公募増資・第三者割当と「希薄化」:会社が新しく株を発行すると、1株あたりの利益や議決権の割合が薄まる。上場会社は原則として取締役会で決められるが、特に有利な価格での発行は株主総会の特別決議、過半数を持つ株主が生まれる発行には株主への通知が必要(会社法)
公募増資・第三者割当増資と株式の希薄化を、会社法199条・201条・206条の2・210条(e-Gov法令検索)でまとめました。会社が株式を発行するときは、募集株式の数、払込金額などの募集事項を決めます。公開会社では原則として取締役会で決められますが、払込金額が引受人に特に有利な金額の場合は株主総会で理由を説明して決議する必要があります。引受人が議決権の過半数を持つことになる発行では、払込期日の2週間前までに株主に通知し、議決権の10分の1以上を持つ株主が反対すれば株主総会の決議が必要になる場合があります。法令・定款違反や著しく不公正な方法による発行で株主が不利益を受けるおそれがあるときは、差止めを請求できます。仮の計算で、発行済株式数が増えるとEPSがどれだけ薄まるかも示します。

プレ男持ってる会社が「公募増資」を発表したら、次の日に株価が下がってた! お金が集まるのはいいことじゃないの?

メル美「希薄化」っていう言葉をよく聞くよ。何が薄まるんだろう
今回は、公募増資・第三者割当増資と株式の希薄化です。会社法(199条・201条・206条の2・210条)の条文(e-Gov法令検索)で確認しました。
この記事はしくみの説明です。増資を発表した会社の株の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
増資とは
- 会社が新しく株式を発行して(または持っている自己株式を処分して)、お金などを集めることです
- 主なやり方:
| やり方 | 中身 |
|---|---|
| 公募増資 | 広く一般の投資家から引受人を募る |
| 第三者割当増資 | 特定の相手(取引先、親会社、投資ファンドなど)に割り当てる |
| 株主割当 | いまの株主に、持株数に応じて割り当てる |
会社法のルール
募集事項を決める(199条・201条)
- 発行のたびに、募集株式の数、払込金額(またはその決め方)などを決めます
- 公開会社(上場会社など)では、原則として取締役会で決められます(201条)
- ただし、払込金額が引受人に特に有利な金額のとき(有利発行)は、取締役が株主総会でその理由を説明して決議を受ける必要があります(199条3項)
支配株主が変わる発行(206条の2)
- 引受人が、発行後に議決権の過半数を持つことになる場合、公開会社は払込期日の2週間前までに、株主にその引受人のことを通知します
- 議決権の10分の1以上を持つ株主が反対を通知したときは、原則として株主総会の決議が必要になります
株主ができること(210条)
- 発行が法令・定款に違反する場合や、著しく不公正な方法で行われる場合で、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、発行をやめるよう請求(差止め)できます

メル美勝手に安く株を配ったり、知らないうちに会社の持ち主が変わったりしないように、ルールがあるんだね
「希薄化」とは
株数が増えると、1株あたりの取り分が薄まります。あくまで仮の計算です。
| 増資の前 | 2割増資したあと | |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 100億円 | 100億円(変わらないとする) |
| 発行済株式数 | 1億株 | 1億2,000万株 |
| 1株あたり利益(EPS) | 100円 | 約83円 |
| あなたの議決権の割合(1万株) | 0.010% | 約0.0083% |
- 集めたお金で利益が増えれば、EPSが元に戻ったり、増えたりすることもあります。何に使うのか(資金使途)が大切です
- 自社株買いは、この逆で株数を減らします(→自社株買いのしくみ)
投資家が見るところ
- 適時開示で、発行する株数、払込金額(ディスカウント率)、資金使途、引受人を確かめる(→適時開示(TDnet)の見方)
- 発行後の発行済株式数の増え方(何%の希薄化か)
- 第三者割当なら、引受人は誰か、有利発行にあたらないか
反対に複数の株を1株にまとめるしくみは株式併合とはへ。
役員・従業員に新株予約権を与えるしくみはストックオプション(新株予約権)とはへ。
まとめ
- 増資は、会社が新しく株を発行してお金を集めること(公募・第三者割当・株主割当)
- 上場会社は原則取締役会で決められるが、特に有利な価格なら株主総会、過半数を持つ株主が生まれるなら株主への通知
- 不公正な発行には、株主が差止めを請求できる
- 株数が増えると1株あたりの利益や議決権が薄まる(希薄化)。資金使途を見る
参考文献
- 会社法(平成17年法律第86号)第199条・第201条・第206条の2・第210条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。