アサヒグループホールディングスの強みとは:日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックの3地域でビールなどを売り、事業利益の約3分の2を海外で稼ぐ会社。2025年12月期はサイバー攻撃による日本のシステム障害で事業利益2,630億円(−7.8%)。決算発表は2026年7月に延期
アサヒグループホールディングスを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年7月8日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益2兆8,947億円(−1.5%)、事業利益2,630億円(−7.8%、事業利益率9.1%)、営業利益1,859億円(−30.9%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,216億円(−36.7%)、ROE4.3%、親会社所有者帰属持分比率49.8%。2025年9月29日のサイバー攻撃で日本の受注・出荷などのシステムが停止し、第4四半期は大幅な減収減益に。影響は日本で管理するシステムに限られ、欧州とアジアパシフィックへの影響はないとしています。地域別の事業利益は、欧州1,131億円(+8.1%、プレミアムビール)、日本・東アジア1,116億円(−16.1%)、アジアパシフィック1,075億円(−1.4%)。年52円の配当(配当性向64.0%)、2026年12月期は事業利益2,910億円(+10.6%)・年57円の予想。キリンホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美アサヒの決算発表が、サイバー攻撃で遅れたって聞いたよ

プレ男決算短信を見ると、日本のシステムが止まって、出荷ができなくなったんだって。でも、利益の多くは海外で稼いでいるみたい
企業分析の連載、130社目はアサヒグループホールディングスです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年7月8日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のキリンホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、アサヒグループホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。お酒や特定の商品をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
日本・東アジア、欧州、アジアパシフィック(豪州・東南アジアなど)の3つの地域で、ビールなどのお酒、清涼飲料、食品を売る会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆8,947億円 | −1.5% |
| 事業利益(会社独自の指標) | 2,630億円 | −7.8% |
| 事業利益率 | 9.1% | 前期 9.7% |
| 営業利益 | 1,859億円 | −30.9% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,216億円 | −36.7% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 4.3% | 前期 7.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.8% | 前期 49.4% |
| 配当 | 年52円(配当性向64.0%) | ー |
- 事業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた、恒常的な事業の業績を測る会社独自の指標です
- 2025年9月29日に発生したサイバー攻撃で、日本の受注・出荷などのシステムが止まり、商品の供給が制約を受けて、第4四半期は大幅な減収減益になりました。会社は、影響は日本で管理しているシステムに限られ、欧州とアジアパシフィックの業績への影響はないとしています
- このため、2025年12月期の決算発表は延期され、決算短信は2026年7月8日に開示されました
- 2024年10月1日に1株→3株の株式分割をしているため、前期の配当は単純に比べられません(→株式分割と投資単位)
2. 何で稼いでいるか
| 地域 | 主な動き(決算短信の記載) | 売上収益 | 事業利益 |
|---|---|---|---|
| 欧州 | プレミアムビールなどの強化、売上単価の向上 | 7,682億円(+0.7%) | 1,131億円(+8.1%) |
| 日本・東アジア | システム障害、外食事業からの撤退 | 1兆3,272億円(−3.7%) | 1,116億円(−16.1%) |
| アジアパシフィック | 豪州・東南アジアなどの主力ブランド、価格改定 | 7,832億円(+0.1%) | 1,075億円(−1.4%) |
- 3つの地域の事業利益の合計3,322億円のうち、欧州とアジアパシフィックで約3分の2です(計算値)
- 事業利益率は、欧州14.7%、アジアパシフィック13.7%、日本・東アジア8.4%です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 世界の3つの地域
- 欧州・アジアパシフィックの事業は、日本のシステム障害の影響を受けていません。欧州は、天候不順で販売数量が減った一方、売上単価の向上とコストの効率化で増益でした
② プレミアムブランド
- 欧州では各国のプレミアムビールやグローバルブランドが堅調でした
③ 2026年12月期の回復の見通し
- 2026年12月期は、売上収益3兆2,200億円(+11.2%)、事業利益2,910億円(+10.6%)の予想です
4. 弱み・リスク
① システム障害の影響
- 日本・東アジアの事業利益は、システム障害の影響や原材料関連費用の増加で16.1%減りました
② 一時的な損失
- 営業利益(1,859億円)は事業利益(2,630億円)を大きく下回りました。会社は、事業ポートフォリオの再構築や減損損失などの一時的な要因を除いた調整後の当期利益(1,470億円)も示しています
③ 配当性向の上昇
- 配当性向は64.0%に上がりました(→配当方針の読み方)
5. ライバルとの比較
ビール大手のキリンホールディングスと比べます。どちらもIFRS・2025年12月期です。
| アサヒGHD | キリンHD | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆8,947億円(−1.5%) | 2兆4,334億円(+4.1%) |
| 事業利益 | 2,630億円(−7.8%) | 2,518億円(+19.3%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,216億円(−36.7%) | 1,475億円(+153.4%) |
| ROE | 4.3% | 12.0% |
- 規模はアサヒが大きく、2025年12月期の利益の伸びはキリンが上回りました。アサヒは海外の比重、キリンは医薬・ヘルスサイエンスをもつのが大きな違いです(→キリンホールディングスの強みとは)。海外で稼ぐ食品の会社はキッコーマンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
アサヒGHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 地域別の事業利益 | 欧州1,131億円、日本・東アジア1,116億円、アジアパシフィック1,075億円 | 決算短信(事業セグメント別の実績) |
| 日本のシステム障害からの回復 | 第4四半期に大幅減収減益 | 決算短信(経営成績) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上収益3兆2,200億円、事業利益2,910億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年52円、2026年12月期予想57円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男日本のシステムが止まっても、欧州とアジアパシフィックが利益を支えたんだね。日本の事業がどこまで戻るかを見ておこう
ほかのビールの会社はサッポロホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- アサヒGHDは、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックでお酒・飲料・食品を売る会社
- 2025年12月期は事業利益2,630億円(−7.8%)
- サイバー攻撃による日本のシステム障害で、第4四半期は大幅な減収減益、決算発表は2026年7月に
- 事業利益の約3分の2が欧州とアジアパシフィック
- 2026年12月期は事業利益2,910億円(+10.6%)の予想
参考文献
- アサヒグループホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年7月8日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25020/140120260707588934.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キリンホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25030/140120260212558383.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。