九州電力の強みとは:原子力をはじめとした発電・販売がセグメント経常利益の約3分の2、LNG・石炭販売などのエネルギーサービス、データセンター・光ファイバのICTも。2026年3月期は燃料価格の下落で経常利益2,071億円(+6.4%)・当期純利益1,545億円(+20.0%)
九州電力を、2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日、東証の適時開示)で分析しました。売上高2兆2,472億円(−4.7%、小売販売電力量の減少)、営業利益2,249億円(+12.7%)、経常利益2,071億円(+6.4%、燃料価格の下落・火力発電構成の変化による燃料費の減少、託送収益の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益1,545億円(+20.0%)、ROE14.1%、自己資本比率19.9%。総販売電力量983億kWh(−2.7%)、うち小売686億kWh(−9.3%)。セグメントの経常利益は、発電・販売1,364億円(+19.2%)、その他エネルギーサービス369億円(+11.2%)、海外126億円(+42.6%)、ICTサービス106億円、送配電82億円(−68.8%)、都市開発51億円。年50円の配当、2027年3月期は経常利益1,800億円(−13.1%)・年50円の予想。東北電力・関西電力との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美同じ電力会社でも、東北電力は減益で、九州電力は増益だったの?

プレ男九州電力の決算短信を見ると、燃料価格が下がって燃料費が減ったことで、経常利益が増えたんだって
企業分析の連載、155社目は九州電力です。2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載の東北電力の強みとは・関西電力の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、九州電力株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
原子力・火力・揚水などで発電して電力を小売・卸売する「発電・販売」、九州域内の「送配電」を中心に、ガス・LNG・石炭の販売、海外の発電、光ファイバ網・データセンターのICT、不動産も手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,472億円 | −4.7% |
| 営業利益 | 2,249億円 | +12.7% |
| 経常利益 | 2,071億円 | +6.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,545億円 | +20.0% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 14.1% | 前期 13.6% |
| 自己資本比率 | 19.9% | 前期 17.3% |
| 配当 | 年50円(配当性向15.9%) | 前期 50円 |
- 売上高は、小売販売電力量の減少などで減りました
- 経常利益は、託送収益の増加や、火力発電の構成の変化にともなう燃料費の減少などで増えました
2. 何で稼いでいるか
セグメント損益は経常利益の段階の数字です(内部取引消去前)。
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上高 | 経常利益 |
|---|---|---|---|
| 発電・販売 | 国内の発電・小売電気事業など | 1兆8,429億円(−8.4%) | 1,364億円(+19.2%) |
| その他エネルギーサービス | 電気設備の建設・保守、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギーなど | 3,517億円(+8.5%) | 369億円(+11.2%) |
| 海外 | 海外の発電・送配電など | 37億円(−16.2%) | 126億円(+42.6%) |
| ICTサービス | 光ファイバ網・データセンター、データ通信、情報システム開発など | 1,520億円(+10.3%) | 106億円(+0.5%) |
| 送配電 | 九州域内の一般送配電事業 | 7,205億円(−3.7%) | 82億円(−68.8%) |
| 都市開発 | 不動産開発・運営、官民連携事業 | 271億円(−5.1%) | 51億円(+50.0%) |
- 6つのセグメントの経常利益の合計2,098億円のうち、発電・販売が約65%、電気事業以外の4セグメントが約31%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 原子力をはじめとした発電設備
- 会社は、原子力をはじめ、火力・揚水などの発電設備の総合的な運用で、安定した供給を確保したとしています。発電・販売の経常利益は、燃料価格の下落で需給関係費用が減り、+19.2%でした
② 電気事業以外の柱
- LNG・石炭の販売などのエネルギーサービス、データセンターなどのICTサービス、海外事業、都市開発で、経常利益の約3割を稼いでいます
③ 高いROE
- ROEは14.1%です
4. 弱み・リスク
① 小売販売電力量の減少
- 域内の契約電力が減少したことなどで、小売販売電力量は9.3%減りました
② 低い自己資本比率
- 自己資本比率は19.9%です(前期17.3%から上昇)
③ 2027年3月期は減益の予想
- 2027年3月期は、経常利益1,800億円(−13.1%)、当期純利益1,300億円(−15.9%)の予想です。送配電は、エリア電力需要の減少などで経常利益が68.8%減りました
5. ライバルとの比較
電力会社と比べます。3社とも日本基準・2026年3月期です。
| 九州電力 | 東北電力 | 関西電力 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,472億円(−4.7%) | 2兆3,724億円(−10.3%) | 4兆566億円(−6.5%) |
| 経常利益 | 2,071億円(+6.4%) | 1,264億円(−50.8%) | 5,185億円(−2.5%) |
| ROE | 14.1% | 8.1% | 11.7% |
| 自己資本比率 | 19.9% | 19.4% | 35.1% |
| 配当 | 年50円 | 年40円 | 年75円 |
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
九州電力の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 小売販売電力量 | 686億kWh(−9.3%) | 決算短信(収支) |
| 発電・販売の経常利益 | 1,364億円 | 決算短信(セグメント別の業績) |
| 電気事業以外の経常利益 | その他エネルギー369億円、海外126億円、ICT106億円、都市開発51億円 | 決算短信(セグメント別の業績) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高2兆3,000億円、経常利益1,800億円、当期純利益1,300億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年50円、2027年3月期予想50円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美電力会社でも、燃料費や発電の構成で利益の出方が違うのね。電気以外の事業がどこまで伸びるかも見ておきたいな
発電・送電と海外の発電事業の会社は電源開発(J-POWER)の強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 九州電力は、発電・販売と送配電を中心に、エネルギーサービス・ICT・海外・不動産も手がける会社
- 2026年3月期は経常利益2,071億円(+6.4%)、当期純利益1,545億円(+20.0%)
- 増益の主な理由は、燃料費の減少と託送収益の増加
- 経常利益の約3割が電気事業以外
- 2027年3月期は経常利益1,800億円(−13.1%)の予想
参考文献
- 九州電力. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www2.jpx.co.jp/disc/95080/140120260428513397.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 東北電力. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www2.jpx.co.jp/disc/95060/140120260428513928.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 関西電力. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日). https://www2.jpx.co.jp/disc/95030/140120260430515040.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。