資生堂の強みとは:「クレ・ド・ポー ボーテ」「SHISEIDO」「NARS」などの化粧品を世界で売る。2025年12月期はコア営業利益445億円(+22.4%)に回復したが、米州事業ののれんの減損468億円で営業損失288億円。売上の35%は中国・トラベルリテール
資生堂を、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月10日)で分析しました。売上高9,700億円(−2.1%)、会社が重視するコア営業利益445億円(+22.4%、コア営業利益率4.6%)、営業損失288億円、親会社の所有者に帰属する当期損失407億円。コア営業利益は、注力ブランドの成長と構造改革・コスト管理で増えましたが、米州事業の収益性低下でのれんの減損損失468億円を計上しました。セグメントは中国・トラベルリテール(売上高3,422億円、コア営業利益645億円)、日本(2,953億円、390億円)、欧州(1,411億円)、米州(1,066億円、コア営業損失116億円)、アジアパシフィック。中国人旅行者の消費低調や、米州の「Drunk Elephant」の苦戦が続きました。2026年12月期はコア営業利益690億円、年60円の予想。花王の化粧品事業との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美資生堂の化粧品、空港の免税店でもよく見るよ。でも最近、業績が厳しいってニュースもあったような…

プレ男日本の会社なのに、海外の売上のほうが大きいのかな
企業分析の連載、35社目は資生堂です。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月10日)で確認しました。比較には、この連載の花王の強みとはで確認した花王の化粧品事業の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、資生堂株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
日本・中国・欧米などで、高価格帯を中心とした化粧品やフレグランスを売る会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9,700億円 | −2.1% |
| コア営業利益(会社が重視する指標) | 445億円 | +22.4% |
| コア営業利益率 | 4.6% | 前期 3.7% |
| 営業利益 | −288億円(損失) | 前期 76億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | −407億円(損失) | 前期 −108億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 47.4% | 前期 47.5% |
| 配当 | 年40円 | 前期 40円 |
- コア営業利益は、営業利益から構造改革の費用・減損損失・買収関連費用など非経常的な損益を除いた利益です
- 営業損失になったのは、米州事業の収益性の低下を受けた減損テストで、のれんの減損損失468億円を計上したためです(キャッシュ・フローには影響しない、としています)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 売上高 | 売上比 | コア営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 中国・トラベルリテール | 3,422億円(−4.3%) | 35.3% | 645億円 | 18.7% |
| 日本 | 2,953億円(+0.4%) | 30.4% | 390億円(+131億円) | 13.1% |
| 欧州 | 1,411億円(+6.4%) | 14.5% | 39億円 | 2.7% |
| 米州 | 1,066億円(−10.1%) | 11.0% | −116億円 | — |
| アジアパシフィック | 733億円(+2.3%) | 7.6% | 51億円 | 6.8% |
- 中国・トラベルリテール(空港・市中の免税店など)と日本が稼ぎ頭です
- 2025年12月期から、「中国事業」と「トラベルリテール事業」を「中国・トラベルリテール事業」にまとめました
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 高価格帯のブランド
- 中国では「クレ・ド・ポー ボーテ」「NARS」がけん引し、中国最大のEコマースイベント「ダブルイレブン」でEコマースが大きく伸びたとしています
② 日本事業の立て直し
- 経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」で、日本のコア営業利益は131億円増の390億円になりました
③ 構造改革とコスト管理
- 注力ブランドの成長によるプロダクトミックスの改善と、構造改革・コスト管理で、全体のコア営業利益は82億円増えました
4. 弱み・リスク
① 中国人旅行者の消費
- トラベルリテールでは、中国・韓国で中国人旅行者の消費低調による厳しい状況が続いたとしています
② 米州の苦戦
- 米州は「Drunk Elephant」の苦戦が続き、原価率の悪化や関税の影響もあって、コア営業損失116億円。のれんの減損にもつながりました
③ 低い利益率
- コア営業利益率は4.6%です
5. ライバルとの比較
花王の化粧品事業と比べます。花王は12月期・IFRSで同じですが、花王の化粧品は会社の一部門(セグメント)なので、おおまかな比較です。
| 資生堂(全社) | 花王 化粧品事業 | |
|---|---|---|
| 売上 | 9,700億円(−2.1%) | 2,616億円(+7.2%) |
| 利益 | コア営業利益445億円(4.6%) | 営業利益104億円(4.0%) |
| 前期 | コア営業利益364億円 | 営業損失37億円 |
- どちらも利益率は4%台で、立て直しの途中という点が似ています(→花王の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
資生堂の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 中国・トラベルリテールの売上とコア営業利益 | 3,422億円・645億円 | 決算短信(セグメント) |
| 米州のコア営業損益 | −116億円 | 決算短信(セグメント) |
| コア営業利益率 | 4.6% | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 売上高9,900億円、コア営業利益690億円、当期利益420億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年40円、2026年12月期予想60円 | 決算短信 |
- コア営業利益(会社の指標)と、減損などを含む営業利益の両方を見ることが大切です
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美本業の利益は増えているのに、アメリカの買収したブランドの減損で赤字。「コア」と「全体」を分けて見ないとね
化粧品の会社はコーセーホールディングスの強みとはも参考にしてください。
ほかの化粧品の会社はポーラ・オルビスホールディングスの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- 資生堂は、高価格帯の化粧品を世界で売る会社
- 2025年12月期はコア営業利益445億円(+22.4%)に回復、ただしのれんの減損468億円で営業損失
- 稼ぎ頭は中国・トラベルリテール(645億円)と日本(390億円)
- 課題は中国人旅行者の消費、米州の苦戦(Drunk Elephant、関税)
- 2026年12月期はコア営業利益690億円、年60円の予想
参考文献
- 資生堂. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月10日). https://corp.shiseido.com/jp/ir/pdf/ir20260210_241.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 花王. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月5日). https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/investor-relations/pdf/kao-results-fy2025-jp.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。