ファーストリテイリング(ユニクロ)の強みとは:企画から生産・販売まで自社で手がける「SPA」。2025年8月期の売上収益3兆4,005億円・営業利益5,643億円、利益の約6割は海外ユニクロ。弱みは為替、生産国の情勢、天候
ファーストリテイリングを、有価証券報告書(第64期、2025年8月期)と2026年8月期第3四半期決算短信で分析しました。2025年8月期の売上収益は3兆4,005億円(前期比9.6%増)、営業利益5,643億円(営業利益率16.6%)。事業別の営業利益は海外ユニクロ3,093億円、国内ユニクロ1,844億円、ジーユー305億円。売上の約6割が海外。会社は自らを「SPA」「情報製造小売業」と書いています。2026年8月期は第3四半期までの累計で売上収益3兆652億円(+17.1%)、事業利益5,927億円(+33.6%)。リスクは為替、生産国・地域の情勢、天候や消費動向など。ZARAを展開するインディテックス(2025年度)との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男ユニクロって、日本の会社だから日本で一番売れてるんでしょ?

メル美それが、利益の半分以上は海外のユニクロなんだって!
企業分析の連載、6社目はファーストリテイリングです。有価証券報告書(第64期、2024年9月1日〜2025年8月31日)と2026年8月期 第3四半期決算短信(2026年7月9日)で確認しました。比較にはインディテックス(ZARAなど)の2025年度決算(2025年2月1日〜2026年1月31日)を使っています。
決算期は8月です。この記事を書いた2026年10月5日の時点で確認できた最新の通期の数字は2025年8月期、今期(2026年8月期)は第3四半期までです。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、ファーストリテイリング株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
ユニクロとジーユーなどの服を、企画から生産・販売まで自分たちで手がける会社(SPA)。いまは日本より海外のユニクロのほうが大きい
| 項目(IFRS・連結) | 2025年8月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3兆4,005億円 | +9.6% |
| 営業利益 | 5,643億円 | +12.6% |
| 営業利益率 | 16.6% | — |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 4,330億円 | +16.4% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 20.2% | 前期 19.4% |
| 従業員数(連結) | 5万9,522人 | — |
- 5年前(2021年8月期)の売上収益は2兆1,329億円で、5年で約1.6倍になりました
2. 何で稼いでいるか
有報のセグメント情報(2025年8月期)です。
| 事業 | 売上収益 | 営業利益 | 利益率 | 営業利益の割合※ |
|---|---|---|---|---|
| 海外ユニクロ | 1兆9,102億円 | 3,093億円 | 16.2% | 約59% |
| 国内ユニクロ | 1兆260億円 | 1,844億円 | 18.0% | 約35% |
| ジーユー | 3,307億円 | 305億円 | 9.2% | 約6% |
| グローバルブランド(セオリー、プラステ など) | 1,315億円 | −9億円 | — | — |
※報告セグメントの営業利益の合計(5,233億円)に対する割合。
どこで売っている?(外部顧客への売上収益)
| 地域 | 売上収益 | 割合 |
|---|---|---|
| 日本 | 1兆3,661億円 | 40.2% |
| 中国 | 5,130億円 | 15.1% |
| その他海外 | 1兆5,213億円 | 44.7% |
- 売上の約6割が海外です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① SPA(製造小売)
- 有報で、会社は自らを「SPA」と書き、そのため「潜在的、顕在的なリスクに対し、柔軟に対応を行うことが可能」としています
- さらに、お客様とつながり、お客様の声を商品化し、最適な形で届ける「情報製造小売業」を目指すとしています
- 生産は取引先工場に委託し、2004年から取引先工場の労働環境モニタリングを始めています(有報の沿革)
② 海外ユニクロの成長
- 海外ユニクロの営業利益は3,093億円で、国内ユニクロ(1,844億円)を大きく上回ります
- 有報の子会社一覧には、中国、韓国、タイ、インドネシア、オーストラリア、欧州、ベトナム、インドなどのユニクロの会社が並んでいます
③ 高い資本効率と、今期の伸び
- ROEは20.2%(2025年8月期)
- 2026年8月期は、第3四半期までの累計(2025年9月〜2026年5月)で、売上収益3兆652億円(+17.1%)、事業利益5,927億円(+33.6%)。通期の予想を、売上収益3兆9,700億円、事業利益7,100億円、営業利益7,300億円に修正しています(2026年7月9日)
- 「事業利益」は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いたものです(決算短信の注記)
