10月22日)
- 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行令(昭和55年政令第287号)第1条、第7条、第12条、第13条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000287 (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。