
メル美性被害の加害者が刑事裁判で有罪になっても、慰謝料は別に民事裁判を起こさないともらえないって聞いた。またいちから裁判なんて、負担が大きすぎるよね。

プレ男刑事裁判の中で、まとめて請求できるしくみはないのかな。
今回は、損害賠償命令制度と刑事和解です。犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法)の条文(e-Gov法令検索)と、法務省のパンフレット「犯罪被害者の方々へ」のウェブ版で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。申し立てるかどうか、いくら請求するかは、弁護士や、担当の検察官・検察庁の被害者支援員に相談してください。
損害賠償命令とは
法務省の案内(Q1)によると、損害賠償命令制度は、刑事裁判の起訴状に書かれた犯罪事実にもとづいて、その犯罪で生じた損害の賠償を請求するものです。
- 申立てを受けた刑事裁判所は、刑事事件で有罪の判決があった後、刑事裁判の訴訟記録を証拠として取り調べ、原則として4回以内の審理期日で審理を終えて、決定をします
- 決定に対して当事者のどちらかから異議があれば、通常の民事訴訟の手続に移ります。その場合も、審理に必要な刑事裁判の訴訟記録は民事の裁判所に送られます
法務省は、この制度の利点として次の3つをあげています。
- 刑事手続の成果を利用するので、被害の事実を立証しやすく、基本的に損害の賠償額を中心とした審理になり、簡易・迅速に進められる
- 申立手数料が2,000円であるなど、利用しやすい
- 民事訴訟に移った場合でも、訴訟記録をコピーして民事の裁判所に出す手間が省ける

プレ男刑事裁判の記録をそのまま使えるから、被害をまたいちから証明しなくていいんだね。
対象になる罪(犯罪被害者保護法24条1項)
| 区分 | 罪(未遂罪を含む) |
|---|---|
| 1号 | 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪 |
| 2号イ | 刑法176条(不同意わいせつ)、177条(不同意性交等)、179条(監護者わいせつ及び監護者性交等) |
| 2号ロ | 刑法220条(逮捕及び監禁) |
| 2号ハ | 刑法224条〜227条(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、人身売買など) |
| 2号ニ | イ〜ハの罪の犯罪行為を含む罪 |
- 申し立てられるのは、その事件の被害者またはその一般承継人(相続人など)です
- 申し立てる先は、事件が係属している裁判所で、地方裁判所に限られます(24条1項)
監護者性交等罪は親や同居する大人による性暴力は「監護者わいせつ・監護者性交等罪」で、監禁罪はデートで「帰さない」「車から降ろさない」は監禁罪になりうるで説明しています。
申立ての流れ
| 段階 | 内容(条文・法務省の案内) |
|---|---|
| いつまでに | 対象の刑事事件が起訴された時から、弁論の終結まで(24条1項。法務省は「審理手続(判決宣告を含まない)が終結するまで」と案内) |
| どこへ | 刑事事件を担当している裁判所に、損害賠償命令の申立書を出す(24条2項) |
| 費用 | 申立手数料2,000円(法務省) |
| 審理の開始 | 刑事事件で有罪の言渡しがあったら、裁判所は直ちに審理期日を開く(35条1項) |
| 審理 | 特別の事情がある場合を除き、4回以内の審理期日で終結(35条3項) |
| 異議 | 決定書の送達などを受けた日から2週間以内に異議を申し立てられる。適法な異議があれば、民事訴訟の提起があったものとみなされる(38条・39条) |
- 申立書は、相手方である被告人に送達されます(25条)
- 申立書には、当事者・請求の趣旨・請求を特定する事実など、法律と最高裁判所規則で定める事項以外は書いてはならないとされています(24条3項)
- 審理に時間がかかり4回以内で終わるのが難しいときなどは、裁判所が損害賠償命令事件を終わらせ、民事訴訟の手続に移すことがあります(43条)

メル美申し立てるのは裁判が終わる前まで。起訴されたら早めに検察官や弁護士に相談しておくのがよさそう。

不同意性交等や不同意わいせつなどの事件の被害者は、刑事裁判をしている裁判所に損害賠償命令を申し立てることができます。申立手数料は2,000円で、有罪判決のあと原則4回以内の審理期日で決定されます。
示談を「公判調書」に残す:刑事和解
法務省の案内によると、
- 被告人と被害者などの間で、犯罪から生じた損害などの民事上の請求について裁判外で和解(示談)が成立した場合、事件を審理している刑事の裁判所に申し立てると、その合意の内容を公判調書に記載してもらうことができます
- この公判調書には、民事裁判で裁判上の和解が成立したのと同じ効力が与えられます
- 被告人が示談の約束を守らずにお金を払わない場合、被害者などは、別の民事裁判を起こさなくても、この公判調書を使って強制執行の手続をとれるようになります
刑事和解は、犯罪被害者保護法の第6章「民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解」に定められています。
弁護士の費用が心配なとき
- 法務省の案内によると、損害賠償命令の手続を弁護士に依頼することもでき、経済的な理由で弁護士費用などの支払いが難しい人は、法テラスの「民事法律扶助」による費用立替制度を使える場合があります
- 不同意性交等・不同意わいせつなどの性犯罪(未遂を含む)の被害者が、原則として法テラスの費用負担で弁護士の継続的な援助を受けられる「犯罪被害者等支援弁護士制度」もあります(法務省)
- 請求できる期間(民事の時効)は、何年前の性被害でも訴えられる?で。医療費などを国が給付する制度は、犯罪被害給付制度と、警察の公費負担で
相談先
- 刑事手続のことは、担当の検察官や、検察庁の被害者支援員へ(法務省)
- 弁護士の支援は、法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891(内閣府男女共同参画局)
- 裁判で被害者を守るしくみ(付添い・遮へい・ビデオリンク・氏名の秘匿など)は、性犯罪の被害を届けたら、裁判で何が起きる?で
まとめ
- 損害賠償命令:不同意性交等・不同意わいせつ・監護者性交等・監禁・略取誘拐、故意に人を死傷させた罪などの被害者が、刑事裁判をしている地方裁判所に申し立てる(犯罪被害者保護法24条)
- 申立ては起訴後〜弁論の終結まで。申立手数料は2,000円
- 有罪判決のあと、刑事の記録を使い、原則4回以内の審理で決定。異議があれば民事訴訟へ
- 刑事和解:示談の内容を公判調書に残すと、裁判上の和解と同じ効力。約束が守られなければ強制執行できる
- 費用は、法テラスの民事法律扶助や犯罪被害者等支援弁護士制度を使える場合がある
参考文献
- 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年法律第75号)第24条、第25条、第35条、第38条、第39条、第43条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000075 (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者の方々へ 5.公判段階での被害者支援(7 刑事和解、8 損害賠償命令制度). https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-4.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者等支援弁護士制度. https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji07_00049.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第176条、第177条、第179条、第220条、第224条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。