4. 弱み・リスク
有報の「事業等のリスク」から、主なものです。
-
為替:各国の事業で商品の多くを海外の生産工場から輸入しているため、決済通貨の急な変動で業績が悪化しうる。先物為替予約でヘッジしているが、なくせるわけではない
-
カントリーリスク・国際情勢:生産国・地域や販売する国・地域の政治・経済情勢、紛争、法制度・税制の変更、大規模な自然災害、感染症などで、生産・供給・販売に悪影響が出る可能性
-
天候・消費動向:天候不良、気候変動、消費動向の変化で、売上の減少や過剰在庫が起きる可能性
-
人権・原材料調達:原材料の調達レベルまで人権侵害がないかを確認する必要がある
-
環境・情報セキュリティ・減損のリスクも挙げられています
-
海外の売上が約6割なので、中国など特定の国・地域の景気や情勢の影響も受けます(中国の売上収益は5,130億円)
5. ライバルとの比較
世界最大級のアパレル企業で、ZARAなどを展開するインディテックス(スペイン)と比べます。決算期・会計基準・通貨が違うので、おおまかな比較です。
| ファーストリテイリング(2025年8月期) | インディテックス(2025年度、2026年1月期) | |
|---|---|---|
| 売上 | 売上収益 3兆4,005億円(+9.6%) | 売上高 399億ユーロ(+3.2%) |
| 本業の利益 | 営業利益 5,643億円 | EBIT 80億ユーロ(+5.9%) |
| 利益率 | 16.6% | 約20.1%(EBIT÷売上高) |
| 当期利益 | 4,330億円 | 62億ユーロ(+6.0%) |
| 店舗 | — | 5,460店(2025年度末) |
- 利益率はインディテックスが高く、売上の伸びはファーストリテイリングが大きい年でした
- 円とユーロの換算はしていません
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
ファーストリテイリングの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 最新の数字 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 事業別の売上・利益(海外ユニクロ・国内ユニクロ・ジーユー) | 海外ユニクロ 営業利益3,093億円(2025年8月期) | 有報のセグメント情報、決算説明資料 |
| 地域別の売上(とくに中国) | 中国 5,130億円(2025年8月期) | 有報 |
| 事業利益と営業利益の差 | 第3四半期累計 事業利益5,927億円・営業利益6,144億円 | 決算短信 |
| 通期予想と修正 | 売上収益3兆9,700億円・事業利益7,100億円(2026年7月修正) | 決算短信 |
| ROE | 20.2%(2025年8月期) | 有報 |
| 配当 | 2026年8月期予想 年640円(中間320円) | 決算短信 |
- 2026年8月期の通期の結果が出たら、予想(事業利益7,100億円)との差を確かめましょう
- 決算書の読み方は決算短信・有価証券報告書の読み方、指標はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

メル美服を海外の工場でつくって、世界中で売る。だから為替や生産国のニュースも、決算に効いてくるんだね
コンビニの会社はセブン&アイ・ホールディングスの強みとはへ。
ほかの衣料品の会社はしまむらの強みとはも参考にしてください。
まとめ
- ファーストリテイリングは、ユニクロ・ジーユーなどのSPA。2025年8月期は売上収益3兆4,005億円、営業利益5,643億円
- 利益の約6割は海外ユニクロ。売上も約6割が海外
- 強みはSPA・情報製造小売業、海外ユニクロの成長、ROE20.2%。今期も第3四半期まで大きく増益
- 弱みは為替、生産国・販売国の情勢、天候・消費動向と過剰在庫
- インディテックス(利益率約20%)と比べ、売上の伸びが大きい
参考文献
- ファーストリテイリング. 有価証券報告書 第64期(2024年9月1日〜2025年8月31日). https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/yuho202508.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- ファーストリテイリング. 2026年8月期 第3四半期決算短信〔IFRS会計基準〕(連結)(2026年7月9日). https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/tanshin202608_3q.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
- Industria de Diseño Textil, S.A.(Inditex). FY2025 Results, 1 February 2025 to 31 January 2026. https://www.inditex.com/itxcomweb/api/media/1da2c9d1-dbca-49fb-9563-982a8a27fae6/INDITEXFullYear2025.pdf (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。