大和ハウス工業の強みとは:戸建住宅・賃貸住宅・マンション・商業施設・物流施設などの事業施設まで手がける住宅・建設の大手。2026年3月期は売上高5兆5,769億円・営業利益6,149億円で、中期経営計画の目標を1年前倒しで達成。ただし退職給付の数理差異の益1,157億円を含む
大和ハウス工業を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日、東証の適時開示)で分析しました。売上高5兆5,769億円(+2.6%)、営業利益6,149億円(+12.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益3,506億円(+7.8%)、ROE12.7%、自己資本比率34.4%。営業利益には退職給付数理差異等償却益1,157億円が含まれ、これを除くと4,992億円(+12.2%)。セグメントの営業利益は、戸建住宅1,557億円(+123.0%、米国の大型土地売却も寄与)、商業施設1,625億円、賃貸住宅1,411億円、事業施設1,276億円(物流施設などの開発物件の売却が減り−20.0%)、環境エネルギー138億円、マンション60億円。住友電設を連結子会社化し、有利子負債は3兆767億円(D/Eレシオ1.06倍)。年175円の配当(創業70周年記念配当を含む)、2026年10月1日に1株→2株の株式分割。2027年3月期は建設資材の値上げや工事遅延を織り込み営業利益4,000億円の予想。積水ハウスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男大和ハウスって家を建てる会社だよね。売上が5兆円もあるの?

メル美物流倉庫やショッピングセンター、ホテルまでやってるらしいよ
企業分析の連載、79社目は大和ハウス工業です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の積水ハウスの強みとはで確認した積水ハウスの数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、大和ハウス工業株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の物件の購入や賃貸をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
戸建住宅・賃貸住宅・マンションの住宅事業に加えて、商業施設・物流施設などの事業施設、環境エネルギーまで手がける住宅・建設の大手
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆5,769億円 | +2.6% |
| 営業利益 | 6,149億円 | +12.6% |
| うち退職給付数理差異等償却益 | 1,157億円 | ー |
| 数理差異等を除いた営業利益 | 4,992億円 | +12.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,506億円 | +7.8% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 12.7% | 前期 12.9% |
| 自己資本比率 | 34.4% | 前期 37.1% |
| 配当 | 年175円(配当性向30.9%) | 前期 150円 |
- 会社は、第7次中期経営計画で2027年3月期の目標としていた売上高と営業利益を1年前倒しで達成したとしています
- 営業利益には、退職給付の数理差異等の償却益1,157億円(一度きりの性格の利益)が含まれています
- 配当175円には、創業70周年記念配当10円が含まれます
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載から) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 商業施設 | 商業施設の開発・リーシング、都市型ホテルなど | 1兆2,902億円(+5.1%) | 1,625億円(+11.4%) |
| 戸建住宅 | 注文住宅・分譲住宅、リフォーム、米国の住宅事業 | 1兆3,423億円(+17.3%) | 1,557億円(+123.0%) |
| 賃貸住宅 | 賃貸住宅の開発・管理・運営 | 1兆4,293億円(+3.9%) | 1,411億円(+8.6%) |
| 事業施設 | 物流施設などの開発 | 1兆1,898億円(−13.1%) | 1,276億円(−20.0%) |
| 環境エネルギー | EPC・電力小売(PPS)・発電(IPP) | 1,331億円(+1.5%) | 138億円(+11.4%) |
| マンション | 分譲マンション、マンション管理 | 2,796億円(+3.8%) | 60億円(−45.1%) |
- 4つの大きなセグメントが、それぞれ1,200億〜1,600億円の営業利益を出しています
- 戸建住宅は、国内で「Smart Made Housing.」の拡販などで販売戸数が増え、米国では受注・引渡し戸数が増えたうえ、2025年10月末の大型土地売却も寄与しました
- 事業施設は、開発物件の売却の減少で減益でした
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 分散した事業
- 住宅・商業施設・物流施設などに利益が分散しています
② 開発と売却のサイクル
- 物流施設や商業施設を開発してリースし、売却して利益にする事業があります。2026年3月期も「DPL埼玉深谷」「DPL静岡袋井」などの物流施設を着工しました
③ 米国の住宅事業
- 米国で販売コミュニティを広げ、受注・引渡し戸数を増やしています
4. 弱み・リスク
① 2027年3月期の大幅減益の見通し
- 2027年3月期は、中東情勢が2026年9月ごろまでに落ち着くことを前提に、建設資材や設備の値上げによる原価の高騰や工事の遅延を織り込み、営業利益4,000億円の予想です。退職給付の数理差異の益を除いた前期と比べても−19.9%です
- 第8次中期経営計画の発表は、事業環境の見極めに時間がかかるため延期しています
② 借入の増加
- 販売用不動産の仕入や、住友電設の連結子会社化などで借入を増やし、有利子負債(リース債務等を除く)は3兆767億円、D/Eレシオは1.06倍です
③ 開発物件の売却の波
- 事業施設の利益は、開発物件をいつ売るかで年ごとに大きく変わります
5. ライバルとの比較
住宅大手の積水ハウスと比べます。決算期(積水ハウスは1月期)が違うので、おおまかな比較です。
| 大和ハウス(2026年3月期) | 積水ハウス(2026年1月期) | |
|---|---|---|
| 売上高 | 5兆5,769億円(+2.6%) | 4兆1,979億円(+3.4%) |
| 営業利益 | 6,149億円(+12.6%) | 3,414億円(+3.0%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,506億円 | 2,321億円 |
| ROE | 12.7% | 11.3% |
- 大和ハウスは、商業施設・物流施設などの事業施設の比重が大きく、積水ハウスは米国の戸建住宅の比重が大きい会社です(→積水ハウスの強みとは)。不動産の会社は三井不動産の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
大和ハウスの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 数理差異等を除いた営業利益 | 4,992億円 | 決算短信(経営成績) |
| セグメント別の営業利益 | 商業施設1,625億円など | 決算短信(セグメント) |
| 有利子負債・D/Eレシオ | 3兆767億円・1.06倍 | 決算短信(財政状態) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高5兆8,000億円、営業利益4,000億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年175円 | 決算短信 |
- 2026年5月13日に、2026年9月30日を基準日・10月1日を効力発生日とする1株→2株の株式分割を決議しています。2027年3月期の期末配当予想(45円)は分割後の金額です(→株式分割と投資単位)
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美家だけじゃなく、物流倉庫やショッピングセンターでも稼いでいるのね。一度きりの退職給付の益や、来年の減益の見通しも見ておかなきゃ
ゼネコン(総合建設会社)は鹿島建設の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 大和ハウスは、住宅・商業施設・物流施設・環境エネルギーまで手がける住宅・建設の大手
- 2026年3月期は営業利益6,149億円(+12.6%)、ただし退職給付の数理差異の益1,157億円を含む
- 4つの大きなセグメントで、それぞれ1,200億〜1,600億円の営業利益
- 住友電設を連結子会社化、有利子負債は3兆767億円
- 2027年3月期は原価の高騰と工事の遅延を織り込み、営業利益4,000億円の予想
参考文献
- 大和ハウス工業. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/19250/140120260512524816.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 積水ハウス. 2026年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年3月5日). https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/_227230/2025_kessan/t20260305.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。