日立建機の強みとは:油圧ショベルなどの建設機械とマイニング機械を世界で売り、売上の8割超が海外。2026年3月期は売上収益1兆4,055億円(+2.5%)・調整後営業利益1,330億円(−8.3%)、米国関税が逆風。2027年4月に「ランドクロス」へ商号変更の予定
日立建機を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益1兆4,055億円(+2.5%、欧州と米州独自展開事業が堅調、米州OEMとオセアニアは減少)、調整後営業利益1,330億円(−8.3%、販売価格の引き上げの一方で米国関税・成長投資のコスト増、地域・製品構成差の悪化)、親会社株主に帰属する当期利益732億円(−10.1%)、ROE8.6%、親会社株主持分比率48.5%。販売先地域別の売上は、アジア・大洋州32.8%、米州24.5%、日本15.9%、欧州14.4%(+26.4%)。セグメントは建設機械ビジネス(売上収益1兆2,686億円・調整後営業利益1,215億円)と、マイニングのアフターセールスのスペシャライズド・パーツ・サービス(1,452億円・115億円)。年175円の配当、2027年3月期は調整後営業利益1,400億円・年190円の予想。2027年4月1日に商号を「ランドクロス株式会社」に変更する予定。コマツとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男工事現場のショベルカーって、どこの国でたくさん売れているんだろう?

メル美日立建機の決算短信を見ると、売上の8割以上が海外なんだって。オセアニアや北米、欧州が大きいみたい
企業分析の連載、141社目は日立建機です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のコマツ(小松製作所)の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、日立建機株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
油圧ショベルなどの建設機械とマイニング(鉱山)機械を世界で売り、部品・サービスも手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆4,055億円 | +2.5% |
| 調整後営業利益(会社の指標) | 1,330億円 | −8.3% |
| 調整後営業利益率 | 9.5%(計算値) | ー |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 732億円 | −10.1% |
| ROE(親会社株主持分当期利益率) | 8.6% | 前期 10.4% |
| 親会社株主持分比率 | 48.5% | 前期 45.2% |
| 配当 | 年175円(配当性向50.9%) | 前期 175円 |
- 調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた、会社が使う指標です
- 減益は、販売価格の引き上げの効果があった一方、米国関税の影響や成長投資にともなうコスト増、地域・製品構成差の悪化によるものです
- 在庫の縮減などで、営業キャッシュ・フローは1,642億円に増えました
2. 何で稼いでいるか
セグメント別(売上収益はセグメント間調整前)
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上収益 | 調整後営業利益 |
|---|---|---|---|
| 建設機械ビジネス | 建設機械・マイニング機械 | 1兆2,686億円(+2.0%) | 1,215億円(−6.4%) |
| スペシャライズド・パーツ・サービス | マイニング設備・機械のアフターセールスの部品サービス(Bradken)、サービスソリューション(H-E Parts) | 1,452億円(+7.1%) | 115億円(−24.2%) |
販売先地域別の売上収益
| 地域 | 売上収益 | 構成比 |
|---|---|---|
| アジア・大洋州(うちオセアニア) | 4,615億円(2,490億円) | 32.8% |
| 米州(うち北米) | 3,445億円(3,025億円) | 24.5% |
| 日本 | 2,240億円 | 15.9% |
| 欧州 | 2,019億円(+26.4%) | 14.4% |
| ロシアCIS・アフリカ・中近東 | 1,471億円 | 10.5% |
| 中国 | 264億円 | 1.9% |
- 製品別では、マイニング機械が2,720億円で、売上収益の約19%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 世界に広がる販売
- 売上収益の84.1%が海外です。2026年3月期は欧州と米州独自展開事業の販売が堅調でした
② マイニングと部品・サービス
- マイニング機械に加え、マイニング設備・機械のアフターセールスの部品サービス事業ももっています。会社は、新しい中期経営計画「LANDCROS 2028」で、北米事業・中南米事業・マイニング事業などの4つを重点事業に挙げています
③ 増配の予想
- 2027年3月期は、過去最高の年190円の配当を計画しています(→配当方針の読み方)
4. 弱み・リスク
① 米国関税
- 米国関税によるコスト増が、建設機械ビジネスとスペシャライズド・パーツ・サービスの両方の利益を押し下げました。2027年3月期も関税によるコスト増を見込んでいます
② 鉱山の需要
- 会社は、石炭や鉄鉱石向けのマイニング機械の需要は不透明感が強く弱含みと見ています。スペシャライズド・パーツ・サービスは、一部の主要顧客の投資抑制や競争の激化で24.2%の減益でした
③ 中東情勢
- 中東情勢の緊迫化の影響は、状況が流動的なため業績予想に織り込んでいないとしています
5. ライバルとの比較
建設機械大手のコマツと比べます。会計基準(日立建機はIFRS、コマツは米国基準)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。
| 日立建機 | コマツ | |
|---|---|---|
| 売上 | 1兆4,055億円(+2.5%) | 4兆1,328億円(+0.7%) |
| 利益(調整後営業/営業) | 1,330億円(−8.3%) | 5,673億円(−13.7%) |
| 利益率 | 9.5% | 13.7% |
| ROE | 8.6% | 11.3% |
| 自己資本(株主持分・株主資本)比率 | 48.5% | 54.7% |
- どちらも米国関税などで減益でした。規模と利益率はコマツが上回ります(→コマツ(小松製作所)の強みとは)。建設機械も手がける会社はクボタの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
日立建機の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 地域別の売上収益(北米・欧州・オセアニア) | 3,025億円・2,019億円・2,490億円 | 決算短信(販売先地域別) |
| 建設機械ビジネスの調整後営業利益 | 1,215億円 | 決算短信(セグメントの業績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益1兆4,300億円、調整後営業利益1,400億円 | 決算短信のサマリー |
| 前提の為替 | 米ドル150円、ユーロ178円、豪ドル107円 | 決算短信(今後の見通し) |
| 配当 | 年175円、2027年3月期予想190円 | 決算短信 |
- 2027年4月1日に、商号を「ランドクロス株式会社」に変更する予定です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美海外が8割以上なのね。関税と鉱山の需要がどうなるかを見ておきたいな
建設機械も手がける機械の会社は住友重機械工業の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 日立建機は、建設機械とマイニング機械を世界で売る会社で、売上の84.1%が海外
- 2026年3月期は調整後営業利益1,330億円(−8.3%)
- 減益の主な理由は米国関税などのコスト増と構成差の悪化
- 欧州の売上は+26.4%
- 2027年3月期は調整後営業利益1,400億円・年190円の予想、2027年4月にランドクロスへ商号変更の予定
参考文献
- 日立建機. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www2.jpx.co.jp/disc/63050/140120260424510001.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 小松製作所. 2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年4月28日). https://www.komatsu.jp/ja/-/media/home/ir/library/financial/ja/2603q4_j.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。