野村総合研究所(NRI)の強みとは:コンサルティングとITソリューション、金融機関向けのシステムが利益の柱。2026年3月期は事業利益1,567億円(+16.3%)と好調の一方、豪州・北米事業ののれん等の減損で営業利益は583億円(−56.8%)
野村総合研究所を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日、東証の適時開示)で分析しました。売上収益8,147億円(+6.5%)、一時的要因を除いた事業利益1,567億円(+16.3%)、営業利益583億円(−56.8%、豪州のNRI Australiaと北米のCore BTSでのれん等の減損損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益153億円(−83.7%)、ROE3.5%、親会社所有者帰属持分比率45.2%、海外売上収益比率13.3%。セグメントの営業利益は、金融ITソリューション743億円(+20.6%、金融業全般向けが好調)、IT基盤サービス386億円(+27.1%)、コンサルティング192億円(+4.5%)、産業ITソリューション(グローバルを含む)は746億円の損失。配当は国内事業の好調と減損がキャッシュ・フローに直接影響しないことを踏まえ年77円(配当性向289.9%)、2027年3月期は営業利益1,750億円・年84円の予想。NECとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美野村総合研究所って、シンクタンクだよね。どうやって稼いでいるのかな

プレ男決算短信を見ると、売上の半分くらいは金融機関向けのITシステムなんだって
企業分析の連載、122社目は野村総合研究所(NRI)です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のNEC(日本電気)の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、野村総合研究所株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
政策提言・戦略コンサルティングから、金融機関や流通・製造業向けのシステム開発・運用、IT基盤サービスまでを手がけるコンサルティング・IT企業
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 8,147億円 | +6.5% |
| 事業利益(一時的要因を除いた利益) | 1,567億円 | +16.3% |
| 営業利益 | 583億円 | −56.8% |
| 営業利益率 | 7.2% | 前期 17.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 153億円 | −83.7% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 3.5% | 前期 22.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 45.2% | 前期 46.7% |
| 海外売上収益比率 | 13.3% | 前期 14.7% |
| 配当 | 年77円(配当性向289.9%) | 前期 63円 |
- 事業利益は、営業利益からのれん減損や固定資産減損などの一時的要因を除いた、会社独自の利益です
- 国内のシステム開発案件が活況で、運用サービスも増え、事業利益は+16.3%でした。一方、豪州・北米事業ののれん等の減損損失(減損損失は合計976億円)で営業利益は大きく減りました
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 中身(決算短信の記載) | 売上収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 金融ITソリューション | 証券・保険・銀行などの金融業向けシステム | 4,052億円(+8.7%) | 743億円(+20.6%) |
| IT基盤サービス | DWP(デジタルワークプレイス)、クラウド、セキュリティ | 2,215億円(+10.0%) | 386億円(+27.1%) |
| コンサルティング | 政策提言、戦略・業務・システムコンサルティング | 687億円(+5.1%) | 192億円(+4.5%) |
| 産業ITソリューション | 流通・製造・サービス・公共向け、グローバル(豪州・北米) | 2,800億円(+1.5%) | −746億円 |
- 売上収益の約半分が金融ITソリューションです(計算値)
- 産業ITソリューションの赤字は、豪州のNRI Australia Limitedと北米のCore BTS, Inc.で、のれん等の減損損失を計上したためです
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 金融機関向けのシステム
- 金融業全般向けが好調で、良好な受注環境や運用サービスの増加で収益性が向上し、営業利益は+20.6%でした
② 国内事業の好調
- 事業利益は1,567億円(+16.3%)です。会社は、国内事業は好調だとしています
③ 減損に左右されない配当
- 会社は、のれん等の減損損失はキャッシュ・フローに直接の影響がないことと国内事業の好調を踏まえ、期末配当を増やして年77円にしました
4. 弱み・リスク
① 海外事業の減損
- 豪州・北米の事業でのれん等の減損損失を計上しました。のれん及び無形資産は2,020億円(前期末より662億円減)が残っています
② 当期利益とROEの低下
- 当期利益は153億円、ROEは3.5%に下がり、配当性向は289.9%になりました
③ 海外の成長
- 海外売上収益比率は13.3%(前期14.7%)に下がりました
5. ライバルとの比較
ITサービスの大手、NECと比べます。どちらもIFRS・2026年3月期ですが、NECはハードウェアや社会インフラも持つので、おおまかな比較です。
| 野村総合研究所 | NEC | |
|---|---|---|
| 売上収益 | 8,147億円(+6.5%) | 3兆5,827億円(+4.7%) |
| 本業の利益 | 事業利益 1,567億円(+16.3%) | 調整後営業利益 3,868億円(+34.7%) |
| 営業利益 | 583億円(−56.8%) | 3,599億円(+40.3%) |
| ROE | 3.5% | 13.0% |
- 「事業利益」「調整後営業利益」は各社が独自に決めた利益で、定義は同じではありません(→NEC(日本電気)の強みとは)。金融機関の会社は野村ホールディングスの強みとは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
NRIの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 事業利益と営業利益の差(一時的要因) | 1,567億円と583億円 | 決算短信(連結経営成績の概況) |
| セグメント別の営業利益 | 金融IT743億円など | 決算短信(セグメント) |
| のれん及び無形資産 | 2,020億円 | 決算短信(財政状態) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上収益8,500億円、営業利益1,750億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年77円、2027年3月期予想84円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美国内の金融向けシステムは好調なのに、海外の買収の減損で利益が大きく減ったのね。事業利益と営業利益の差を見ておきたいな
システム開発の会社はTISの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- NRIは、コンサルティングとITソリューションの会社。売上の約半分が金融機関向け
- 2026年3月期は事業利益1,567億円(+16.3%)の一方、営業利益は583億円(−56.8%)
- 減益の理由は豪州・北米事業ののれん等の減損
- 減損はキャッシュに直接影響しないとして、配当は年77円に増配
- 2027年3月期は営業利益1,750億円の予想
参考文献
- 野村総合研究所. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月24日). https://www2.jpx.co.jp/disc/43070/140120260423509100.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 日本電気. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日). https://jpn.nec.com/ir/pdf/library/202604/images/2804-01-01.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。