コスモエネルギーホールディングスの強みとは:ガソリンなどの「石油事業」と、原油を掘る「石油開発事業」が利益の柱。風力の「再生可能エネルギー」も。2026年3月期は営業利益1,448億円(+12.9%)、ROE12.4%。中東情勢で2027年3月期は減益の予想
コスモエネルギーホールディングスを、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日、東証の適時開示)で分析しました。売上高2兆6,776億円(−4.4%)、営業利益1,448億円(+12.9%、営業利益率5.4%)、経常利益1,492億円(−1.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益740億円(+28.4%)、ROE12.4%、自己資本比率27.6%。セグメント利益(経常利益ベース)は、石油763億円(在庫評価の影響を除くと928億円)、石油開発653億円(原油価格の下落で−171億円)、再生可能エネルギー28億円(風力の新規サイト)、石油化学は31億円の損失。2025年10月に1株を2株に分割、年165円相当の配当。原油の輸入を中東に依存し、2027年3月期は原油89ドル・1ドル155円の前提で営業利益1,020億円の予想。ENEOSホールディングス・出光興産との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男コスモ石油のガソリンスタンドの会社だよね

メル美決算短信を見ると、ガソリンなどの石油事業と同じくらい、原油を掘る石油開発でも稼いでいるんだって。風力発電もしているみたい
企業分析の連載、210社目はコスモエネルギーホールディングスです。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のENEOSホールディングスの強みとは・出光興産の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、コスモエネルギーホールディングス株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ガソリン・軽油・灯油などの石油製品をつくって売る「石油事業」、エチレンなどの「石油化学事業」、原油を開発・生産する「石油開発事業」、風力発電の「再生可能エネルギー事業」の4つをもつ会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆6,776億円 | −4.4% |
| 営業利益 | 1,448億円 | +12.9% |
| 営業利益率 | 5.4% | 前期 4.6% |
| 経常利益 | 1,492億円 | −1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 740億円 | +28.4% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 12.4% | 前期 9.7% |
| 自己資本比率 | 27.6% | 前期 27.1% |
| 配当 | 年165円相当(配当性向36.4%) |
- 2025年10月1日に1株を2株に分割しました。中間配当150円は分割前、期末配当90円は分割後の金額で、分割後に換算すると年165円です(→株式分割と投資単位)
- 会社は、中期経営計画の3年間の平均でPBR1倍の水準を達成したとしています
2. 何で稼いでいるか
この会社のセグメント利益は経常利益ベースです。
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 石油 | 原油価格の変動。在庫評価の影響を除くと928億円(+2億円) | 2兆3,856億円 | 763億円(+145億円) |
| 石油開発 | 原油価格の下落 | 1,304億円 | 653億円(−171億円) |
| 再生可能エネルギー | 風力の新規サイトの運転開始 | 165億円 | 28億円(+15億円) |
| 石油化学 | 製品市況の低迷が続く | 3,328億円 | −31億円(前期は−50億円) |
- 4つのセグメントの利益の合計1,413億円のうち、石油が約54%、石油開発が約46%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 石油開発の利益
- 売上高は1,304億円ですが、セグメント利益は653億円です。石油事業と並ぶ利益の柱です
② 風力発電
- 再生可能エネルギー事業は、新しいサイトの運転開始で増益でした。会社は、2027年3月期も陸上風力を中心とした安定収益で増益を見込んでいます
③ 資本効率
- ROEは12.4%です
4. 弱み・リスク
① 中東への依存
- 会社は、原油の輸入を中東地域に依存しており、地政学リスクで調達環境の不確実性が高いとしています。期末には、中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡の封鎖で、ドバイ原油が1バレル121ドル台まで上がりました
② 原油価格と在庫評価
- 石油事業の利益は、原油価格の変動と在庫評価の影響を受けます。石油開発も原油価格で利益が大きく変わります(→原油価格を動かすもの)
③ 2027年3月期の減益予想
- 原油89ドル/バレル、1ドル155円の前提で、営業利益1,020億円(−428億円)、当期純利益440億円(−300億円)の予想です。石油開発は、ホルムズ海峡の封鎖による生産制約で減益の見通しです
5. ライバルとの比較
石油元売りの会社と並べます。会計基準(ENEOSはIFRS)が違うので、おおまかな比較です。3社とも2026年3月期です。
| コスモエネルギーHD | ENEOSホールディングス | 出光興産 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆6,776億円(−4.4%) | 11兆7,655億円(−4.5%) | 8兆1,059億円(−11.8%) |
| 営業利益 | 1,448億円(+12.9%) | 4,666億円(+339.8%) | 2,122億円(+30.8%) |
| 当期純利益(当期利益) | 740億円 | 2,587億円 | 1,719億円 |
| ROE | 12.4% | 8.0% | 9.4% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 27.6% | 37.1% | 36.0% |
- コスモは規模は小さいものの、ROEは3社でいちばん高い水準です(→ENEOSホールディングスの強みとは、出光興産の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
コスモエネルギーHDの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 在庫評価の影響を除く石油事業の利益 | 928億円 | 決算短信(セグメント) |
| 石油開発の利益 | 653億円 | 決算短信(セグメント) |
| 原油価格・為替の前提 | 2027年3月期 89ドル/バレル、155円/ドル | 決算短信(今後の見通し) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高2兆8,700億円、営業利益1,020億円、当期純利益440億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年165円相当、2027年3月期予想165円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男石油の会社は、原油の値段と中東の情勢で利益が大きく動くんだね。来期の前提も見ておこう
まとめ
- コスモエネルギーHDは、石油・石油開発・石油化学・再生可能エネルギーの会社
- 2026年3月期は営業利益1,448億円(+12.9%)、ROE12.4%
- 利益の柱は石油と石油開発、風力も増益
- 原油の輸入を中東に依存、ホルムズ海峡の封鎖がリスク
- 2027年3月期は営業利益1,020億円の予想、配当は年165円の予想
参考文献
- コスモエネルギーホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/50210/140120260511522958.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- ENEOSホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://www2.jpx.co.jp/disc/50200/140120260512526455.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 出光興産. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日). https://www.idemitsu.com/jp/news/2026/260512_1.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。