エンジェル税制のしくみ:スタートアップに投資した個人の税金を軽くする制度。投資した年に所得や株の譲渡益から差し引け、設立5年未満の会社などへの投資は20億円まで非課税に(2023年度改正)。上場しないまま会社がなくなっても、損失を3年繰り越せる
エンジェル税制のしくみを、経済産業省「エンジェル税制」のページでまとめました。スタートアップへ投資した個人投資家への税の優遇で、投資時点と売却時点の両方で優遇があります。投資時点では、優遇措置A(投資額−2,000円を総所得金額から控除、上限は総所得金額の40%と800万円の低い方、課税の繰延)、優遇措置B(投資額を株式譲渡益から控除、上限なし、繰延)、2023年度改正のプレシード・シード特例と起業特例(株式譲渡益から控除し、20億円までは非課税)があります。設立年数(1年未満〜10年未満)や外部資本比率などの要件があります。売却時点では、未上場スタートアップ株の損失をほかの株式譲渡益と通算し、翌年以降3年繰り越せます(破産・解散で価値がなくなった場合も)。手続きは、会社が都道府県などに申請して受け取る「確認書」を確定申告で提出します。

メル美友だちが起業するから、少しだけ出資して応援したいの。そういうときに税金がお得になる制度があるって聞いたよ

プレ男「エンジェル投資家」ってやつ? お金持ちだけの話かと思ってた
今回は、エンジェル税制のしくみです。経済産業省「エンジェル税制」のページで確認しました。
この記事は制度の説明です。特定のスタートアップへの投資をすすめるものではありません。スタートアップへの投資はゼロになることもあるリスクの高い投資です。税金の個別の扱いは、税務署・税理士に相談してください。
エンジェル税制とは
- スタートアップへ投資した個人投資家に、税の優遇を行う制度です
- 投資したときと株を売ったときの、両方で優遇があります
- 2023年度(令和5年度)の改正で、設立間もないスタートアップへの投資や、自己資金による起業も非課税の対象になりました
① 投資したときの優遇
| 種類 | 何から差し引くか | 効果 | 上限 | 設立年数 | 外部資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 起業特例 | 会社設立時の自己資金による出資額を株式譲渡益から | 非課税 | 上限なし(非課税は20億円まで、超える分は繰延) | 1年未満 | 1/100以上 |
| 優遇措置A | (投資額−2,000円)を総所得金額から | 課税の繰延 | 総所得金額×40%と800万円の低い方 | 5年未満 | 1/6以上 |
| 優遇措置A-2 | 同上 | 課税の繰延 | 同上 | 5年未満 | 1/20以上 |
| 優遇措置B | 投資額を株式譲渡益から | 課税の繰延 | 上限なし | 10年未満 | 1/6以上 |
| プレシード・シード特例 | 投資額を株式譲渡益から | 非課税 | 上限なし(非課税は20億円まで) | 5年未満 | 1/20以上 |
- 「課税の繰延」は、その年の税金は軽くなりますが、あとで株を売ったときに、控除した分を取得価額から差し引いて計算するため、税金が先送りになるという意味です
- 「非課税」は、控除した分にあとで税金がかからない、という意味です

プレ男優遇措置Aは、給料などの所得から引けるんだ。株で利益が出ていない人でも使えるってこと?
② 株を売ったときの優遇
- 上場していないスタートアップの株を売って損が出たとき、その年のほかの株の譲渡益と通算(相殺)できます
- 通算しきれなかった損は、翌年以降3年間繰り越せます
- スタートアップが上場しないまま破産・解散して株の価値がなくなった場合も、同じように損を3年繰り越せます
手続きの流れ
- スタートアップが都道府県などに、エンジェル税制の対象企業であることや投資が行われたことの確認を申請
- 都道府県などが確認し、スタートアップに「確認書」を交付
- スタートアップが確認書を投資家に渡す
- 投資家が確定申告で確認書を税務署に出す
- 経済産業大臣の認定を受けた投資事業有限責任組合(LPS)や、株式投資型クラウドファンディング(認定少額電子募集取扱業者)を通じた投資も対象になる場合があります(→株式投資型クラウドファンディング)
- 2024年度改正で、2024年4月1日以降に取得した有償新株予約権(J-KISSなど)の取得額も、一定の条件で対象になりました
注意したいこと
- 税の優遇があっても、スタートアップへの投資はゼロになることがある投資です
- 上場していない株は、売りたいときに売れないことがほとんどです(→プライベート・エクイティ(PE)ファンドとは)
- 「エンジェル税制が使えるから必ず得」などと言って未公開株を勧誘する話には注意(→未公開株・社債の勧誘に注意)
2026年の法改正による非上場株式の資金調達のルールの見直しはスタートアップの資金調達のルールが変わるも参考にしてください。
まとめ
- エンジェル税制は、スタートアップに投資した個人の税を軽くする制度
- 投資時は、総所得から控除(優遇措置A)か株式譲渡益から控除(優遇措置B)。設立間もない会社への投資や起業は20億円まで非課税
- 売却時は、損をほかの株の譲渡益と通算し、3年繰り越せる
- 手続きには、会社が都道府県などから受ける確認書が必要
- 優遇があっても、ゼロになるリスクと売れないリスクは変わらない
参考文献
- 経済産業省. エンジェル税制. https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/index.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。