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メル美親や、親の恋人みたいな「一緒に住んでいる大人」から性的なことをされる子どもがいるって聞いた。子どもは逆らえないよね。

プレ男なぐったりおどしたりしていなくても、罪になるのかな。法律ではどうなっているんだろう。
今回は、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪(刑法179条)です。刑法・刑事訴訟法の条文(e-Gov法令検索)、最高裁判所の決定の原文(裁判所ウェブサイト)、法務省の資料と令和7年版犯罪白書で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。子どもが被害にあっているかもしれないときは、ひとりで抱えず、189(児童相談所虐待対応ダイヤル)や #8891(ワンストップ支援センター)に相談してください。
条文:18歳未満の子に、監護者の影響力に乗じて
刑法179条1項:十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
刑法179条2項:十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。
| 監護者わいせつ罪(179条1項) | 監護者性交等罪(179条2項) | |
|---|---|---|
| 刑 | 不同意わいせつ罪の例:6月以上10年以下の拘禁刑 | 不同意性交等罪の例:5年以上の有期拘禁刑 |
| 未遂 | 罰する(180条) | 罰する(180条) |
| 死傷させたとき | 無期または3年以上の拘禁刑(181条1項) | 無期または6年以上の拘禁刑(181条2項) |
| 公訴時効 | 12年(刑事訴訟法250条3項3号) | 15年(250条3項2号) |
- 被害を受けたときに18歳未満だった場合、公訴時効には18歳になるまでの期間が加算されます(刑事訴訟法250条4項)。時効のくわしいことは何年前の性被害でも訴えられる?で
- 不同意わいせつ罪・不同意性交等罪のように「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」(176条・177条)は、179条の条文には書かれていません。条文が求めているのは、現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて行為をしたことです

プレ男刑の重さは、不同意わいせつ・不同意性交等と同じなんだ。
2017年に新しくできた罪
- 法務省「刑法の一部を改正する法律の概要(平成29年7月13日施行)」によると、2017年の改正で、18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為または性交等をした場合について、強制わいせつ罪または強制性交等罪と同様に処罰する規定が設けられました
- 同じ改正で、強姦罪・強制わいせつ罪などは親告罪でなくなり(告訴がなくても起訴できる)、令和7年版犯罪白書は、監護者わいせつ・監護者性交等も非親告罪とされたと説明しています
- 2023年の改正で、強制わいせつ罪・強制性交等罪は不同意わいせつ罪・不同意性交等罪になり、179条は今の「第百七十六条第一項の例による」「第百七十七条第一項の例による」という形になっています
「現に監護する者」とは
条文には「現に監護する者」の定義はありません。法務省が公表した「平成29年刑法改正後の規定の施行状況についての調査結果等」には、被告人が「現に監護する者」にあたるかが争われた事件の判決が紹介されています。
- その判決は、「現に監護する者」にあたるには、「現にその者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、依存・被依存ないし保護・被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められることが必要」と指摘していました
- そのうえで、被告人が被害者らと同居して生計を共にし、家計は主として被告人の収入でまかなわれていたことなどから、被告人は「現に監護する者」にあたると判示しました
- 同じ調査では、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪を含む事実で起訴された事件のうち、無罪判決は4件で、いずれも被害者の供述の信用性に疑いがあるとされたものでした

メル美「親だから」という肩書きより、実際に生活の面倒を見て、子どもがその人に頼っている関係かどうかが見られるんだね。
監護者と共謀した人も:最高裁 令和7年1月27日決定
最高裁判所第一小法廷は2025年1月27日、次のように判断しました(令和6年(あ)第753号)。
- 18歳未満の者を現に監護する者(監護者)の身分のない者が、監護者と共謀して、監護者であることによる影響力があることに乗じて、その18歳未満の者に対し性交等をした場合、身分のない者には刑法65条1項の適用により、監護者性交等罪(令和5年改正前の179条2項)の共同正犯が成立する
- 事件では、被告人は当時16歳の子の監護者ではありませんでしたが、監護者である実母と意思を通じ、被告人との性交に応じるよう実母から説得等された子と性交をしました。最高裁は、被告人に監護者性交等罪の共同正犯が成立することは明らかだとして、上告を棄却しました(裁判官全員一致)
- 刑法65条1項は「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする」と定めています

18歳未満の子に、監護する立場の影響力に乗じてわいせつな行為や性交等をすれば、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪と同じ刑で罰せられます。監護者と共謀した人も罪に問われます。
数字で見る(2024年)
令和7年版犯罪白書(警察庁刑事局の資料による)によると、2024年の件数は次のとおりです。
| 罪名 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 |
|---|---|---|---|
| 監護者性交等 | 75件 | 68件 | 90.7% |
| 監護者わいせつ | 107件 | 97件 | 90.7% |
- 同じ年の不同意性交等(改正後の規定に限る)の認知件数は3,573件、不同意わいせつ(同)は6,442件でした(同白書)。性犯罪全体の数字は数字で見る性犯罪で
学校や塾の先生は?
- 教員と児童生徒の関係は、教員性暴力等防止法の「児童生徒性暴力等」として扱われます。くわしくは先生と生徒の「本気の恋愛」でも、法律では「児童生徒性暴力等」で
- 学校や認可保育所などに性犯罪歴の確認を義務づける「こども性暴力防止法」は、「日本版DBS」こども性暴力防止法で
- 立場の上下関係(経済的・社会的関係上の地位)を利用した行為は、18歳以上の相手でも不同意わいせつ罪・不同意性交等罪の対象になりえます(176条1項8号)。不同意わいせつ罪を条文で読む・不同意性交等罪とは?で
相談先
- 子どもが被害にあっているかもしれないときは、児童相談所虐待対応ダイヤル 189。お近くの児童相談所につながり、匿名でも通告・相談でき、通告・相談をした人やその内容の秘密は守られます。通話料は無料です(一部のIP電話はつながりません。こども家庭庁)
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891(内閣府男女共同参画局)
- 警察の性犯罪被害相談電話 #8103(警察庁)
- 被害直後にできることは、性暴力の被害にあったらで
まとめ
- 18歳未満の子に、現に監護する者であることによる影響力に乗じてわいせつな行為・性交等をすると、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪(179条)
- 刑は不同意わいせつ罪(6月以上10年以下の拘禁刑)・不同意性交等罪(5年以上の有期拘禁刑)と同じ。未遂も罰せられる
- 2017年7月13日に新設。告訴がなくても起訴できる(非親告罪)
- 監護者と共謀した人にも監護者性交等罪の共同正犯が成立する(最高裁 令和7年1月27日決定)
- 公訴時効は15年・12年で、被害時18歳未満なら18歳になるまでの期間が加算
- 相談は 189・#8891・#8103
参考文献
- 刑法(明治40年法律第45号)第65条、第176条、第177条、第179条、第180条、第181条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第250条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 令和7年1月27日決定(令和6年(あ)第753号 監護者性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件). 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/93744/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 刑法の一部を改正する法律の概要(平成29年7月13日施行). https://www.moj.go.jp/content/001323985.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 平成29年刑法改正後の規定の施行状況についての調査結果等(別紙9). https://www.moj.go.jp/content/001323988.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 令和7年版犯罪白書 第1編第1章第2節4. https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_1_1_2_4.html (閲覧日:2026年10月22日)
- こども家庭庁. 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について. https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。